誕生日が「road to 死」なんて
1月25日放送「おじさんの誕生日論」では、誕生日を素直に喜べないという話題で局員の3人が盛り上がる。
「残りの人生は消化試合だ」「road to 死」というパワーワードが飛び交うなか、自意識と誕生日の戦いというトークが繰り広げられた。女子高生から言わせてみれば誕生日は1年のうちでも楽しいイベントのひとつなので、このトークには驚かされた。
ケーキを食べたり、プレゼントをもらったり、友達からおめでとうLINEが来たり、そこにハッピー以外の感情は何もないと思っていた。誕生日を祝われたとき、冗談混じりに「また年取っちゃった、おばさんに近づいたよ(笑)」と言う友達は見たことがあるが「road to 死だよ!」と言っている人は本当に見たことがない。
祝ってもらうのが当然の日、喜んで過ごす日が当たり前の日、とは限らないのだと気づかされた。
それから、2月1日放送「教えてインスタ論」も驚きの連続であった。
ほかのラジオ番組はClubhouseの話で持ち切りだった週に、インスタグラムをうまく使いこなせないと話し合う許可局のメンバーには愛おしさすら感じてしまう。
ストーリーズについて話す場面で、「24時間で消えるのは切ない」というフレーズが出てきたときはさすがにたまげた。インスタグラムのストーリーは24時間で消えるもの。それが当たり前のシステムだと認識して利用していた自分を恥ずかしく思った。
1日で消えるからこその発信をしよう、そう思って毎日投稿している私の画像や動画は「切ない」ものだったのか、とハッとさせられた。
おじさんたちの「論」から気づかされること
こうして私は、『東京ポッド許可局』を通じてJKには到底辿り着けない価値観に毎週出会っている。ラジオという不特定多数の人に向けられるメディアだからこそのおもしろさだと思う。
承認欲求やまわりの目を気にする若者が多いなか、おじさんの話はそれらを超越したような、悟りを感じる思想が次々と出てきて格好いい。その一方で、おじさんだからこその自意識と戦っていたり、知らず知らずのうちに「昔はよかった」のような自慢をしているのではないかと考えたり。この番組を聴き始めたことで、おじさんはおじさんで大変で、葛藤もあるのだ、と知ることができた。
何より、3人のトークを聴いていると「生き急がないことも大切かも」と思い知らされる。
「25歳だった論」(1月18日放送)では、3人が25歳だった時期についてそれぞれ語る。この放送は私にとってかなり印象的な回だった。
1995年、バイトに励んでお笑いを目指す生活。ニートのような暮らしのなかで「何かをしよう」ともがく姿。社会で起こる事件や出来事に悶々とする日々。言葉にしづらい、若さゆえの楽しみや苦しみがありありと浮かぶ、濃い内容の放送だった。素敵なおじさんたちにも、悩みながら生きていた若かりし時代があるのだとよくわかり、なぜだか元気が出た。
ラジオクラウドにて過去半年分の放送は聴けるため、まだ許可局を聴いたことがない方はぜひ一度、気になるタイトルを押してみてほしい。私は気に入っている「論」を保存しておいて、たまに聴き返す時間がとても好きだ。
毎回この番組を聴くたびに、自分の“好き”を追求して、わからないことはわからないと言える余裕のある大人になりたいと思わされる。世界中の人々へ、みんなでおじさん沼にハマろう。おじさんの魅力を輪になって語り合える日が待ち遠しい。
奥森皐月の「クイックジャーナル」は毎月1回の更新予定です。
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