サービス精神がない人だと思われたくない
体育 僕はずっとステージに立つつもりはなくて、パフォーマーとしての岡崎体育はここまでだろうと思った時点で、裏方に回りたいんです。アイドルに楽曲提供したり、プロデュースするほうに回りたいと昔から思ってました。だからこのタイミングで真面目な曲を出したいと思ったんですよね。
鬼龍院 裏方かあ……僕はずっとステージをやりたいですね。いやでも当然ですけど、僕よりも体育さんはクリエイティブさが浸透してますよ。ふざけ方がオシャレなんです。僕らは宴会芸の雰囲気が全面に出ますから。
「女々しくて」が流行ってる時でも、ブイブイいわせてるモデルとかカリスマな人たちが僕らを好きってプロフィールに書かなかったんです。あー僕らは下品なんだと(笑)。プロフィールに書いてもオシャレじゃないんだと気付いて悲しかったけど。でも体育さんは書きやすい気がするんです。
体育 いや僕その辺は勘ぐってて。「岡崎体育が好きって書いとけば、世の中のぽっちゃり男子から好印象を与えられる!」とか考えてるんやろなって。深く掘り下げてへんくせに!と。
鬼龍院 それもわかる。でも、もう僕は深く掘り下げて欲しいとも思わなくなりました。紅白も出て、顔も曲も有名になったら上辺しか撫でられないことに慣れてくるんです。街でガールズバーとかのキャッチのお姉さんに「あっ!」て言われただけで、「女々しくて」って僕、やるんですよ。「どうせ上辺を撫でるんでしょ」みたいな抗体が出来上がりすぎて先にもうやっちゃう(笑)。
知り合いとカラオケバーに行っても「女々しくて」を入れられるんです。まぁ100%面倒くさい(笑)。でも、あえて思いっきり歌うんです。もうSNSで書かれるとか気にせず、ちゃんと歌ってちゃんと踊って、奥にいる関係ない人とも全員握手する。そうするとみんなめちゃくちゃ喜ぶんですよ。数年前のヒット曲だろうが関係ないんです。
別に僕は媚びてるわけじゃなく、サービス精神がない人だと思われたくなくて。「女々しくて」しか知らないとかもうどうでもよくなっちゃって。「女々しくて」って言ったら、みんな喜ぶとわかったから。むしろ知っててくれてありがとうってなる。
体育 僕はまだその境地には立ててないですね。プライドが邪魔するんです。この前大阪で大学生の2人組に「クリエイションやクリエイションや!」って言われただけでイラッとしましたから(笑)。
鬼龍院 サビを知ってくれてるのに(笑)。でも実はワンマンではあまりやってないんですよね、「MUSIC VIDEO」。
体育 そうなんです。ライブ50本以上やってますけど4回ぐらいしかやってなくて。だから変なワガママが出ちゃうんです。まだ世の中には迎合したくないというか。
鬼龍院 きっと自然に割り切れる時が来ます。大丈夫ですよ。
体育 良かった……すごく安心しました(笑)。
岡崎体育(おかざき・たいいく)
京都府宇治市出身の男性ソロプロジェクト。2016年5月発売のアルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。同アルバム収録の「MUSIC VIDEO」は、『第20回文化庁メディア芸術祭』エンターテインメント部門新人賞を受賞。現在までにリリースしたオリジナルアルバム3枚はすべてオリコンTOP10を記録。CMやドラマ出演などマルチな活動を行いながら2019年6月9日(日)に、さいたまスーパーアリーナでのワンマン公演を開催。SSA史上初となる、1人vs18000人のコンサートを大成功裡に収めた。
鬼龍院翔(きりゅういん・しょう)
ゴールデンボンバーのボーカルとして、楽曲の作詞・作曲・編曲を手がける。「第56回日本レコード大賞」作曲賞受賞(14年)。2019年12月にアルバム『もう紅白に出してくれない』をリリース。