何年経っても忘れられないセクハラ。キャバクラは何をしてもいい場所ではない(本日は晴天なり)

本日は晴天なり

お笑い芸人として活動しながら、キャバクラで働いていた経験のある、本日は晴天なり。

キャバクラではNGなしのスーパーヘルプとして活躍していた彼女が、“レジェンド級常連客”を楽しませるコツとキャバクラ初心者がやりがちなミスを紹介。何を言っても肯定されるけど、なんでも許されるわけではないのがキャバクラなのだ。


間違いを指摘しないのがキャバクラ

私の働いていたキャバクラには、オープン当初から通う歴史の証人、通称“レジェンド級常連客”と呼ばれるお客様たちがいた。

誰にそう呼ばれているかといえば、私が勝手にそう呼んでいただけだ。

レジェンド常連客は、全員「俺が一番古い客だ!」と豪語している。店が25周年なのに35年前から通ってると言うのだ。

私が勤め始めて1年目のころに「俺はこの店に20年前から通ってるんだよ」と言ってたのに、3年目くらいで「俺はこの店に30年通ってるんだよ」と、3年で10年もジャンプアップするのである。

そんなジャンプアップを重ねた結果、店の創業より長く通ってると言い出してしまっていることに、もちろん本人は気づかない。誰も指摘しないで「すごーい!」と言いながらニコニコ聞いている。

キャバクラとは、とても優しい世界なのだ。

本当に自分のことを思ってくれる人は、ほかの場所で恥をかかないように指摘してくれたりするものだが、キャバクラに来る人は、もう指摘してくれる人なんて要らないのかもしれない。

レジェンド常連客の中には、全部乗せのお客様がいた。「全部乗せ」とは嫌な側面のフルコースのことだ。誰かがそう呼んでいたわけではない、私が勝手にひとりでそう呼んでいた。というか、このコラムに出てくるあだ名は、たいがい私が勝手に名づけている。

全部乗せレジェンド常連客は毎回、新人を席につかせるよう要求し、同じおやじギャグを言い、同じ自慢を同じ口調でする。どの話をすれば自分が気持ちよくなれるのかしっかりわかっているのかもしれない。

そもそも同じ自慢話を100回は聞いたであろう御姉様キャバ嬢たちは愛想を尽かして、この全部乗せレジェンド常連客に「NG」を出していたし、全部乗せレジェンド常連客も自慢話に対して反応の悪い古株勢に「NG」を出していたので、自動的に新人の子がつくことが多かった。

キャバ嬢はどうしても合わなかったり、過去に揉めたり、無理なお客さんにはNGを出せる。

もちろん、お客さん側からも同じことができるのだ。

理不尽なお客さんも厄介なお客さんも、お金持ちならお店的には万事OK的な部分もある。

しかし、その全部乗せレジェンド常連客は、ケチだった。さらに、店以外で飲みに行こうとするし、旅行にも誘ってくる。全部乗せたるゆえんである。

ちなみに私は、店の従業員曰く「唯一、誰からもNGが出てないキャバ嬢」だった。

お客さんからも、お店の女性陣からもNGがなかったのである。全部乗せレジェンド常連客からもNGはもらっていなかった。

もしかしたらこうやって私のことを持ち上げて、厄介なお客さんの席につかせるように鼓舞してただけなのかもしれないが……。

意外と重要なヘルプ嬢の役割

本日は晴天なり

キャバクラにはヘルプという仕組みがある。

指名嬢が同じ時間にほかのお客さんにも指名されている場合、指名嬢は自分を指名してくれているお客の席を行ったり来たりする。だいたい15分~20分ずつ入れ替わっていく感じ。

その場合、指名嬢がいなくなったときにお客さんがひとりぼっちになったらマズいので、ほかの女の子が代わりに接客する。これがヘルプだ。

自分の指名の子が頻繁に席を外したり、なかなか自分のところへ戻ってこないと機嫌を悪くしたり、ひどいときはもう帰る!と言い出すお客さんもいるので、お気に入りの子がいなくても楽しいと思わせなくちゃいけない。意外と思うかもしれないが、ヘルプはめちゃくちゃ大切な役割である。

ヘルプ嬢からしたら、自分のお客さんでもないし、知らんがな!と思うことが多い。

だから、知らんがな!精神で適当にヘルプをする子が多い。こういう子は盛り上げない。黙る。サボる。

「逆にメロメロにさせて奪い取って自分のお客さんにしてやろう」と、すごいバイタリティのある子もいるため、指名嬢もヘルプに当たる女の子はけっこう気にする。

指名嬢からしたら自分の大切なお客さんの気分を害されたらフォローが大変だし、自分がいない間にしらけて帰られたら売り上げも上がらないので、信頼している女の子に任せたいのは当然だろう。

中には、私にメロメロなんだから、どんだけつまんない時間がつづいても耐えれるわよね?ばりにヘルプに無頓着な強者もいた。


場を盛り上げるための恋愛相談

私は、NGナシということもあり、自慢じゃないがスーパーヘルプと呼ばれていた。

合コンでモテないけど一生懸命その場を盛り上げる男の子、みたいな対応をしていたからだ。

それとヘルプに入ったとき、私は現在進行形の恋愛相談をしていた。ヘルプの場合は、恋愛相談ネタが盛り上がると私の中では統計が出ていた。

キャバ嬢はアイドルと同じく恋人の存在を隠し、夢を売る商売。

店の御姉様方に恋人がいたのかは知らないが、基本的にはいてもいなくてもいないと言うのがキャバ嬢である。

疑似恋愛を楽しみに来ているお客様は多いが、そこは人間だもの。疑似じゃなくなるお客様も多い。

だからこそ、現在進行形の恋愛相談をしてくるのは珍しいパターンなので興味を持ってもらえるのだ。

しかもそのお客様には心に決めた指名嬢がいるので、私が恋愛相談をしても嫌な気持ちにもならない。

ほかの人にできない秘密の相談をされている!信用されている!と感じてくれるのだ。

さらに相手の好みによっては、ちょっとした下ネタも挟める。大前提として私の存在に興味がなくても、隣に一定の時間座っていなくちゃならないのだから天気の話をされるよりずっとマシだろう。

もちろんこの恋愛相談は本当の相談じゃなくていい。過去の恋愛を今の悩みかのように話すこともあれば、普通に過去の失敗談として話し、どんな人がいいか相談するのも自由だ。

ただ、こういった話をすると下ネタ話したいだけモードに入るお客さんもいる。

「その彼とはやった?」

私の中では「元カレと何回やった?」が、キャバ嬢人生で一番傑作な質問である。

回数を聞いてどうなるのだろう。覚えてないよ、回数は。数えてないし、仮に数えていてメモってたとしても、その場でスッと出てくるほど記憶してないし。

一度、「元カノと何回やったんですか?」と聞き返したら、そんなの覚えてるわけないじゃん!と返された。

お客様はどんな局面でも一貫して相手の立場を考えることが難しいようだ。

キャバクラでは“触れる代”が含まれていないことを忘れないで

本日は晴天なり

スーパーヘルプとして活躍(指名じゃないので給料は上がらない)していた私は、ちょっとタチの悪いフリーのお客さんにも積極的につけられた。

フリーのお客さんがやりがちなミスとしてわかりやすい例は、過度なセクハラである。

キャバクラにはセクハラらしき言動が日々飛び交いまくってはいたが、ここでの定義はちゃんと触ってくることをセクハラとする。

ふらふらと腕を振りながらどさくさ紛れに胸触ってきたり、胸についているネームプレートを確認しようと手を伸ばしそのまま胸を触ってきたお客様もいた。

そのとき、とっさにその手を振り払ってしまったことがあった。

するとお客様は「今、本気で怒ったよね?」と言ってきた。

顔も覚えてないけど、いまだに悔しくて忘れられない。超温厚人間でアンガーマネジメント上級者の私ですら悔しくて何年も忘れられないくらいムカついたので、ほんと、ちょっとくらいいいだろという気持ちで痴漢やセクハラする人は刑務所に入ってください。マイクロチップとか埋められて、いらやしい気持ちになったら脳に電流が走るようにしてください。そこにたっぷり税金を使ってください。

隣に座ろうとしたときにソファに手を置いて尻を触ろうとしてくる人。

チャイナドレスのスリットから見える脚をなでてくる人。

数多のセクハラをされた。

正直、この人たちの感覚は麻痺している。

しかし、何度も言うが、普段はまじめに働いている人たちばかりなのだ。

普段はきっと、女性社員に絶対そんなことをしていないであろう人たち。

キャバクラでは、なぜかOKだと勘違いしてしまう。

「おっぱいを触らせてください」と言ってもらえたら「ダメです」と言えるのに。奴らは気づいているのだ。酔っ払っていても悪いことをしている自覚がどこかにあるのだ。そう思うと、勘違いではなく確信犯だ。

女性として許せないという気持ちとは別に、セクハラの何が腹立つかというと、タダで触ろうとするところである。

風俗店には、しっかり“触れる代”がかかっているのだから、無賃で触ろうとするなんて、タッチもせずに改札を突っ切るのと一緒だ。(タッチはしてるけど)

セクハラされた席では必ずドリンクを2杯以上飲んだ。少しでも料金を上乗せしたかった。店にもよるが私の店では1杯につき100円のバックが入る。200円でも私の体を触った代を払わせたかった。

私はセクハラされたら、相手の二の腕の内側の肉をちょこっとだけつかんでつねるようにしていた。

「も~! ダメだぞっ! えいッ★」とふざけてる風に。

これは、ぐっとつまんでつねるよりかなり痛い。

酔っ払ってセクハラしたのも覚えてないだろうから、少しくらいつねってもどうせ覚えてないだろうと。万が一、意識がハッキリしていても女の子が「えいッ★」くらいの感じでつねってきたことを本気で怒ったら、器の小ささを露呈してしまうため、絶対に怒られない。

時には、ふざけてじゃれてるフリをして殴ることもあった。

少しくらい殴ってもどうせ覚えてないだろうと。(以下同文)

翌朝、「あれ? なんで腕痛いんだろう?」くらいのダメージを与えたいと思って肩パンをしていた。

私は、女子プロレスの練習生だった期間があり、そのときはチャイナドレスの袖口がパッツパツになるくらい鍛え上げられていたので、そのころに殴られたお客さんはちょっとだけかわいそうだった。

何度注意してもセクハラをしてくるお客さんは、咳が我慢できないのと同じなんだと思うようにした。

そんなお客様は手をぎゅっと握った。

やんわりと握ったくらいじゃスリ抜けて触ってくるので血管が浮き出るくらい渾身の力で握った。

相手もだんだんムキになって、最終的にはふたりとも立ち上がりプロレスの手四つみたいになり「なんなんだよ! なんなんだよ! お前はよおおおぉぉぉぉ!!」と叫ばれたことがあったが、コッチが「ウフフ、アハハ」と笑っている限り、まわりから見たらただじゃれ合ってるだけなので注意されたりすることはなかった。むしろ、ちゃんと盛り上げてるな~と評価された。

場が一気にしらけるので奥の奥の手だが、どうしてもセクハラをやめてくれないとき、相手に子供がいる場合は「娘が同じ目にあってたらどう思いますか?」と言って意気消沈させていた。

まるでコッチが悪人かのような傷づけられた顔をし、ため息までついてボヤくので本当におすすめはできないが、もうこいつとは二度と会わないだろうくらいの気持ちが芽生えたとき、2回ほど発動させたことがある。

ただ、相手の子供が息子だった場合、まったく通じない言葉なので、いったん確認しなくてはならない。

私が出会ってきたセクハラ客たちは、自分の立場以外の人の気持ちを想像できない生き物なのだ。

これからキャバクラデビューを考えている方は感覚が麻痺しないように気をつけてほしい。

自慢やくだらない話なら、表面上はウンウン!って優しく聞いてくれるから安心して。

でも、セクハラだけはダメ。

「お金を払うコッチが気を使うのかよ!」と思った人は、普通の飲食店でできないことはしない、とだけ考えてくれたら。

気を遣ってほしいわけではなく、ごく最低限のお願い。何度でも言う。お金を払っていれば何をしてもいいわけではない。

【関連】キャバクラでおじさんたちから学んだ「ブス」への上手な返し方


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本日は晴天なり

太田プロダクション所属のピン芸人。キャバクラバイト歴10年、身長173センチの長身女子。推し事が中心の日常も、YouTube『本日は晴天ちゃんねる』にて垂れ流し中。

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