9番街レトロ×Sohbana「粗さが危ないけどおもろい」【『深夜のハチミツ!!』連動企画】
ハチミツ芸人8組がお笑い界のトップになるべく、話題になりそうなことに全力でチャレンジしていく芸人総合バラエティ『深夜のハチミツ!! Bee the top』通称『深夜のハチミツ』。数々の人気番組を輩出してきたフジテレビ深夜のお笑い番組の最新形だ。
ハチミツ芸人と新進気鋭のアーティストがそれぞれタッグを組み、「タオルをブンブンしたくなる曲」というテーマで楽曲を制作する「メジャーデビュー争奪戦!ハチフェス」が始動した。TikTokの再生数と、8月25日に『お台場冒険王』の特設ステージで行われるライブパフォーマンスへの観客投票をもっとも集めたユニットはソニーミュージックから正式にCDデビューすることができる。
ここでは8組による、「音楽×お笑い」の化学変化を記録するために対談連載を実施。今回は『ハチミツ』のエースである9番街レトロと、MAISONdesの住人でもあるボカロPのSohbanaに語ってもらった。
この記事は、音楽とカルチャーのオルタナティブメディア『NiEW(ニュー)』のコンテンツを一部転載したものです。
『深夜のハチミツ!!』の『ハチフェス』企画では、8組のアーティスト写真と楽曲ジャケットを『Quick Japan』が監修しています。
9番街レトロ(きゅうばんがいれとろ)
1995年8月9日生まれ、大阪府出身の京極風斗(きょうごくかざと)と1994年1月24日生まれ、大阪府出身のなかむら☆しゅん(なかむらしゅん)からなる吉本興業所属のお笑いコンビ。2019年4月1日に9番街レトロを結成。神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動中。『深夜のハチミツ』『ネタパレ』(共にフジテレビ系)といった番組に出演している。2024年7月にはナイチンゲールダンスとの冠番組『ナイチン街レトロ』(テレビ朝日系)がスタート。
Sohbana(そうばな)
1997年生まれ。2017年の初投稿から独学で成長を続け、賞レース『ボカコレ』上位入賞、『プロジェクトセカイ』書き下ろし等を果たす。こんな現実ですが頑張りましょう系の歌詞が持ち味。作家としても活動し、MAISONdes“トラエノヒメ“(2023)、中川翔子“65535”(2023)、“PEAKY”(2024)の作詞作曲 / 編曲を担当する。京都大学教育学部卒。
なかむら(9番街レトロ)から漏れ出たワード「寿司」を採用
ー今回の曲はどういったところから発想したんですか?
Sohbana:ボカロはいったん置いておくとして、バラエティ番組発の楽曲を作ってくださいというお仕事でもあるなと。今までやったことなかったんですけど、最初に思い浮かんだのはブラックビスケッツさんの“Timing”で、リファレンスにしました。つまりゴージャスで、とっつきやすく、元気が出て、ちょっと読み込んだら深いメッセージも込められてる、その要素は揃えようと思いました。
ー顔合わせのときになかむらさんがいろいろ捻り出したワードから「寿司」が歌詞のモチーフに選ばれましたよね。
この日本に共通の大好物
よく考えりゃ結構な単純さ
そんなSimpleを信奉し陸・海を制覇
って感じの相好で奴らは現れた
Sohbana:モチーフがあった方がわかりやすいし、番組を見てる人は流れもわかるから納得しやすいかなと思って。
京極(9番街レトロ):なかむらから漏れ出た「寿司」という言葉ですけど、Sohbanaさんが「いいですね」って言ったときは衝撃で。「そんなのもいけるんや」みたいな。安心感もありましたけどね。
なかむら(9番街レトロ):めっちゃうれしかったです。許容の幅が広い人やなって。
京極:打ち合わせの後半はSohbanaさんが「もうお寿司でいきましょう」ってなってましたから。
Sohbana:ボカロといえば病気っぽいワードみたいなイメージがあると思うんですけど、それがボカロと外との融和を妨げている原因だと思ってるんです。病気を連想するワードをかっこいいと思う時期ももちろんあるし、それはそれで残っていくべきだと思うけど、「うちらオタクだから」と僻む前にやるべきことがあるだろうと。その点では「無呼吸症候群」の案もありましたが、それよりも圧倒的に「お寿司」だなって。
京極:でも、お寿司でどないするんやろうと思って。「イクラ、いえーい!」みたいになってまうんちゃうかなと(笑)。でも曲としてはすごくかっこよくなった。
なかむら:すごいよな。
京極:陳腐になったら嫌だと思ってたんで、そこはよかったです。
Sohbana:京極さんがいなかったら、そういう感じの曲にしてたかもしれないです(笑)。お2人はボカロをわかってる人と、そんなに触れてこなかった人なので、バランスを思い浮かべながら曲を書くと一番いい感じになりますね。
なかむら:「そんなに触れてこなかった人」っていいですよね。「わかってない人」とは言わないところが好き。言葉が綺麗なんですよ。歌詞を見せていただいたときに、面白いワードとか言い回しがあって、お笑いに近いなと思って感動しました。僕の持ちネタの三三七拍子のパートも入れていただいて、あそこはもう全力を出さないとヤバいです。
ー今回はギャグなしで音楽をやる方が多い中で、あの部分は逆に異色になりました。
なかむら:ギャグタイムみたいだったらどうしようとは思ってたんですけど、いい感じで織り交ぜてくれました。
京極:曲中にいきなり「ここで! なかむら☆しゅんの! ギャグタイムー!」みたいな?(笑)
なかむら:そんなんやったらキツいですけど、上手く音楽の中に入れ込んでもらって、ありがたいです。
Sohbana:ボカロは元々かっこつける歌からふざけてる歌まであるので、その方向でも受け入れやすいと思います。
活動初期の粗さは良さでもある
ー一緒に曲を作ってみて、ネタ作りとの共通点はありましたか? それとも全く別物でしたか?
京極:共通点は、「その人が作ったものだ」っていう癖が出ることですかね。お笑いでいうと、2個フってから3個目でボケる、2個目でボケる、初手からいく、みたいに人それぞれの癖があって。音楽も曲の構成とかリズムとかの感じにその人が出るなと思いました。完全に違うのは、曲はリリースしたら作り直せないですよね。漫才ネタは100万回直してもいいんで。今日の気分でも変えるし。ライブバージョンとかあるにしても、僕なら震えてリリースできないですよ。
なかむら:とりあえず人前でやってみることができひんのは違いですよね。漫才だったら「だいたいこんなことやろう」で舞台に上がって、お客さんの反応見ながらそれっぽい流れでやることもできますけど、音楽だったら絶対できひんですもんね。
Sohbana:確かに、出してしまった動画をコメントをうけて変えたりはできないですね。曲ごとなかったことにする人はいますけど。僕は恥ずかしながら初投稿の音源も残しています。
京極:それができるのがすごいっす。
なかむら:初漫才の映像が上がってたら絶対に消しますよ。
Sohbana:その素人臭さが好きで聴いている人も中にはいるので。不完全なところが好きというか。
京極:わかる。音が割れてる頃の方がよかったみたいな。
Sohbana:ちゃんとした機材買っちゃうと標準に近づくので、おもしろくなくなる部分があったりするんですよね。
なかむら:お笑いでも、新ネタライブの粗さが危ないけどおもろいとかありますね。
京極:ツッコミも達者すぎると面白くないとかあるし。ちょっとしたサブカル感ですかね。
Sohbana:小さい劇場のお笑いと小さい規模のボカロは似てると思ってて、9番街さんはもう違うと思うんですけど、僕らが身内でボカロコピーのバンドイベントをやってたころの雰囲気を感じるんですよ。演者もファンも。
京極:「私だけ知ってるあの人らめっちゃおもろい」みたいな空気感はあるかもしれない。
ー最後の質問ですが、ライバルになりそうなペアはいますか?
京極:生ファラオは、魂に伝えるようなライブしそうなんで、熱量で観客持っていかれたらけっこう怖いですね。フェスの空気感だと、あいつら強いっすよ。
なかむら:ミスター大冒険。のりょうせいさんが信じられないくらい綺麗な声なんですよ。歌で持っていかれそう。
Sohbana:ミスター大冒険。さんと一緒にやってる高村風太さんはボカロPもやっているので気になります。
京極:でも横には角刈りがいるんで。気が散るから大丈夫。
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