Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』:PR

予定不調和が、芸人たちの哲学と性(さが)をあらわにする。“即興の笑い”が改めて問う「コンビってなんだ?」<『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』特集>

2024.10.22

発売中の総合カルチャー誌『Quick Japan』vol.174で、Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』を特集する。

Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』とは?
千鳥がMCを務める、Amazon MGMスタジオ製作の新番組。『M-1グランプリ』王者から奇才コント師まで、実力派芸人たちが、自ら指名した相方と一日限りのオリジナルコンビを結成し、全8組が即興コントで各ステージの勝ち上がりに挑戦。ステージ終了ごとに観客投票で決まる「一番おもしろくないコンビ」がひと組ずつ脱落し、見事最後まで残ったコンビが優勝賞金1000万円を手にする。

『THE ゴールデンコンビ』を観る!

『Quick Japan』の特集では、『THE ゴールデンコンビ』収録現場を取材したライター・てれびのスキマによるコラムを掲載。これまでにない新しいお笑いサバイバルが立ち上げる、芸人たちの力量、コンビ芸の真髄、日本バラエティの可能性について綴ってもらった。

芸人が“大勝負”に挑むときの哲学

少年ジャンプ感がある

ある芸人がそんなことを言っていた。かつて賞レース等で熾烈な戦いをして、実力を認め合ったライバル同士が、今度は手を組んでともに戦う。新番組『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』を指した言葉だ。

あらかじめキャスティングされた堀内健(ネプチューン)、津田篤宏(ダイアン)、長田庄平(チョコレートプラネット)、澤部佑(ハライチ)、平井まさあき(男性ブランコ)、せいや(霜降り明星)、サーヤ(ラランド)、髙比良くるま(令和ロマン)というキャリアもタイプもさまざまな8人の芸人たちが、「こいつと組めば絶対に負けない!」と自分が思う最強の相方を選ぶルール。

一定の候補者の中からドラフト的に取り合うという形式ではなく、制限なく指名することができるため、その選び方がまず興味深い。もともと気心の知れた阿吽の呼吸がある相手を選ぶ者、普段のコンビとは真逆のタイプの芸人を指名する者、自分にはないものを補う者、ずっと憧れの存在だった先輩と組む者、ただこの人とネタをやってみたいと願う者、そしてルール自体を壊しかねないトリックスターに賭ける者……。

彼ら一人ひとりの“大勝負”に挑むときの哲学が如実に表れてくる。選ばれたほうも消去法で組むことがないため、意外な指名に戸惑いの表情を浮かべる芸人もいたが、みな一様にうれしさをにじませていた。「絶対に負けさせない」というスイッチが入ったように見えた。

出演者、スタッフの布陣に注目

“結成”された「ゴールデンコンビ」は、吉本の最新『M-1』王者コンビ・くるま×野田クリスタル(マヂカルラブリー)、『M-1』王者×『キングオブコント』王者のせいや×秋山寛貴(ハナコ)、ともに『M-1』・『キングオブコント』Wファイナリストの平井×堂前透(ロングコートダディ)、ユニット経験も豊富な同期コンビ・長田×じろう(シソンヌ)といった実力伯仲な“ドリームコンビ”から、かつて自身の冠番組『ネプリーグ』(フジテレビ)のADだった屋敷裕政(ニューヨーク)と組んだホリケンを筆頭に、サーヤ×KAƵMA(しずる)、澤部×真栄田賢(スリムクラブ)、津田×永野といったこの番組ならではの予測不能で意外な組み合わせも実現した。

企画・演出の橋本和明

そして、「ゴールデンコンビ」なのは出場者たちだけではない。『有吉の壁』(日本テレビ)を手がけた橋本和明のもと、「こいつと組めば絶対に負けない!」とテレビ界で切磋琢磨してきた精鋭たちが集結し、この番組を生み出した。普通の番組では総合演出クラスの敏腕がいちディレクターとして参加していたりもする。

中でも目を引くのは、かなりの予算が投じられたというセット。紫と緑が印象深い色鮮やかなカラーリングと丸みを帯びた他に類を見ない新鮮なもの。3階建てのコロシアムのような構造は、それだけで気分が高揚してしまう。しかも舞台中央には丸く穴が空いており、そこからお題に応じたコントのセットがせり上がってくるのだ。興奮せずにはいられない。

そんな最高のセットを作ったのは、『IPPONグランプリ』や『SMAPxSMAP』(ともにフジテレビ)のセットデザインで有名なフジアールの鈴木賢太だ。そんな局の垣根を越えたPrime Videoならではの組み合わせが裏方側でも至るところで実現しているのだ。あえて大げさに言うならば、日本のバラエティ番組の力を世界に問うにふさわしい座組となったのだ。

予定不調和で原始的な笑いの戦い

『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』は、8組のオリジナルコンビが、各ステージの「お題」に挑み、即興コントで競い合う。1ステージごとに最下位だったコンビが脱落し、最後まで生き残った1組が1000万を獲得できるという前代未聞のお笑いサバイバル・バトルだ。

(c)2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

それを仕切るのは、千鳥。舞台中央からせり上がって登場すると「せり上がるとスベる」と笑い、セットを見て「気合い入れすぎ」とイジるなどどこまでも自然体。『チャンスの時間』(ABEMA)みたいなものだから「楽にね」と、芸人はもちろん、観客の緊張を解いていく。そう、なにしろ今番組の重要な要素のひとつは、観客審査だということ。しかも、おもしろかったコンビに票を入れるのではなく、「最もおもしろくなかったコンビ」に票を入れるという残酷なシステムなのだ。その残酷さゆえいっそう、熱を帯びていく。

ひとつ目のお題は、「『こんな医者は嫌だ!』のまだ見たことのないパターンをお願いします」。せり上がってくるのは、病院の診察室風のセットだ。賞レースはネタを披露する順番が結果を大きく左右するとよくいわれる。

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だが、この番組が特異なのは、その順番が決まっていないこと。即興ゆえ準備ができたコンビから自由に出ていくことができる。先にやるのは勇気がいるが、あとにするほどボケが被ってしまう恐れが高まってしまう。誰が、どのタイミングで行くか、裏ではそんな駆け引きが交わされているのだろう。

自由なのはネタ順だけではない。ネタの時間も自由だし、ネタをする回数すら自由。ひとつのお題に対し、何度出て行ってもいいのだ。そのために、セット裏にはどんな発想にも対応できるように無数の小道具が準備されている。即興コントに対応してきた『有吉の壁』でのノウハウが活かされていたに違いない。

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当然、即興ならではのハプニングはつきもの。だが、どんなことがあったとしても、最終的に観客を笑わせればいいのだ。予定不調和で原始的な笑いの戦いだ。そこでやめてもいいのに、もうひとボケ加えたり、もう一度登場したりする。スベるのは怖い。けれど観客の前で少しでもウケたい。自由さゆえにそんな芸人の“性(さが)”があらわになっていくのだ。

後半にはあっと驚くスペシャルゲストも登場しコントに参加する。芸人たちにとっては不確定要素が増し、さらなる対応力が求められる。一見、華やかでお祭り的だが、その実、芸人たちにとっては過酷なバトルだ。

賞レースは通常、作り込まれた笑いで勝負する。それとは真逆な発想といえるだろう。予選を勝ち抜き長い期間をかけるわけでもない。全ステージはわずか一日で行われる。つまり、たった一日の即興ネタで1000万円もの大金をつかみ取ることができるのだ。

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しかし、たった一日の即興は、一朝一夕でできるものではない。その一日には、出場者たちがけっして短くない芸人人生で培った経験や技術、そしてプライドが濃密に凝縮されているのだ。

そしてステージを重ねていけばいくほど、オリジナルコンビの絆は深まり、ライバルたちとの“戦友”感も生まれていく。敗れた者たちへの思いも背負っていく。まさにそこにも『少年ジャンプ』感が漂っている。果たして勝利をつかみ取り、真の「ゴールデンコンビ」の栄光をつかむのはどのコンビなのだろうか。

Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』

2024年10月31日(木)18時より独占配信開始

『THE ゴールデンコンビ』を観る!

※配信内容・スケジュールは予告なく変更になる場合があります
※作品の視聴にはAmazonプライム会員登録が必要です

“指名側”芸人へのインタビューはこちら!

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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