TWICEの“妹分”は、ここが新しい!「ガールズグループの名家」が生んだITZY、NiziU、NMIXX、それぞれのカッコよさ
K-POPを熱心に追っていない人でも、TWICEの名前は聞いたことがあるのではないか。メンバーに3人の日本人(モモ、サナ、ミナ)がいることもあり、日本国内でも屈指の知名度、人気を誇る彼女たちは、現在における日本国内でのK-POPブームに大きく貢献したK-POPグループと言っても過言ではないだろう。
TWICEは、韓国の芸能事務所・JYPエンターテインメントの練習生たちが参加したオーディション番組『SIXTEEN』を経て2015年にデビューしたグループである。しかし同芸能事務所は、TWICEデビュー以前、そしてデビュー後現在に至るまで、数々の人気ガールズグループを世に送り出しつづけてきたことで知られている。2020年には、オーディション番組『Nizi Project』とそこから誕生したNiziU(ニジュー)が大きな人気を博し、名物プロデューサーのJ.Y.Parkが注目を集めたことで、ここ日本でも一躍脚光を浴びた。
本稿では、「ガールズグループの名家」とも称されるJYPエンターテインメントにおけるガールズグループの遍歴を紹介する。
目次
TWICEが背中を追ったグループ、Wonder Girlsとmiss A
TWICE以前に活躍し、事務所の歴史を作ったガールズグループが、Wonder Girlsとmiss Aだ。この2組の名前は、最近K-POPのファンになった人にとってあまり聞きなじみのないものだとしても、韓国内、および海外のK-POPファンの間での彼女たちの人気や評価は高い。
2007年デビューのWonder Girlsは、1stアルバムのリード曲「Tell me」にて「Tell me シンドローム」という一種の社会現象とも呼べるほどのブームを巻き起こしたし、2010年デビューのmiss Aはデビュー曲「Bad Girl, Good Girl」にて新人グループながら音源チャート1位を記録、音楽番組では当時最速となる1位の記録を樹立するなど、華々しい記録を持つ。
上述の「Tell me」「Bad Girl, Good Girl」のほかにも、それぞれがランキングで上位を勝ち取った名曲を挙げるのは容易だし、これらは音楽番組や複数グループが参加するコラボレーションステージなどでも時々カバーされる、いわば“K-POPクラシック”になっている。あのTWICEもオーディション番組内の課題曲として取り組んだことがあるほどだ。
“先人”である彼女たちの背中を見て練習生期間を過ごしたTWICEが世に羽ばたいたように、TWICEの背中を追って同事務所からデビューしたガールズグループが3組ある。しかし、“妹分”だからといって実力が劣るわけではないし、“名家”からデビューしただけありパフォーマンスや個性など光る部分が数多くある。ここからはその3組、「ITZY(イッチ/イッジ)」「NiziU」「NMIXX(エンミックス)」の特徴、そしてその魅力を示したい。
洗練され独立した女性像を示す、ITZY
2019年デビュー、新人らしからぬ自信たっぷりで堂々とした振る舞いを見せたのがITZYだ。TWICEがデビュー曲で和気あいあいとした雰囲気、フレッシュで等身大の魅力を表現していたことを思うと、同じ事務所ながら、その印象はまったく違う。洗練され独立した女性像が、ITZYのデビュー曲「DALLA DALLA」MVでは描写されている。
今でこそ歌詞の中で「自己肯定感」や「自己愛」を歌うグループも数多くあるが、当時のガールズグループでは珍しく、「私は私が好き」「君の基準に私を合わせようとしないで」というエンパワーメント性が強い歌詞によってリスナーの共感を呼び大きな支持を集めたことで、第4世代(2000年以降に生まれたメンバーによるグループ)という新しい世代の旗手となった。また、5人という少人数グループでありながら、ほかの大人数グループに見劣りしない迫力のあるステージは個々の存在感、ステージスキルがあってこそ。思わず目を惹きつけるような高難易度のダンスをしながらも息切れすることなく歌うITZYはアスリート集団であるかのような印象すら覚える。
海外11都市で行われたデビューショーケース、世界的な流行を見せているHIP-HOPをベースとした楽曲、英語バージョンの自らの楽曲のリリースなど、より海外を指向したグループだといえるだろう。
K-POPアイドルカルチャーの門戸を開く、NiziU
日本国内での知名度は3組の中で一番高いであろうNiziUは、2020年デビューの9人組グループ。いくらK-POPはダンスがすごい、この曲がいい、といったところで言語による障壁があるのも事実。その差を埋めてくれるのがNiziUであるというのが、筆者が彼女たちに抱いた第一印象だ。
デビューメンバーの選抜過程に密着したオーディション番組『Nizi Project』が朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ)で取り上げられたこともあり、その姿を目にしたことがある読者も少なくないはず。日本語であるがゆえに歌詞が理解できるということに始まり、言葉による情報はその文字上の意味に留まらず、抑揚や方言などのしゃべり方から見えるパーソナリティ(及びパフォーマンスとのギャップ)に惹かれ“推し”ができてしまった人もいるだろう。もちろんそういう入口だってアリだ。NiziUしか興味がなくてもいい。歌い、踊り、努力する姿を見せるアイドルを応援するK-POPアイドルカルチャーの門戸をNiziUが広げた。楽しみ方も人それぞれだ。パフォーマンスを見て自分が心惹かれる瞬間を見つけるのもいいし、一大ムーブメントを起こした「縄跳びダンス」を踊ってみるのもいい、普段の姿や撮影風景を追ったYouTubeチャンネルを観てみるのもいいだろう。
NiziUリーダーであるMAKOの実直な受け答えや、空き時間にも筋トレやダンスの練習などに取り組むストイックな姿はまさに「真実・誠実・謙遜」というJYPエンターテインメントの社訓を体現しているように思う。NiziUをきっかけに、同じ素養を持ったほかのJYP所属アイドルを見て興味を持ち始めるファンも多いのではないだろうか。彼女たちは、まさにJYPと日本をつなぐ架け橋といえる重要な存在なのだ。
メンバー全員がエース級、NMIXX
最後に紹介するのが2022年、今年デビューしたばかりのNMIXXだ。ふたつ以上の曲ジャンルを1曲に落とし込む「MIXXPOP(ミックスポップ)」というジャンルを標榜した奇抜とも取れる楽曲、そしてそのインパクトに負けない圧倒的なパフォーマンス力が彼女たちのすごさだ。同ジャンルのまま途中で曲の速さが変わる曲はこれまでにもあったが、まったく異なるジャンルを行ったり来たりする楽曲を中心に活動するグループはK-POPにおいても前例がない。
上手に調和しているかというと、正直にいって、難しいものがあると筆者は考えているが、一方でビートスイッチ、曲調が変わった瞬間の爽快感には、ほかの楽曲では得られないものがあるのも事実。メンバーのSULLYOON(ソリュン)も「初めは難しいかも知れないが、5回聴くと中毒になるだろう」と語ったことがあるとおり、ビートスイッチによって1曲がより短く感じ、つづけざまにリピート再生してしまっている筆者はまさに“中毒”になってしまっている。TikTokやYouTube Shortsなど、ショート動画コンテンツが流行している昨今では1曲を飽きさせずに聴かせる工夫が凝らされるも当然だし、何より手堅く売れる“安全なポップス”ではなく“MIXXPOP”で新しいスタンダードを作ろうとしている老舗事務所らしからぬスタンスはかっこよく思える。
また彼女たちは「メンバー全員がエース級」と言われるほど実力に定評がある。中でも特に、K-POP第4世代で屈指のボーカリストといわれるメンバー、LILY(リリー)の歌声に注目してほしい。
“ガールズグループの名家”の未来は
ここまで3組のJYP所属のグループを紹介してきた。本稿タイトルでは「TWICEの“妹分”」という言葉を用いたものの、TWICEと同じコンセプトを彼女たちに辿ってほしいということではない。すでに売れたグループのマネをすることなく、時代やマーケットに合わせてコンセプトを変え、光り輝くオリジナリティを見せている彼女たちはそうする必要がない。しかし、あわよくば、もっと大きなステージでパフォーマンスをする、第一線でガールズグループの新たな価値観や魅力を発信しつづける彼女たちの姿が見たいという願いを、本稿のタイトルに込めた。
“ガールズグループの名家”JYP所属のアイドルから今後も目が離せない。
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