なぜ人は不倫報道をスルーできないのか
炎上7つのパターン(中川淳一郎)

2020.2.5
nakagawajunichiro

文=中川淳一郎 編集=谷地森 創


ネットニュース編集者の第一人者として『ウェブはバカと暇人のもの』などの著書を多数持つ中川淳一郎。最新のネットニュースから私たちの生活を考える。

今や一大コンテンツとなった「不倫報道」を幾度となく編集し、そこに集まるネットの反応を10年以上追い続けた筆者が、不倫報道とそれに対するネットの反応には7つのパターンがあると分析。

どうして人は著名人の不倫にここまで熱くなってしまうのか。今話題のあのカップル、あの元アイドルの「オンラインゲーム不倫」などを振り返り、その答えを解き明かします。


スルーしたくてもできない「不倫報道」

東出昌大と唐田えりかの不倫については、久々に猛烈なバッシングがネット上で寄せられている。これまでの著名人の不倫報道時と比較してもその苛烈さは群を抜いている。匹敵するのは矢口真里とベッキーの騒動くらいだろうか。

そもそも、不倫報道だけでなく、ネット上でのバッシングや批判の是非についてまでもテレビやラジオで大きく騒がれるようになったのは、2016年1月のベッキーと川谷絵音の不倫がきっかけではないか。
そして、この騒動をきっかけに、いわゆる「文春砲」が注目されるようになった。

本来、他人の不倫などどうでもいいことではあるが、今や不倫はネット上の大盛り上がりコンテンツである。さらに、CMやドラマの降板、活動自粛など経済的な影響も甚大だ。ニュースとしても、スルーするわけにはいかない。

ここでは、ネットニュース編集者の立場から、近年の著名人の不倫を振り返り、「許されない人」「許される人」の差が何にあるのかを考えてみる。
すると【激怒系】、【同情系】、【ネタ系】などいくつかの分類ができることがわかってきた。いずれも当時のネットの騒ぎっぷりとテレビ情報番組の論調などから振り返る。

すべてのきっかけとなった、あのカップル

【激怒系】

◆ベッキー&川谷絵音:不倫バッシングがここまで大ごとになる発端か。あの元気で好感度の高いベッキーが ……という衝撃とともに、「友達で押し通す予定笑」や「センテンススプリング」といったLINEのやりとりに見られた“名言”もこれまた衝撃的だった。

◆矢口真里:女性からの怒りがすさまじかった一方、男性と思われる人々からは「間男がクローゼットに隠れた」という間抜けさが笑いの対象に。しかし、女性からの怒りは収まらず、禊(みそぎ)の期間を経て出演したカップヌードルのCMでは「二兎を追う者は一兎をも得ず」と心理学科の教授役を演じ炎上。CMはお蔵入りに。

◆乙武洋匡:「聖人君子の乙武君」といったイメージがあったが、これまで支えてきた妻を裏切る5股不倫はあまりにも衝撃的。ただし、現在は過去のイメージに縛られることなく自由に発言中。

◆宮迫博之:先日のYouTuberデビューでも話題の宮迫。不倫報道への驚きはなかったものの、現在の気持ちを聞かれ「オフホワイト」とジョークにしようとした。これにより、芸能レポーターとの癒着っぷりも見苦しいと思われ、その後の闇営業時の大バッシングにつながる。

◆上原多香子:夫は遺書を残し自殺した元ラッパーのTENNさん。その3年後に俳優・阿部力との不倫が発覚し、以後完全なヒール役に。しかし、一般人に戻りその後は忘れられた感もある。

◆渡辺謙:がんの手術をした妻・南果歩を裏切る行為には女性を中心に大バッシングが出た。しかし、「世界のワタナベ」の威光か。他の不倫俳優が軒並みCMに出られなくなったなか、渡辺は騒動があっても、ハズキルーペをはじめとしたCMに出演できた。

→普段のイメージとは異なる裏の顔がばれたり、不倫を正当化、隠蔽しようとすると激怒されるというパターン。


意外すぎて何も言えないパターン、むしろ同情を集めたパターン

【困惑系】

◆秋元優里:フジテレビの上司と竹やぶのあたりに停めたワンボックスカーで行為に至る。アナウンス室からは異動させられたが、世間の反応としては「なんで生田斗真の弟・生田竜聖という夫がいるのにオッサンと?」と疑問を抱かれ、「竹やぶ」というパワーワードに困惑する人も多かった。

→意外過ぎて何も言えない。また、シチュエーションが想像を超えている。もしもお笑い芸人が「竹やぶ」で「車内」だったら下記「ネタ系」になっただろうが、夜のニュース番組の顔でもあった秋元なだけに、「そんなことで人生狂わせないでも …… 」とも思われた。

【同情系】

◆桂文枝:34歳年下の歌手・紫艶と20年の関係があった文枝だが、『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)の顔なだけに当初はかなり叩かれた。だが、屋外で行った会見では涙を流し神妙な表情を見せたほか、72歳と高齢だったためむしろ同情された。紫艶は2019年、41歳で死去。

◆小室哲哉:発覚後は闘病中の妻・KEIKOを裏切る行為だとかなり叩かれたが、介護に疲れていたことや芸能界引退を発表したことから収束。しかしその後小室氏がそれほど献身的ではなかったことなどが報じられ、現在は離婚調停中。当時の同情は幾分消えたか。

→高齢だったり、不倫に走る理由がなんとなく理解できる場合、その後の身の処し方が潔いと同情される。

次のページ:「オンラインゲーム」「5股騒動」「匂わせ」など・・・

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中川淳一郎

(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者。1973年東京都出身。1997年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)配属。2001年退社。以後無職、ライター、雑誌編集者などを経て現在はウェブメディア中心の編集者に。ひたすらネット上の珍騒動や事件を毎日テキストファイルに記録する生活を長年つづけている。

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