ダウ90000・園田に釘づけ!「ありのままの人生」をさらけ出すラジオ『ダウ90000900000000』のおもしろさ

年間100本以上のお笑いライブに足を運び、週20本以上の芸人ラジオを聴く、21歳・タレントの奥森皐月。
今回は、ダウ90000の自主ラジオ『ダウ90000900000000』から園田祥太の人生の変化を追いかけ、リスナーとして感じたおもしろさを語る。
目次
令和のエンタメを代表するダウ90000
令和のエンタメを語る上で欠かせない存在のひと組が、ダウ90000だ。
お笑いと演劇の垣根を越えて、どちらのシーンにおいても最前線に立つ集団。近年の活躍を見ていると、そもそも「その間に垣根などなかったのでは」と思わされるほどだ。
劇場だけでなく、バラエティ番組・ドラマ・CM・ラジオと、メディア露出も幅広い。お笑いの賞レースでも、『ABCお笑いグランプリ』に3年連続決勝進出、『キングオブコント』に2年連続準決勝進出と、着実に戦績を残している。まさに、飛ぶ鳥を落とす勢いのユニットである。
ダウ90000の魅力といえば、主宰・蓮見翔さんが描く日常を切り取るような脚本と、8人それぞれの個性が際立つパフォーマンスだろう。
お笑いの枠では異例の8人編成だからこそ生まれる展開とストーリー。そのかけ合わせが、何度も見返したくなるコントを生み出していると思う。
自主ラジオ『ダウ90000900000000』がおもしろい!
以前はライブやYouTubeなどでコントを観て楽しんでいたのだが、近年ダウ90000のもうひとつのおもしろさに気づいた。
それは、メンバー一人ひとりの素の姿と、そこから生まれる関係性だ。トークや企画、大喜利など、パーソナルが垣間見られる瞬間もおもしろい。
現在ダウ90000は、ラジオ『GURU GURU!』(J-WAVE)の火曜ナビゲーターとして出演していて、毎週メンバー数人ずつのトークが聴ける。また、蓮見さんは『AuDee CONNECT』(JFN系列)や『トキトケトーク』(MBSラジオ)でもパーソナリティをされている。
ただ、私が最もダウ90000を好きになったコンテンツが、公式YouTubeチャンネル内で配信されている自主ラジオ『ダウ90000900000000』だ。
つい先日第200回を迎えたこのラジオは5年ほど前からYouTube上で配信されていて、メンバーの編成や画質や音質が変化しながら続いている。“ダウきゅうまんきゅうおく”と読む。
正直初めは「ラジオにしては人数が多すぎる」と思って聴いていなかった。芸人さんのラジオの多くは、ひとりしゃべりやコンビでのトーク。多くても3人くらいの印象なので、“8”という数の大きさに怯んでいた。
ただ、一度興味を持って聴いてからはすっかり慣れて、今や毎週の楽しみになっている。
至極当然なことだが、人数が多ければそのぶん感情の矢印が増えるし、考え方の種類も増える。ひとつの事柄が起きても8通りの受け取り方があって、それを同じ場で聴けるというのは純粋におもしろい。
それぞれの意見に共感できてもできなくてもよさがある。それがほかのラジオにはない大きな魅力だろう。
『ダウ90000900000000』の中心に立っている園田祥太
もともとダウ90000とは、日本大学芸術学部の演劇サークルのメンバーから結成されたユニットで、主宰の蓮見さんとお笑いサークル出身の吉原(怜那)さん以外の6人は役者志望だったという。
そこからお笑いライブやバラエティに出演するようになったのは特殊なルートに思える。メンバーのみなさんが芸人さんと仲よくなったり、プライベートで遊ぶようになったりして変化しているのがトークを聴いていてわかる。
メンバー全員が20代というのもあり、仕事や私生活や考え方に少しずつ変化があるのも見ている楽しさのひとつだ。
みんなをまとめる蓮見さん、軽犯罪を犯したと言われる上原(佑太)さん、ゴミ屋敷なのにカッコいい飯原(僚也)さん、ホスト狂になりかける吉原さん、うんこ食べマナティ事件の犯人になる中島(百依子)さん、いきなり「水流のロック」を弾く道上(珠妃)さん、寿限無が言えない忽那(文香)さん。
さて、その中でもひと際変動があるのが、メンバーの中で蓮見さんとともに最年長の園田祥太さんだ。たった1年半ほどの期間でたくさんの出来事が園田さんに起こり、園田さんが起こす出来事もたくさんあり、ダウ90000900000000の中心に立っている。
ここからは2024年から現在にかけて巻き起こった園田さんの印象的な出来事を紹介していく。
#143【佑太と園田の彼女募集】
上原さんが4年お付き合いされていた恋人と別れたという話から、上原さんの彼女募集のコーナーが誕生。メールが紹介されてトークが進むなか、少しずつ園田さんの様子がおかしくなる。
その後、実は園田さんも同棲していた彼女に振られたことが発覚。まったく傷が癒えていない状態で話し始めてしまったため、途中で園田さんは泣いてしまう。
さらには別れる直前にその彼女が観に来る予定だった単独ライブが上原さんの体調不良によって中止になったことも明かされる。「観に来ていたら何か変わったかも」という切ない終わり方だった。
#149【園田がメンバーに内緒でマッチングアプリ始めてました】
彼女と別れてしばらく経ち、その間に園田さんがマッチングアプリを隠れて始めていたことがバレる回。メンバー全員からガン詰めされて、最終的に涙する。
明確に7対1の構造になる時間があるが、7人全員が全員正しいことを言っているので「仕方ない」と思わされる。
蓮見さんの個人チャンネル『蓮見水族館official YouTube channel』では園田さんのマッチングアプリのプロフィールをメンバーみんなが見るというイベントも発生した。
#176【1000の解散危機】
J-WAVEでの番組スタートに伴い、8人での配信スタイルがいったん終了となり、1000(蓮見さんと園田さんのユニット)での配信となった。しかしこの回でさっそく蓮見さんから「限界です」との発言。
ふたりで出場している『M-1』を棄権し、ラジオもおしまいにすると言われた園田さんが「なんでも聞くから」「お願いしますもう一度やってください」と懇願して一命を取り留めることで、ラジオは続行することになった。
#184【忽那が来てくれました】
2025年一発目のラジオにもかかわらず、蓮見さんと園田さんの話し合いで信じられないくらい重い空気になる回。その間に挟まれながら必死によい方向に持っていこうと奮闘する忽那さんに胸を打たれる。
後半で園田さんが「売れる気がない」という旨の発言をしてしまったことにより、よけいに話が深刻化。リアルな会話に、聴いているこちらも苦しくなる。
これを「おもしろい」と言っていいかはわからないが、ドキュメンタリーとして聴くと考えさせられる部分がたくさんある。メンバーの生活を背負って仕事をする蓮見さんの生の言葉と、感情や考えをうまく表現できない園田さんの対照的な姿でこちらが泣けてくる回。
冒頭、お正月の園田家の話になり「お姉さんの旦那さんにはスーパードライを買って、みんなはのどごし生だった」というエピソードも強烈だった。
#187【道上、さすがに恋人いた。】
道上さんが恋人の存在と同棲することを発表するというハッピーな回。と思いきや、園田さんがXにまつわるクイズ企画をするためにメンバーのXアカウントをブロックしていたことが明らかになる。
道上さんや蓮見さんはブロックされていることに気づいていたものの、あまりの恐ろしさに切り出すことができずに抱え込んでいた。ショックに加え、園田さんへの不安が募る心情を感じ取れる。
ブロックされていることについて話し始める道上さんの話し方、その瞬間の緊迫感、ブロックの理由がわかったあとの蓮見さんのブチギレなど、これまた「神回」と言っていいかわからない神回だった。
#188【園田、なんか彼女いた。】
前週のブロック事件が中島さんの口から語られる回。メンバーそれぞれの視点からの園田さんの見え方が浮き彫りになって、これまた印象的な配信だった。
事件をコミカルに話すためにと、園田さんにプリンの形の帽子を編み物で作ってきた中島さん。この回を通して中島さんのことが大大大好きになった。
園田さんを心配しながらも寄り添う会話の途中で、実は園田さんに彼女ができていたことが判明。何度見ても「みんなの気持ちをかき乱しておきながら、彼女いたのかよ」と思う衝撃的な1時間。
#190【園田の彼女からメールが来た】
#188での彼女ができたエピソードに対して、彼女さんからのアンサーのメールが届くというラジオとして最高の展開。
彼女さん側から語られる話がことごとく前のエピソードと違ってとてもおもしろい。吉原さんの容赦のない物言いが相まって、不思議な爽快感を感じる回だ。
実はしばらく彼女との連絡が途絶えていたので、ラジオにメールが届いたことに困惑する園田さん。起死回生の一手として歌うGReeeeNの「キセキ」は、今まで聴いた「キセキ」で圧倒的に一番笑った。
#199【園田、なんかフラれてた】
「キセキ」も届かず、その彼女にフラれていたことがわかった。園田さんは結局いつまでも園田さんで、これからはその園田さんをどのように見るかというのをリスナーのこちらが試されていると感じる。
彼女へのあきらめられない気持ちをどう伝えればよいかというのを、フラれていない蓮見さんと飯原さんも挑戦しながら考えるパートが最高だった。
「人生の話」が好きなら絶対に聴いてほしい
ここまでまとめながら、人の人生に「#(シャープ)」がついていることのおかしさを感じた。どれだけの速さで人生が進んでいるか、出来事から出来事までどれだけの時間が経っているか、それが数字になっているかがひと目でわかるというめずらしさ。
これまでも、人生をそのままのぞいているような感覚になれるラジオ番組はたしかに存在していた。しかしながら、それらとも一線を画すほどありのままをさらけ出すダウ90000の園田さんという人間に私は釘づけになっている。
人数の多さやネタのイメージで、ダウ90000のラジオをまだ聴いていないという人もいると思う。ただ、ラジオが好きな人や、人生の話が好きな人は、絶対にダウ90000、特に園田さんの話を一度聴いてほしいと思う。
コントと演劇は言うまでもなく注目するべきだが、加えてラジオも聴くとより楽しめるように思える。事実は小説よりも奇なりという言葉があるのなら、ダウ90000は事実も脚本も“奇”だ。
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