東京吉本の若手芸人が所属する「神保町よしもと漫才劇場」から、今押さえておくべき芸人を紹介する連載「レコメンド神保町」。前途有望な若手芸人が日々、切磋琢磨しているこの劇場の中でも注目の芸人とは。
第5回はイチゴが登場。予測不能な言動を繰り返すイクトとされるがままの木原優一。独特の漫才で人気急上昇中のふたりに、結成の理由やイチゴのアピールポイントを聞いた。
イチゴ
イクト(1996年12月1日生まれ、埼玉県出身)と木原優一(きはら・ゆういち/1996年11月13日生まれ、新潟県出身)によるコンビ。東京NSC24期生として出会い、2021年5月20日に結成。『UNDER5 AWARD 2023』で決勝進出
8万人に負けた先で見つけた漫才への道
──まずはイチゴのアピールポイントを教えてください。
イクト そうですね……なんか、めっちゃつかんでくる人が出会ったときにどっちをつかめばいいかすぐにわかるところですかね。
木原優一(以下、木原) つかんでくる人いないだろ。
イクト 俺はこの髪型なのでつかむところがないって一瞬でわかるけど、こっちはすぐにつかめるので、つかんでくる人からしたら本当にありがたいコンビですよね。
木原 ありがたがれる人がいないだろ。
──木原さん的には……。
木原 つかまれたくないですよ。
──NSCで出会ったおふたりがコンビを結成したのは2021年ですが、その前から面識はあったんですか。
イクト たしかに実際の出会いはNSCなんですけど、理想は岩手県の腐った船の中です。ふたりとも親が漁師なんですけど遠洋漁業に行ったきり帰ってこなくて、親が残した船で力を合わせてふたりで暮らしてたんです。でも、ちゃんとした家もないし、お金もないから船のサビとかを食べてたので体があんまり強くなくて、こいつがある日、死にそうになっちゃって。それで俺がこのメニューをこなせば絶対治るっていう筋トレメニューを渡したんですよ。
木原 長いなー。
イクト そこから毎日ふたりで腕立てとスクワットと背筋を1000回ずつやったらこいつの体も治って、めっちゃ筋肉もりもりになって、ケンカも強くなって、最強のふたりになったんですよ。それで俺ら超強いから「東京で一発かまそう」って歌舞伎町とかでめちゃめちゃケンカしまくってたんですけど、ある日、8万人ぐらいの不良に囲まれて。
木原 8万!!!!?
イクト さすがに負けたんです。ふたりで3万ぐらいはいけたんですけど、残りの5万人にやられて立てなくなって。そんなとき、ふたりがなんとか手を伸ばしてつかんだのが、錆びた三八(サンパチ)マイク。それで、漫才やろうぜってなりました……っていうのが理想です。
木原 は?
──木原さんが出会ったときからイクトさんは変わらないですか?
木原 プライベートでの関わりは全然なかったんですけど、たしかにネタ見せとかでも変なネタをやってるなとは思ってました。
──コンビを組むまではそこまで関わりがなかったんですね。
木原 そうですね。お互い前のコンビが解散しちゃったとき、僕から「ふたりでなら絶対におもしろい漫才できる!」ってけっこう熱い長文のLINEを送って誘ったんですけど、「お前、誰?」って返ってきました。
イクト NSCのときは本当に前だけを見てたんですよ、物理的に。だけどこいつは何かのうしろにずっといたので、見たことがなくて。
木原 そんなわけないのよ。ネタ見せとかやってたじゃん。
イクト いや、なんか声も今より全然小さかったし、ちょっと陰湿な感じだったんですよ。だからたぶん、こいつがネタやってるときはそっちをうしろと定義してたんだと思います。
木原 俺がいるほうがうしろ? でも、たしかにNSCのときはずっとコソコソしてましたね。みんなで即興演技をやるってなったとき、まずリーダーを5人決めて取りっこで決めるってなったんですけど、普通に最後まで残りました。そのときはなんじゃ、こいつらと思ったんですけど、まあ選ばなかったやつは全員辞めたんで。
中身100で勝負するためのビジュアル
──木原さんはイクトさんのどんなところに魅力を感じて誘ったんですか。
木原 今もつかまれたりしてましたけど、それをやってくれるやつというか、めちゃめちゃにしてくれそうなやつを探してたんです。それにNSCのときからだいぶ目立ってたんですよね。当時は金髪だったので、見た目も全然こんなじゃなかったです。
イクト 昔は中身に100では自信がなかったので、見た目でかさ増ししてました。
木原 そういえば意味わかんないんだけど、なんで俺とコンビ組み始めたらそんな髪型になったの。
イクト 今はちょっと太ったんであれですけど、信じられないぐらい顔がかっこいいんですよ、僕。橋本環奈とかハーマイオニー(・グレンジャー)とかに似てて。それで人気すぎて3回ぐらいかな、Zepp Tokyoで単独ライブもやったんですけど。
木原 やってないです。
イクト 一番びっくりしたのは、朝、家の庭にでっかいトラックが入ってきて、何かと思ったらチャリが届いたんですよ。ライブも月に1、2回しか出てないときですよ。それでちょっとよくないなってことで、太って、この髪型にしたって感じですね。
木原 自転車は本当にもらってました。
──全部嘘のエピソードかと……(笑)。
木原 こいつのもらった自転車、僕も乗ってました。
イクト 結局、チャリは酔っぱらった同期に壊されましたけど。
──おふたりの漫才も本当に普段の感じのままというか。
イクト そうっすね。だから漫才やってる感覚ないっすもんね。基本的に台本はまったくないので、出てって、パンって適当にしゃべったらなんか知らないですけど、笑ってるって感じですね~。
木原 嘘です、しっかり台本作ってます。ふたりともアドリブはめっちゃ弱いんですよ。コーナーライブとか企画のときも先輩がいると全然黙ってますよ。ふたりとも話振られるまで、ひと言もしゃべんないです。
イクト やっぱり先輩は怖いよね、普通に。
木原 逆にまわりが後輩とか仲いい人だけのときは暴れてますけど。
──イクトさんから見て木原さんはどんなところが芸人として長所だと思いますか。
イクト 最近減ったんすけど。鼻の黒ずみっすね。昔は砂つけてきたの?みたいな感じだったんですけど。
木原 は?
イクト 黒ずみがビッチビチで、ちょっと押すとウニュって出てきたりもしたんですけど。
木原 汚すぎるだろ、そんなやつ。見たことないって。
小さな幸せを嚙みしめられる人間に
──続いて、おふたりから読者におすすめしたい趣味などをお聞きしたいのですが、ハマっていることなどありますか?
イクト 僕は歯周ポケットを広げてるんすよ。普通はみんな、中をきれいにしたり、広がらないようにするじゃないですか。でもちょっとずつ爪で広げてて。
木原 痛いだろ。
イクト 広げたところにリスと一緒で食べ物を備蓄してるんですよ。
木原 汚い! 腐るだろ。
イクト え? 腐んないよ。自分の体の中にずっとあるものだから。何も冷蔵庫にないなって思ってたのにプリンとか入ってたときめっちゃうれしくないですか、それと一緒。街歩いてて、お金もないし食べるものもないなと思ったら、歯周ポケットにネギとか残ってたらうわあ!ってなるんすよ。
木原 ネギじゃお腹も満たされないし。
イクト そもそも僕はこういう小さな幸せを噛みしめられるような人間でいたいんですよね。小さな喜びでお腹も満たされるんです。この幸せを噛みしめて、その日はゆっくり寝られるんです。
木原 それで幸せになれるんなら、俺はお前になりたかったよ。
イクト みなさんも歯周ポケット広げてください。
──木原さんは何かハマっていることなどありますか。
木原 クイズですね。『みんはや(みんなで早押しクイズ)』っていうクイズアプリがあるんですけど、やり始めたら朝になってたりするくらいハマってます。
──どんなところに魅力を感じているんですか。
木原 やってるだけで新たな知識が得られるんですよね。直近だと、タラバガニがカニじゃないっていうことを知りました。あいつらヤドカリの仲間らしいですよ。
イクト でも俺も最近、そういう知識得たわ。アボカドって実はアボカドじゃない。あれ、グレープフルーツ。
木原 意味がわかんない。
イクト 名前が入れ替わっちゃってんの! みんな!
木原 みんなが間違って覚えてるってこと?
イクト 間違ってるんじゃない、アボカド食べてるときに酸っぱいって思ったことある?
木原 ないよ。
イクト ないでしょ。でも、本当はめっちゃ酸っぱいんだって。だからみんながアボカドをアボカドって思いすぎてんだって。グレープフルーツも酸っぱいでしょ。でもグレープフルーツは、ほんとは全然酸っぱくないんだって。だから本当はグレープフルーツが森のバターなんだっていうのを最近知った。
木原 その記憶は消したほうがいいよ。
──たしかにその情報は……。
イクト あと、なんかタクシーも本当は鳥らしいです。だっておかしいじゃん、特に東京とかタクシーが一番多いじゃないですか。
木原 (タクシー以外の)乗用車のほうが多いと思うけど。
イクト でも、俺見たんですよ。この前、タクシーが卵を守ってるところ! 交差点の真ん中に卵が置いてあったんですけど、それをタクシーがみんなで! どういうことかっていうと……。
──ありがとうございました(笑)。
ライブで大事なのは協調性
──ライブを観てもらえれば、おふたりの魅力もより伝わるということですよね。
イクト そうですね。やっぱり僕らのよさは見た目も込みですからね。
──8月も同期の方々と毎月やっている『24人の侍』がありますね。
木原 そうですね。でも、このライブはめっちゃ人数多いんですよ。だから僕とかひと言もしゃべらずに終わるとか全然あるんで。
イクト 大人数の中でこの感じでやられてもみんな困るじゃないですか。協調性が重要ってことを最近わかってきたんですよ。だからちゃんと引っ込むようにしてます。みんなで成り立たせよう、みんなで盛り上げようっていうのを大事に。
──自分たちのよさが出ていると思う、おすすめの公演はありますか。
木原 ∞ドームで毎月『無法』っていうライブを鬼ぷりんと中華兄弟、あとはななまがりさんやタモンズさんをMCに迎えてやってるんですけど、それは本当に仲間しかいないんで、好きにやってますね。
イクト そうですね。本当はどんなライブでも内容は気にせず、ただおっきい声で笑ってくれる人だけ来てくれたらいいんですけどね。何を言っても、とりあえずでかい声出してほしいよね。
木原 そんな客ばっかりになったら、日本のお笑いが廃れるよ!
『24人の侍』
2024年8月16日(金)19:45開場/20:00開演
会場:神保町よしもと漫才劇場
前売:1,500円(税込)
配信:1,200円(税込)
詳しくはこちら
『お笑いライブ「無法」#22』
2024年8月19日(月)20:45開場/21:00開演
会場:ヨシモト∞ドーム ステージII
前売:1,500円(税込)
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