できなかった経験も「受け入れて、許す」ことが大事
──誰かのためにものを作って、残して伝えていく役と向き合ったことで、ご自身は俳優としてどうありたいのか考えるきっかけになりましたか?
深川 昨年は悩んでいた時期が長かったので、自粛期間中に一度立ち止まって、自分を見つめ直すことができたのは良い機会でした。まだ答えは見つかっていないんですけど、お仕事でなにを残したいのか、なにをしたいのかをすごく考えたと思います。
──どんなことで悩まれていたんですか。
深川 たとえば、作品を撮っているときは楽しいんですけど、完成した作品を観るのがすごく苦手で。自分のあら探しをしてしまうんです。反省することは必要ですけど、自分で自分の首を絞めてしまう感じがあって苦しくて。でも今は、それは自分の精一杯だったから、できなかった経験も含めて「受け入れて、許す」ことが大事だと思うようになりました。
──それは、自然とそういう考えに?
深川 人と話したり、先輩方の姿を見たりして。『おもいで写眞』で共演した先輩方も、自分のお芝居に対して真摯だけど周りも見えていて、場の雰囲気を変える力をお持ちなんです。私はいっぱいいっぱいだったので助けていただいてばかりで。吉行和子さんや古谷一行さんなどベテランの方々も、場数を踏んでいるから自分なりのアプローチが確立されているはずなのに、監督からの提案にも柔軟。応えながら、自分の意志や蓄積された存在感を持って演技されていて、そういう姿からいろんな刺激をもらいました。
──肯定を積み重ねていくことは、仕事を続ける上で大切なことかもしれません。
深川 そうですね。このお仕事を続けたいので、心持ちは大事だと思っています。
正しいと信じすぎることも危ない
──受け入れて、許しながらも自分の中に曲げられない芯があると感じたのですがいかがですか。
深川 バランスは取っていきたいですね。「人がなんと言おうとこう思う」というところはあるけれど、それが正しいと信じすぎることも危ないと思っていて。年齢を重ねるほど柔軟性は大切だと思います。人の意見を聞きつつも、自分の想いを敏感に感じ取れるようにありたいです。あと、仕事に関しては言葉にすることも大事だと思います。目標を心に閉まって頑張ることもかっこいいけれど、言葉にすることでつながることが多いと感じるのでどんどん口に出していきたいです。
──25歳で発表されたフォトブックのインタビューで、「5年ごとに節目がある」と仰っていました。もうすぐ次の5年目を迎えますが振り返ってみていかがですか?
深川 ややこしいのですが、転機は5年ごとでも仕事に関しては「3」が大事な数字だと思っていて(笑)。3年で社会の空気や環境って大きく変化する。私も卒業して3年間は、所属していたグループの看板ありきでお仕事をくださる方がいることは理解していました。だから、3年後が勝負の年だと思っていました。次第に、仕事への向き合い方など私の内面を見て興味を持ってくださる方がいると考えていたので、今お仕事できていてよかったとすごく感じます。
30歳になり、5年の節目はどうですかね。自分の中では地続きですけど、20代と30代では周囲からの印象が変わる気がします。そこを意識しすぎて凝り固まりたくないですが、憧れる先輩方の魅力を自分なりに蓄えて、昇華できる年にしたいです。
──これからはじまる新しい仕事に対しての心持ちはいかがでしょうか。
深川 コロナを経て、当たり前に仕事ができることはすごく幸せなことだと実感しました。だから、うまくいかなくて悩んだことも楽しむ気持ちが大事だと最近特に思って。自分の準備はきちんとしながら、その場で生まれたものを楽しんで撮影をしたいと今は思っています。
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映画『おもいで写眞』
2021年1月29日(金)全国ロードショー
監督・脚本:熊澤尚人
出演:深川⿇⾐、⾼良健吾、⾹⾥奈、井浦新、古⾕⼀⾏、吉⾏和⼦
原作:熊澤尚人『おもいで写眞』(幻冬舎文庫)
配給:イオンエンターテイメント
(C)「おもいで写眞」製作委員会関連リンク
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