「元・社長、現・地下芸人」の神宮寺しし丸。46歳。類を見ない肩書を持つ彼が、学校や職場などでさまざまな悩みを抱え、生きづらさを感じている皆さんが少しでも生きやすくなるような「生き方説明書」なるものを綴る連載コラムです。
昨今、地下ライブの話を耳にする人も多くなってきたかと思いますが、地下芸人歴25年戦士の経験値は、レベルが違います……。
『実体験!本当にあった芸人恐い話』
いよいよ夏本番! ということで、今回は僕が経験した恐い話を。
あれは今から18年ほど前。暑い夏の日でした。
太田プロに入りたてだった僕の仕事と言えばお笑いライブのみ。その日も、とあるライブの仕事を事務所からいただき、地図にある劇場へ向かってました。
初めて出演するその日のライブ名は「カリスマ芸人待合室」。劇場名は「吹きだまり」。変なライブ名だし変な劇場名です。とはいえ、貴重なお仕事。しっかりとネタの準備をして劇場へ向かっていました。
しかし、なかなか劇場が見当たりません。地図を片手に周辺をぐるぐる2〜3周してようやく見付けました。
その劇場は薄暗い路地裏の地下にありました。劇場の入口には小さく「カリスマ芸人待合室、本日開催」と書かれた破れた張り紙が。こんな所にカリスマ芸人が待っているはずもありませんが、とにかく劇場の扉を開き中へ。
するといきなり! 「おはようございま〜す」と、ヨダレを垂らしたお爺さんが現れました。僕は悲鳴を上げそうになりました。どうにか悲鳴を堪えて、「お、お、おはようございます」と震える声で挨拶を返します。このヨダレを垂らしたお爺さんがこのライブの主催者だと言います。
「とんでもないライブに来てしまったなぁ……」僕は動揺を隠し、挨拶を済ませると、とっととネタをやって一刻も早く帰ろうと心に誓いました。
【ギャラの恐い話】
ほとんどの芸人にとって、新人の頃の仕事はライブのみです。ライブに出てギャラを貰って帰る。そのギャラを事務所に持っていき、数パーセント(事務所によって違う)抜かれて、改めてギャラを貰う。
ライブのギャラの相場は1000円〜3000円ほど。なので実質ギャラ数百円なんてことも当たり前。交通費でマイナスになることも……。恐いですね。