4.02-18:00 3時間ノンストップ。挑戦しかない新番組
最終回から「明けて明日」の4月2日、16時過ぎに『タマフル』の面々は再びTBSラジオ第6ブースで顔を揃えていた。TBSラジオの入江清彦社長がそこに訪れ、「僕、そんな重大事じゃないと思って引き受けちゃったんですけど……」と恐縮する宇多丸に、差し入れのサンドイッチを渡して去っていった。
ランスルーで熊崎風斗アナが「掟ポルシェ」が読めなかった件をいじったり、加山雄三の光進丸炎上についてしゃべったりしているうちに、スタジオライブコーナー「LIVE&DIRECT」ゲストのSKY‐HIが現れる。橋本Pから「歴史の1ページ目を頼むわ」と発破をかけられ、「やめて!」と悲鳴を上げていた。17時、台本を手に打ち合わせがスタート。ひと通り読み終えるころには、本番30分前になっていた。「打ち合わせで疲れた……これが一生続く……!」と宇多丸が天を仰ぐ。
そして迎えた18時数秒前、ブースの中で宇多丸が「あー、出る! あー、来る!」「やめんなら今!」「出る! 出る! 出るよ!!」と立て続けに叫ぶ。直後、稗田裕久Pが静かに手を上げてキューを出し、『アフター6ジャンクション』が始まった。
新番組は、時間が押してコーナーが短くなったり、橋本P入魂の「新感覚交通情報」で中継をつないだ全キャスターのマイクをオンにするシーンで「夢の全ツケ!」とコントロール・ルームが盛り上がったりと、初回らしい慌ただしさに包まれ息つく暇もなかった。
「ナイター殺し」(編註:65年続いたナイター中継の放送枠のため)という、早速番組のキーワードが生まれ、ブース内外にやっと落ち着いた雰囲気が漂い出したのは、1時間半を過ぎたころだった。最後のコーナー「ザ・コンサルタント」では、スーパー・ササダンゴ・マシンが「越後の酒」を携えて登場。全員でお猪口を掲げ、「乾杯!」。放送が終わったかのような雰囲気に、ブースの外では「まだ終わってない!」「なんだ、このコーナー」と笑いが漏れた。
21時、「……『ナイター殺し』でした」という宇多丸の挨拶を最後に、初回の放送が終了。再び拍手が起き、熊崎アナはホッとしたようにネクタイを緩める。ふたりはすぐにブースをあとにし、トイレへと飛び出していった。生まれたばかりの番組は、これからどんどん変化していくのだろう。土曜深夜の密室を飛び出して、平日夕方の顔になっても、実験は続く。今のところはとにかく、宇多丸が膀胱炎にならないことを祈っている。