若手登竜門で2冠、カベポスターが「得意なことを突き詰めた漫才」で狙う『M-1』優勝への道

2022.9.16
カベポスター

文・編集=梅山織愛 撮影=興梠真穂 


今年に入り『第11回ytv漫才新人賞』『第43回ABCお笑いグランプリ』と、若手芸人の登竜門といわれる大会で優勝しているカベポスター。現在は関西を中心に活動中だが、その名は徐々に全国へと広がっている。

残す目標は「『M-1』優勝」と話す彼らはこれまでどのような道のりを歩み、『M-1グランプリ』王者の先に何を見据えているのだろうか。今、注目の若手お笑い芸人・カベポスターに迫る。

カベポスター
永見大吾(ながみ・だいご/1989年12月19日生まれ、三重県出身)と浜田順平(はまだ・じゅんぺい/1987年4月28日生まれ、大阪府出身)によるコンビ。2014年にコンビ結成、現在はよしもと漫才劇場を中心に活動している。


これまでのマイナスが0になった賞レース連覇

カベポスター

──今年は『ytv漫才新人賞』『ABCお笑いグランプリ』とふたつのタイトルを獲得しましたが、2022年ここまでの自己評価はいかがですか。

浜田 100点満点だったら2000点くらいですね。

──100点の基準は?

浜田 毎日を健康に過ごせて、仕事をがんばれたら100点です。今年はそれができた上で、関西の賞レースも優勝できたらいいなくらいに思っていたので。

永見 今年はよかったですけど、それまで負けつづけていたので……。今年がよかったというよりか、「やっとか」という気持ちのほうが強いですね。いい一年だったといえばそうなんですけど、マイナスがゼロになった感じです。

──賞レースでの自信はありましたか。

浜田 僕はなかったですね。ふたつとも決勝でファイナルに行けるってなったときに、これは勝てるかもと思いました。

永見 僕も取れる自信は年々なくなってきていたので、できる限りやろうくらいの気持ちでした。

──『ABC』では4回目の挑戦でようやく優勝しましたが、優勝後何か変化はありましたか。

浜田 祇園花月とかNGKに来るような若手に詳しくないお客さんにも名前を知ってもらえるようになった感じはあります。あとは、ダウンタウンの松本(人志)さんが優勝後、僕らの名前をツイートしてくださったんですけど、それを見た友達から連絡が来ました。賞レースは何人の方が観てくれたのかわかんないですけど、松本さんのツイッターは一千万人近い人が見てるので。やっぱり影響力すごいですね。

永見 賞レースの影響だけじゃないと思うんですけど、徐々に知ってもらえるようになってる感じはあります。大阪だったら、「あ、永見!」みたいなのは聞こえるようになりました。

浜田 それ聞こえたとき、どうするん?

永見 「永見さーん」(大声)だったら、こうする(会釈)。「あ、永見さん」(小声)くらいだったら無視しちゃいますね。間違いだったら恥ずかしいんで。

得意を伸ばしてできた漫才スタイル

カベポスター

──今年の『ABCお笑いグランプリ』決勝では昨年とは違い2本とも漫才でしたが(昨年はコントと漫才1本ずつ)、昨年の結果を受けての戦略だったんですか?

浜田 いや、単純に賞レースでするようなコントがなかっただけです。むしろ去年が変則的だっただけで、基本的には漫才が僕らの中心です。

永見 そうですね。漫才を一番がんばってます。

──あくまで、漫才がコンビとしての軸ということですか。

浜田 軸とまでは決めてないけど、漫才とコントどちらのほうがおもしろいことができるのかと考えたら僕らの場合は漫才だったので。

永見 コントも好きなんですけど、自分でやるより観るほうが好きなんです。コントはすでにいろんな設定のものが作られているから「僕らは何やったらええんやろう」みたいな気持ちになっちゃって、僕ららしさが出るコントが思いつきにくいんです。でも漫才は「ああ、こういうの誰もやってないんちゃう?」みたいなのが思いつきやすいので、作りやすいです。

──おふたりの独特な展開の漫才は論理的な印象があり、“ロジカルな漫才”と表現されることが多いですが、おふたりは自分たちの漫才をどのように捉えていますか?

浜田 特に自分たちではロジカルというのは意識してないんですけど、確かにほかの人と比べたらロジカルな印象を持たれるのかなとは思ってて……。昔は明るさとかテンポ感のある漫才が好きなお客さんには僕らの漫才は届いてない印象があったんですけど、“ロジカル”って言ってもらうようになってからは、そういうお客さんも最初から僕らの漫才に対してのイメージができてるんで、笑ってもらえるようになった気がします。

永見 絶対ロジカルな漫才にしようという気持ちはなくて、どういうのが向いてるかなとか、僕らでウケるネタってどんなんやろうって考えたらできたネタです。普段の僕らに近い感じのまま漫才できたら、楽だし背伸びしてる感じもないので、得意なところ、できるところでがんばろうと突き詰めてたら辿り着いたという感じです。


苦手なことはしたくない

──今は大阪を拠点に活動されていますが、今後は東京進出も考えているんですか。

浜田 5、60歳になっても新しいネタを作って劇場に立ってる師匠たちがかっこよくて、あんなふうになりたいと思ってるんですけど、そういう方々ってずっと知名度をキープしてるんですよね。そうじゃないと劇場にも呼んでもらえない。だから全国区のテレビに出るのはそれにつながるステップになると思うので、いつかは東京進出したいなと。

──永見さんは関西の番組だと大喜利でも注目されていますが、全国区の番組で出てみたい番組はありますか。

永見 やっぱり『IPPONグランプリ』(フジテレビ)は出てみたい。あと大喜利でいったら……『(朝だ!生です)旅サラダ』(朝日放送)かな~。

浜田 『旅サラダ』大喜利番組ちゃうで。朝から大喜利やらんで。

永見 VTR明け大喜利してなかったっけ?

浜田 やってないんちゃう。やってるとしたらラッシャー(板前)さんくらいやで。

──(笑)。『旅サラダ』はよく観るんですか?

永見 なんかテレビつけたら『旅サラダ』やった確率が高いんですよ。「ラッシャーさん、また違う港行ってるな」みたいな。だから『旅サラダ』は運命ですね。

──テレビはどんどん出たいですか?

永見 小さいころ、テレビっ子でお笑いに興味を持ったのも『内村プロデュース』(テレビ朝日)がきっかけだったんです。それを観てこの人のネタ見てみたいなって気持ちになったので、テレビは出たいです。

カベポスター
永見大吾

──浜田さんはかなり多趣味ですが、趣味を活かして番組に出たいという気持ちもありますか。

浜田 もともとサラリーマンやってたんですけど、計画立てて、上司に報告して、計画書作って、お金のこと勉強してみたいなのがマジで苦手で自分に向いてなかったんですよ。だから、一生仕事するんだったら自分が楽しいと思える内容で仕事をしたいと思ってお笑いを始めたので、苦手な分野の番組に呼んでいただくよりかは、競馬とかメジャーリーグとか趣味を仕事にできる番組はやっぱり憧れます。自分が楽しみながら仕事して、観ている人も楽しんでくれたら最高だと思うんで。

──競馬、メジャーリーグは紹介する番組がいろいろありますもんね。

浜田 競馬やメジャーリーグってお仕事で携わると、より深く知れると思うんですよ。あと、カメラやバイクも好きなんですけど、そっちはあんまり仕事仕事はしたくないんで。でも、なんか最近はいろいろ手広くやり過ぎて、休みの日とか今日何やろうかなって考えてたらなんもできないで一日終わるとかあります。

永見 『どうぶつの森』でたまにそんな日あるよな。今日、何したらええんやろみたいな。

──(笑)。さきほど仰っていた浜田さんの苦手な分野とはどんなジャンルなんですか。

浜田 まず大喜利。大喜利とかができないと思って一回、芸人諦めたくらいなのでできるならやりたくないですね。あと、たくさんの人に注目されるのが苦手なんすよ。だからこういうの(取材日に行われていた『LIVE STAND』の会場を指さして)は、本当はめっちゃ苦手ですね。

──芸人の方で注目されるのが苦手ってちょっと珍しいですね。

浜田 なってから、なんかみんなの前でしゃべるの好きじゃないなって気づいたんですよ(笑)。キャパ60人くらいの劇場が一番やりやすいです。

──永見さんはそばにいて浜田さんが大きな劇場は苦手なんだろうなというのは感じています?

永見 漫才のときは思わないですけど、ギャグとか振られたときは、なんかこいつ肩揺らしてんなとか思います。緊張すると肩揺らすんですよ。

浜田 ギャグとかマジで嫌なんですよね~。

永見 (肩を揺らしているのが)バレてる人にはバレてると思うんで、いつもおもしろいな~って思って見てます。

カベポスター
浜田順平

残すは『M-1』優勝

──今年狙う賞レースは残すところ『M-1』だけだと思いますが、今年の目標は?

浜田 準決まで行けたら、『M-1ツアー』っていうめちゃくちゃ最高のご褒美みたいな仕事が待ってるんですよ。全国各地を回れて、お泊りもできて、おいしいご飯も食べれて、3、400人のめちゃくちゃ温かいお客さんの前ですごい人たちとネタできて。しかも、絶っ対めちゃくちゃウケるんですよ。最高じゃないですか。しかも給料もいいんですよ。なので、準決まで行ったら合格点、そこから上はエクストラだったんですけど、今年は決勝に行きたいですね。決勝に行けなかったら、去年、一昨年より悔しいと思います。

永見 結局、優勝しなかったらどこで負けても悔しい思いをするので優勝したいです。

──『M-1』で優勝はもちろんだと思いますが、最後に改めて2022年の目標をお願いします!

浜田 健康で文化的な生活を送りながら、いろんな人に感謝して。そして『M-1』の決勝に行くために漫才を仕上げる。それだけです。

永見 健康で、健康で……。

浜田 健康に引っ張られんでええわ。

永見 もちろん『M-1』は獲りたいんですけど、『M-1』が終わるとすぐに『R-1』が始まるんで、『R-1』の1回戦をがんばりたいですね。

浜田 『M-1』の次に来ちゃったかー。ここは『M-1』で終わっといたらいいのに。

永見 あ、1回戦はシードで出ないか。じゃあ1回戦は誰かの音響としてがんばります。

カベポスター

カベポスター単独ライブ『核心に迫りりす』

2022年9月30日(金)20:45開場/21:00開演

会場:よしもと漫才劇場

※見逃し視聴は10月2日(日)21:00まで
※チケットの販売は見逃し視聴終了日の昼12:00まで


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    2022年9月30日(金)20:45開場/21:00開演
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    開催日時:2022年9月17日(土)~18日(日)大阪城ホール、COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、TTホール、SSホール

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Written by

梅山織愛

(うめやま・おりちか)1997年生まれ。珍しい名前ってよく言われます。編集者・ライター。自他共に認めるミーハーなので、いろいろハマりますが、アイドル、お笑いが特に好きです。あと、チョコレートも詳しいです。

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