写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優・声優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
豊かさを感じる景色
第90回。
初めて訪れた土地、尾道。
尾道水道を軽やかに走る陽の光と、並行して建ち並ぶノスタルジーな街の色味に、コンクリート生活で固まっていた私の心は一撃で砕かれた。
ボーッとした音を立てて走る船を背に、この日は仕事の撮影。
2月の風はかなり冷たかったが、観光気分で浮かれた肌にはなじみのいい柔らかさ。
というよりも東京のビル風の寂しい冷たさにはやはり敵わないようだ。
この写真は千光寺公園にある展望台「PEAK」から撮った一枚。
尾道を一望しながら、先に見える瀬戸内の島々は美しく、改めて日本列島の持つ資源は豊富だと感じた。
朝に食べた「尾道らーめん」はそれを体現した一杯だったことに気づいた。
また、来たい。
直感で好きな街だった。
NAOYA(ONE N’ ONLY)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、南條愛乃が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。