いいふうに言えば「振り切れる力」。悪いふうに言えば……
──ファンの間や、酒井さんご自身もメディアでおっしゃっていますけど、「ラジオとテレ東、ガールズバーでは存分に力が発揮できている」というレッテルが貼られていますが、平子さんから見てもそう思いますか?
平子 というか、後輩がいる場で輝く人間。もしくは、酒井が考える「自分より下」。
──それは、単に芸歴という判断ではなく?
平子 はい。歴も含めて、「自分が上に立てるかな?」っていう。あいつの中で勝手なピラミッドを作って、そこの頂点に立ったときに立ち回れる。……まあ、考えてみたらみんなそうですけどね(笑)。ただ、ひとりでも上の人間がいたときにシュンとなってしまう人は、自分が一番上の立場に立てるときでも、恥ずかしくてそこまで如実に表現できないはずなんですけど、あいつはやりますからね。自分がトップの現場だからっていって、そこまで大立ち回りできるかって言うと、どっか気恥ずかしさだったりうしろめたさだったりのブレーキがかかるはずなんですけど、それがかからないというのは……麻痺ですよね。
──その、「振り切れる力」も一種の魅力でしょうか。
平子 いいふうに言えば「振り切れる力」。無理やりポジティブに変換するんだとしたらですけど。
──悪いふうに言うと……?
平子 クソダサ男。
“酒井軍団”の現実と、酒井の「許され力」
──酒井さんを語る上で必須なのが“酒井軍団”の存在かと存じます。酒井軍団の活動は、平子さんから客観的にどう見えていますか?
平子 客観的に見て……いや、目に入ったことがないです。見よう見ようとはするんですけど、なかなか目に入ってこないんで……架空の……誰もいないんじゃないかと思ってますね。でも、なんかの折に一緒の飲みの席になったりすることはありますけど、そのときはけっこう恐ろしいですけどねぇ。みんな、酒井が言葉を発するのを待って、何かひとつ発したらみんな一斉に言葉を拾う、酒井のツッコミが出たらみんな立ち上がって「ちょっと待ってくださいよ~!」って。あいつが先輩といるときとまったく同じことの真逆をやってるんですよ。
──その様子を見ていて、後輩から慕われている感じは……?
平子 うーん……芸能界にいろんな軍団はありますけど、打算的な考えがある後輩もいると思うんですよね。「この人についていけばテレビ出られる」とか。でも、(酒井についてても)それはないから、僕からは先輩後輩って図式がきっちりしているように見えるけど、意外とただの友達として見られているのかな?っていう疑念も捨て切れないですね。飲み代出してくれる友達みたいな。……たかられてんのかな? もし(後輩が)たかってるんだったら、ちょっと僕説教しますけど(笑)。
──酒井さんを守る?
平子 守るっていうか……たかんなよ!って(笑)。
──(笑)。逆に、先輩にかわいがられる力はどうなんでしょう?
平子 先輩に限定されるものじゃないと思うんですけど、「許され力」が一番強いのかなって思いますね。これは芸人だけでなく、一般でお勤めの方にもけっこう重要なことかもしれないですけど、「許され力」の高さはすごく感じます。逆にそこしか感じないですけど。
──それはけっこうな強みですよね。
平子 そうですね。これは社会を渡り歩いていく上ではすごく必要だし、得。持とうと思って持てるわけじゃないし、先天的に持ち合わせているものであって。「こいつ怒ってもしょうがねぇな」って思わせる、顔なのか声なのかわからないですけど、全部総合した上でそれを持っているなぁって。でも、これしかない。それ以外なんにもないです。
──もしコンビを組んでおらず、酒井さんがいち後輩のままだったとしたら、仲よくなっていると思いますか?
平子 いやぁ、どうだろうな……同族嫌悪的なところも多少あるんで。意外とお互い、手に取るようにわかり合い過ぎちゃうっていう気持ち悪い部分もあるから、最初は近づくけど、どうだろうな……。ちょっと怪しいですね。
──同族嫌悪? 傍から見るとタイプが違うようにも見えます。
平子 根底はちょっと似通ったところもあるんで。昔エンディング出なかったみたいな、負の感性的な部分がお互いある。だから、無理やり陰から陽に切り替える部分とかお互いわかるし。
誰も酒井に気を張らない。生まれ持っての「安心感」
──アルコ&ピースさんおふたりに共通することでもあると思うんですけど、ラジオなどでの瞬発力がすごいなぁと感じます。お互い、どんな話題を振られても瞬時に返す力がある。
平子 得意分野とか趣味が正反対だからかな? 酒井は意外と、世間的に王道な部分を抑えている。サッカー、野球のスポーツ関連とか、今だとサウナ、ラップとか。僕は正反対で、自分では思ってないですけど、世間的にはニッチとされることが好きなんで。どっちか知らないことはどっちかが抑えてるから、コンビ間としてのバランスはいいのかなとは思います。
──酒井さん、『99人の壁』(フジテレビ)でのご活躍もスゴいですよね。
平子 そうですね。意外とクイズ系が強かったり。でも、ちょっとニッチになっちゃうと弱かったり。
──頭の回転が早い、というのもあるんでしょうか?
平子 回転……。どうなんだろうなぁ。僕もそれ感じることはあるんですけど、「早いと思い込ませる力」もあると思うんですよね。ほかの人が100しゃべってて、酒井が3しかしゃべってないから、そりゃあその3は外さないよな、っていうのももちろんあるし(笑)。溜め込んだパンチはそりゃ打てるよなって。まぁ、そこを外さないっていうのも難しいことではあるし。酒井ちゃんはいいもの持ってるな!って思わせる雰囲気はあると思いますね。
──雰囲気で言うと、アルコ&ピースさんは『沈黙の金曜日』(FM FUJI)や、過去に『妄想マンデー』(ABEMA)など、女性芸能人の方とのお仕事も多いかと存じますが、女性が話しかけやすい雰囲気があるような……気遣いができる、優しい方なのかな?と思います。
平子 僕はそうは思わないです(笑)。そこも「許され力」。たとえばアイドルの子とかと絡むときに、酒井自身がそんなに大人じゃないから、大人なワードの使い分けができない。アイドルの運営が安心して任せられる人間ではないと思うんで、そこも「許され力」だと思います。ほかの芸人が言ったらちょっと深刻になるんじゃないかってことも、酒井だと深刻にならない。「まぁ、酒井のことだから」って、サラッと流してもらえる。あとは、安心感ですかね。だって、酒井と会って「酒井さんだ! 気を張らなきゃ!」って思う人って、たぶんいないと思うんですよ。アイドルも一般の方も含めて。これも先天性で、テクニックではない。
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