2021年に誕生した7人組ボーイズグループ「BE:FIRST(ビーファースト)」。昨年末には『NHK紅白歌合戦』に出演を果たし、日本のボーイズグループのシーンを引っ張る存在となっている。
そんな彼らのオーディションから現在に至る集大成ともいえる映画『BE:the ONE』が、8月25日から全国で公開される。本稿では最速試写会で『BE:the ONE』を観たライターの坂井彩花が、その魅力を紹介していく。
目次
BE:FIRST、デビューからの濃密な2年間を総括
社会現象となったオーディション番組『THE FIRST』によって結成されたボーイズグループ、BE:FIRST。2022年には「日本3大フェス」と呼ばれる『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』『SUMMER SONIC』『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演し、年末には『NHK紅白歌合戦』にも出場。
堂々たる功績は出演歴だけでなく、デビュー曲「Gifted.」は各種音楽チャートで40冠を獲得し、2023年の第1弾配信シングルとなった「Boom Boom Back」でも「Billboard JAPAN総合ソング・チャート JAPAN HOT100」で1位を獲得するなど躍進をつづけている。
そんな彼らのオーディションから現在に至るまでの軌跡が映画化された。タイトルは『BE:the ONE』。BE:FIRSTのプレデビュー曲「Shining One」のワンフレーズであり、さらに1stアルバム『BE:1』も彷彿とさせる。
「デビュー2年目にしてライブドキュメンタリー映画は時期尚早ではないか」といった声も聞こえてきそうだが、“チームBE:FIRST”が歩んできた濃密な時間を考えると、そんなこともないだろう。なにせBE:FIRSTにとって、これまでの2年間で積み上げた実績は序章に過ぎない。ここからのさらなる飛躍を加味すると、始まりの物語を総括しておくのは賢明だ。本稿では最速試写会で観た内容を踏まえ、映画『BE:the ONE』の魅力に触れていきたい。
3パートで構成された映画『BE:the ONE』
映画本編は、国立代々木競技場第一体育館にて開催された『BE:FIRST 1st One Man Tour “BE:1” 2022-2023』東京公演のライブパフォーマンスを中心に構成。曲間にインタビューやビハインド映像を挟みながら、「BE:GIN」「BE:AT」「BE:STY」といった3つのパートで展開されていく。
オーディション当時を振り返る「BE:GIN」では、もはや2年以上前となった『THE FIRST』の様子が組み込まれている。まだまだ垢抜けない初々しい出で立ちは、ファンには懐かしく、デビュー前の彼らを知らない人には新鮮に映ることだろう。
「たった2年間で人はこんなにも変われるのか」と、7人の進化をビジュアルの面でも感じざるを得ない。もちろん、胸熱な各審査や胸を引き裂かれる仲間との別れといったシーンもある。一つひとつの試練や別れを乗り越え、デビューに辿り着いたことを鮮明に描いていた。
中間部の「BE:AT」は、BE:FIRSTが音楽やグループについて語っていくパートだ。ここで実感できるのは、オーディション時から変わらぬメンバーの想いである。一般的にアーティストとしてのキャリアが重なっていくに連れて、デビュー時とマインドが変わっていくことは少なくないだろう。
しかし、BE:FIRSTは「クオリティファースト・クリエイティブファースト・アーティシズムファースト」というデビュー時から大切にしているマインドを、2年前よりも力強い言葉で語っていく。SKY-HIの掲げた羅針盤が、7人にもブレることなく引き継がれていることを色濃く実感できるはずだ。
ラストを飾る「BE:STY」は、タイトルのとおりBE:FIRSTとBESTY(BE:FIRSTのファンネーム)の関係性を紡ぐセクションである。メンバーがBESTYへの想いを語ると共に、BESTYがBE:FIRSTへの想いを熱弁している姿も収録。シームレスにつながれていく映像は、BE:FIRSTとBESTYがお互いを想い合っている今をハッキリと映し出していく。
中でも印象的なのは、BESTYからのメッセージをBE:FIRSTが受け取っている姿だ。ここで映し出されるメンバー一人ひとりの表情、所作、背中は、言葉以上のものを訴えかけてくる。ファンが胸の奥を打たれることはもちろん、彼らに興味ない人でさえ、その真摯な姿には自然と惹かれてしまうに違いない。
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