JUNG KOOKが見せた“BTSのマンネ”とは違う表情。ソロシングル「Seven」に表れる、たくましさと包容力

2023.7.20

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

文=伊藤み 編集=菅原史稀


BTSのJUNG KOOKが7月14日、初の公式ソロシングル「Seven」をリリースした。

昨夏より順次展開されているBTSメンバーによるソロ活動において、JUNG KOOKは6番目のカムバックとなる。リリースの公式発表に先駆け、レコーディングが行われていることが明かされており、ARMY(BTSファンネーム)たちもカムバックを待ちわびていた。

そして発表された、「Seven」というタイトル。ARMYたちがそこに込められた意味を推察しつつ迎えたリリース当日、筆者も含め、それが1週間を指しており“愛する人をひたすらに想う楽曲”であったことは、やや予想外だったように思う。「Seven」は、JUNG KOOKが世界に放った底なしの愛だった。

BTSのメインボーカル、最年少メンバーJUNG KOOK…その魅力

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

グループではメインボーカルを務め、センターとしてステージを牽引することも多い、メンバー最年少のJUNG KOOK。芯の強さと線の細さを併せ持つような歌声、筋骨隆々とした身体から繰り出されるパワフルかつ華のあるダンスといったパフォーマンス面もさることながら、現状に安住することのないストイックさ、兄同然の6人のメンバーやファンたちへの無邪気な愛情表現など、彼の魅力は枚挙にいとまがない。

JUNG KOOKの歌声に惹かれた海外アーティストからのラブコールも数多く上がっており、音楽に実直に向き合いつづける彼の躍進は留まるところを知らないほどだ。

個人の活動で見せる新たな表情

정국 (Jung Kook) ‘Dreamers’ @ FIFA World Cup Qatar 2022 Opening Ceremony

個人の活動としては、チャーリー・プースとコラボした「Left and Right (feat. Jung Kook of BTS)」、2022 FIFAワールドカップ カタール大会の公式ソング「Dreamers」などが記憶に新しい。特に「Dreamers」を披露したW杯開幕式での堂々とした姿は、音楽シーンのみならず世界に存在を強く示すかたちとなり、メンバーたちはもちろん世界中のARMYが誇らしさを覚えた。

また、近頃のJUNG KOOKはコミュニティプラットフォーム・Weverseを通してライブ放送を積極的に行っており、ファンと直感的なコミュニケーションを取っている。歌を歌ったり、食事をしたり、運動をしたり……他愛ない日常までも共有してくれるスタイルに、JUNG KOOKならではの愛嬌も感じられる。そんななかで着々と進められていたであろう、待望のソロプロジェクトがついに始まった。

今回の「Seven」リリースに合わせ、ミックステープとして発表されたソロ楽曲「Still With You」および「My You」が公式リリースされ、各種配信サイトで視聴できるようになった。「Still With You」は83の国・地域のiTunes「トップソングチャート」で1位に輝き、「My You」も日本、フィンランド、パラグアイ、カタールなど15の国・地域の同チャートで1位を記録。

「Still With You」は2020年、「My You」は2022年の“FESTA”(BTSのデビュー記念日を祝う恒例イベント)で公開されたもので、「My You」に関しては2021年にJUNG KOOKが自身の誕生日の際、ARMYから送られた言葉を歌詞として制作した楽曲が原型となっている。

哀切な空気感をまとった「Still With You」に、暖かく包み込んでくれるような「My You」と表情の差はあれど、歌詞には自身に影を落としている内面を打ち明けるような共通点があった。「Seven」でも、そういった内省的な部分が滲み出ているのかと予想していたのだった。

たくましさと包容力にあふれたソロ曲「Seven」

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

「Seven」はアメリカの女性ラッパー・Lattoをフィーチャリングに迎えた、軽快なギターサウンドが体を揺らすサマーソング。キャッチーでありながらそこはかとなく情緒的なメロディに中毒性があり、JUNG KOOKの肩の力を抜いたボーカルと聴き手をつかんで離さないようなLattoの魅惑的なラップが際立っている。

歌詞の内容について、JUNG KOOKはインタビューにて「愛する人といつも一緒にいたいという気持ちを歌いました。曲のタイトルのように、月曜日から日曜日までずっと一緒ならいいという思いを込めた情熱的なセレナーデです」と語った。“週に7日 毎時、毎分、毎秒すべて 毎晩君を愛するよ”とひたすら愛を伝えつづける情熱がふんだんに詰め込まれ、ソロ曲としてはこれまでになかった雰囲気を醸し出している。

女優ハン・ソヒが相手役を務めたミュージックビデオも、公開されるやいなやJUNG KOOKの情熱っぷりにARMYたちはお祭り騒ぎだった。

정국 (Jung Kook) ‘Seven (feat. Latto)’ Official MV

さらに「Seven」には“Clean Ver.”と“Explicit Ver.”が存在し、“Explicit Ver.”ではより直接的な表現がされているようだ。思い返してみれば、先立って公開されたショート映像やコンセプト写真でJUNG KOOKは挑発的な視線を投げかけており、BTSのマンネとはまた違う大人の余裕を感じさせていた。「Seven」が25歳のJUNG KOOKの魅力を引き出した。

https://www.youtube.com/watch?v=x6mc_rRwD3A
Jung Kook of BTS performs ‘Seven’ in NYC l GMA

「Seven」のパフォーマンス初披露の場は、アメリカの情報番組『GOOD MORNING AMERICA』が主催するニューヨークでの「2023 Summer Concert Series」の予定だったが、天候の関係で事前収録の映像がYouTubeで公開されるかたちとなった。

ダンサーを従えて開放的に歌い踊るJUNG KOOKには貫禄も漂い、パフォーマンスを重ねてこの曲はますます深みを増していくのだろうと実感する。このとき同時に披露された、BTSのアルバムに収録のソロ曲「Euphoria」が儚さや危うさを想起させるとしたら、「Seven」にはたくましさと包容力が満ちているようだ。

ソロアルバムはどんな作品に?

정국 (Jung Kook) ‘Seven’ Recording Film Preview

“レコーディングフィルム”のティザー映像では、「ああ、緊張する」「難しい!(笑)」とレコーディングに臨みつつも、「『こうやればできるんだ』っていう自信ができた気がします」と技術的な面でも手応えを感じた様子のJUNG KOOK。デビューから10年を過ぎてもなお、どこまでも貪欲に吸収しつづけ、歌手としての実力を追求する彼の姿勢に人々は魅了されるのだろう。

そしてうれしいことに、「Seven」につづきソロアルバムの準備も進行中だと公言されている。アルバムでもきっと、ARMYの予想を遥かに超えてくる気がする。JUNG KOOKのソロ活動が私たちを、世界をどう揺らすのか、また大きな楽しみができた。

この記事の画像(全6枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

伊藤み

1988年生まれ。WEB、雑誌編集を経てQJWebなどへ寄稿中。

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。