46歳のジジイ芸人「3つになった玉袋」で天下を獲る|神宮寺しし丸の“生き方説明書” #9


 「元・社長、現・地下芸人」の神宮寺しし丸。46歳。類を見ない肩書を持つ彼が、学校や職場などでさまざまな悩みを抱え、生きづらさを感じている皆さんが少しでも生きやすくなるような「生き方説明書」なるものを綴る連載コラム


“五十路芸人”錦鯉の『M-1グランプリ』優勝から、にわかに「おじさんブーム」が到来しているとか。ジジイ芸人真っ只中の僕としては嬉しい兆しではあるのですが、ジジイ芸人にとって笑いよりも大事なこと、それは健康。「体を張って笑いを獲る!」なんてもってのほか! 健康第一! 無病息災!

しかし、ジジイ芸人の天敵であるはずの“病”が思わぬ方向に転がることも。

『ある朝キンタマが3つになっていた…』

数年前に風邪を引いた時のこと。

その風邪は咳が酷く、風邪薬を飲んで寝ようとするのですが、ゴホゴホと咳が邪魔して寝れません。痺れを切らした僕は、お腹にグーーーッと力を入れ、咳を抑え込みます。そうすることでようやく眠りにつきました。

そして、翌朝。咳も治まり、体調はかなり良くなっていました。しかし、下半身になにやら違和感が。薄く鈍痛のような痛みがあります。その痛みの元を辿ってみると、キンタマ袋が大きく膨れ上がってるではありませんか!

※女性の読者様は分からないと思いますので、キンタマ袋のサイズ感について少しご説明致します(よく知っているわよ!という女性もいるかと思いますが)。キンタマ袋というのはだいたい生牡蠣2つくらいのサイズ感です。冬場は寒さから、鍋で煮込んだ牡蠣くらい小さく縮み込みます。

ちなみにジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』でたぬきがキンタマ袋を広げて空を飛ぶという描写がありますが、実際には無理です。

話は風邪の翌朝に戻ります。

生牡蠣サイズのはずのキンタマ袋が、グレープフルーツほどの大きさに膨れ上がっておりました。触ってみると、袋の中に本来2つあるはずのタマが3つに増えているではありませんか!

女性読者にも分かりやすく例えるなら、朝起きたらオッパイが3つに増えている状態です。そりゃ、キンタマ袋もグレープフルーツになる訳です。「今なら袋を広げて空も飛べるのでは?」と思う余裕などなく、急いで病院へ。

病院に到着し、先生にグレープフルーツを診て貰います。先生はグレープフルーツを触りつつ。

先生「昨日何か激しい運動しました?」

しし丸「いえ、風邪引いて咳が酷くて寝てました」

先生「あぁ、これ脱腸ですね」

先生が言うには、咳を堪える時お腹に力を入れたせいで腸がキンタマ袋に入って来たとのこと。そんな気軽に入って来るとかあんのか? 友達ん家じゃないんだから。

先生はグレープフルーツを触診しつつ、「これさえ戻ればなぁ」と3つ目のタマの正体だった腸を押し戻そうとします。「痛たたたっ」。痛がる僕を見て。「これは手術ですね」。
手術!? ちょっとした風邪がとんでもないことになってしまいました。普通にしてる分には痛みはそれほど無いことから、3日後に手術する事に。3日間グレープフルーツのままかよ・・・。

次の日。丸1日グレープフルーツと一緒にいると、不思議なのものでそれなりに情が湧いて来ます。
「このままだと女のコとSEXする時に引かれるかな? いや、電気消せば分かんないよな。そこまでマジマジとキンタマ見るコもいないだろうし」「仕事でこのキンタマ出したらウケるかな? さすがに引くか? そもそもキンタマ出す仕事ってあんのかな?」などなど、このまま手術しないでグレープフルーツと共に生きて行くことも考えながら何気なくグレープフルーツを触っていると、“ツルんっ”という感触が!

「え???なんだ今の!?」

なんと腸が戻ったのです! 思わず「やったー!」と叫んでいました。グレープフルーツに湧いていた情など吹き飛び、元に戻った生牡蠣に歓喜しました。

しかし、叫んだ拍子に今度は“ヌルんっ”とまた腸が出て来ました。そして、少し押すとまた腸は“ツルんっ”と戻っていきます。

「なんだこれ?」

どうやら、脱腸になったことで腸のパッキンのような物が緩んだようで、出入り自由になってしまいました。

翌日また病院へ。先生に状況を説明します。それを聞いた先生は「出入り自由ならとりあえずは大丈夫です」。大丈夫なんかい!!! もちろん手術したほうが良いのだが、とりあえず痛みが無いのなら緊急手術の必要は無いとのこと。

『キンタマで天下を獲る!』

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