「兄貴」と「トモダチ」
──お互いにとってお互いの存在をたとえるなら?
伊達 僕にとって二郎さんは「兄貴」です。
二郎 俺はスタートがNSCっていう養成所で。しかもダウンタウンブーム真っ最中のときで。500人いて。そこが地獄絵図のように足の引っ張り合いで。それを経験してたから、俺は業界には友達はできないと思っていた。そのあともインディーズでやったりしたけど、そんときも業界にはなんか友達はできないと思っていたから。でも、伊達ちゃんに出会って、お笑いとかジャンル関係なしに友達できるんだと。……伝わるかわからないですけど、カタカナで「トモダチ」です。
伊達 むふふふ。日本とアメリカみたいじゃないですか。トモダチ作戦。
二郎 漢字の堅苦しいやつではなくて、カタカナで「トモダチ」。伝わるかわからないんですけど。
伊達 でも、うれしいです。そう思ってくれて。
二郎 本当に一緒にいた時期が楽しかったんですよ。俺、二郎会に全額使いましたから。
伊達 いや、ほんとにそうなんですよね。2004~2007年、全部二郎さんの金で遊ばせてもらいました。旅行からご飯から何から何まで。そういう先輩って僕は二郎さんしかいない。芸人の先輩との付き合いっていうのも二郎さんから学んでますね。ただ、破天荒ですけどね(笑)。二郎さん特殊なので。
二郎 お互いにテレビに辿り着いてからの友達関係って難しいというか。お互いに認識しちゃっているから、青春にはなりにくいというか。俺らは、両方共テレビにも1回も出たことがない、ライブで会う状態だったからおもしろかったんだろうなと。テレビで初めて、向こうも俺がどんなか認識してくれてて誘ってご飯とか行ったりもあるけど、何年もかけて一緒に上がって行ってた時期が。お金なくても楽しいとき。それが多くて。今や俺が一番お金ないけど(笑)。俺だけだよ、スルメかじって喜んでんの。
伊達 スルメかじってないでしょ。
──『アメトーーク!』などの番組で二郎会が開催される日も来るかもしれませんね。
二郎 これは俺発信では無理ですよ。伊達ちゃん発信で言ってくれないと。
伊達 やりましょうかね。
二郎 二郎会も知らない間に派生しているんですよ。イズムだけは。空気階段の(水川)かたまりとか、オズワルドの伊藤(俊介)くん、錦鯉の渡辺(隆)くんとかニューヨークとか、二郎会に絡んでなかった下の世代が、俺とか伊達ちゃんの雰囲気を継いでくれて。まぁ、かたまりが継いでいるとは思わないけど(笑)。そういう派生まで行けるとなると、『アメトーーク!』でも3回はできるんじゃないかな。
伊達 1回、大きく集めましょうか? 雅叙園とかで。
──本の中でも、二郎さんの誕生日会を伊達さんが開いたというエピソードも載っていました。
伊達 クルーザー借りたりしましたね!
二郎 新宿のでっかい貸しイベントスペースみたいなとこで100人ぐらい集まってくれて。で、帰りのタクシーで気づいたんですよ。「あれ、ケーキが出てない」と。誰もケーキ用意してなかった。
伊達 ふっははははは。それでちょっとお怒りになってましたけどね。
二郎 帰ってから気づいたけどね(笑)。
「一生芸人。生涯芸人。」の心意気
──舞台とか芸にかける思いとかにもグッときました。本の中に「一生芸人。生涯芸人。それがオレの生きる道」という一文もあって。
二郎 でも、なんとも思ってないかもしれないですよ(笑)。よくウソつきますし。ノンフィクションのふりしてフィクションで書いているかもしれないし。
伊達 昔から漫才は、ネタっていう部分に関して二郎さんは真剣で。そこらへんも僕は尊敬していますし。サンドウィッチマンで初めて単独ライブをやったときも不安で。チケットはある程度売れていても「不安ですわ」と相談したら、二郎さんから「単独ライブは幕が上がったら成功なんだよ」と言われたんです。それはいまだにちゃんと覚えていますね。それでちょっと肩の荷は下りたというか。
二郎 緊張することはないんだよ。単独ライブは自分たちを好きな人しか観に来てないんだから。
──この先、伊達さんは二郎さんにどんな道を歩んでほしいですか?
伊達 二郎さんの歩んでいる道って独特なので。本当に芸人が憧れる人ですし。何より体が心配。でも、それも含めてハチミツ二郎なんですよね。
二郎 でも、医者がああしろこうしろっていうのを守ってやってたら、悪玉コレステロールも中性脂肪も正常値になったからね。血糖値も下がって「これ以上、下げないで」と言われたくらいで。ダメだ、このままでは健康になってしまうと。
伊達 いや、いいことじゃないですか! たまには健康なとき、見せてくださいよ。いっつも病院通って。俺が知らないこともけっこう、この本の中で書かれていて。こんなに何度も病院に通ってたのかとか。やっぱりコロナもあって、娘さんもいるので、なかなかそう簡単に会えない時期も長かったので。
二郎 コロナ禍でやっぱり大きく崩れましたよね。会う会わないっていうのが。
伊達 二郎さんを見ていたから、コロナのつらさも知っているだけに、気も遣いますし。またあのころのように旅行とか行けるといいなぁと思いますけどね。
──最後に、この本、どんな人に読んでほしいですか?
伊達 まずはダイナマニア(東京ダイナマイトのファンネーム)ですよね。
二郎 俺はファンの人に「遺書」のつもりで書いたから。遺書っていうタイトルにしようとしてたし。
伊達 読んでいると確かにそういう気持ちが伝わってきます。
二郎 何も遺言を残さずに死にそうになったことが2回あったから、自分の言葉で伝えたいと思って。
伊達 若手芸人はもちろん、ちょっと凹んでいる人とかにも読んでもらえたら力が湧くんじゃないかなと。
二郎 よけい凹むんじゃないか?
伊達 いや、凹まないですよ。がんばろうって思いますよ。何回も読めるなと思っていて。
──それでいて笑えるところが多いのもさすがですよね。
伊達 いや、そうなんですよ。本当に最後に「全部ウソです」って書いてあるんじゃないかなって思うぐらいで。「なんだったんだよ、この涙」と(笑)。それがある人なのですよ、二郎さんっていう人は。
『マイ・ウェイ -東京ダイナマイト ハチミツ二郎自伝-』
著者:ハチミツ二郎/田崎健太
発売日:2022年7月8日
発売:双葉社
定価:1,815円(税込)
判型:四六判
※詳細は下記、版元サイトをご参照ください。
URL:https://www.futabasha.co.jp/book/97845753171900000000?type=1
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