12/2に準決勝を控える『M-1グランプリ2021』。昨日(11/29 )、ワイルドカード枠から滝音が勝ち上がり、準決最後のひと組も決まった。準々決勝を振り返り、準決勝に向けて楽しみな面々を、大宮セブンシリーズインタビューなどを担当、日々お笑いを考えるライター・釣木文恵がピックアップします。
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バラエティに富んだ準々決勝、いつメンの準決勝
どんな大会にも共通することだけれど、『M-1』も例に漏れず、予選を見れば見るほど楽しくなる。
今年は久しぶりに『M-1』を1回戦から観に行った。準々決勝でとうとうチケットが取れなくなり、東京の2日分だけだが有料配信で観た。
今年の準々決勝は楽しかった。あくまでも自分が観た範囲でだけれど、例年以上に豊かな予選だった。
その豊かさを担ったのはたとえば、昨年のおいでやすこが旋風の余波でおそらくぐんと増えただろうユニットたち。三日月マンハッタンに浜村凡平太が加わった三日月ヶ浜は、浜村がかつて組んでいたコンビ・浜口浜村の代表作を11年越しでトリオ漫才に生まれ変わらせ、今の観客を笑わせた。しゃもじ+元ホーム・チーム与座よしあきによる「人人(ちゅちゅ)」の健闘も忘れがたい。ヒコロヒーとみなみかわ、ぶるファー吉岡といった男女コンビもそれぞれの魅力を重ね合わせたネタを披露した。8人組グループの中から男性1女性4の5人組ユニットで登場したダウ90000も爪あとを残した。
東京ではラパルフェ、大阪ではZUMAと、共に『M-1』自体をいじったコンビが観客たちに「反則」と言われながらも大爆笑をかっさらったのも、今年の準決勝の大きなトピックだ。
そんな準々決勝を経て勝ち残った25組には、やはりというべきかさすがというべきか、過去の決勝、準決勝の面々が顔をそろえる。
その中では共にラストイヤーにして数年ぶりに『M-1』に挑戦したハライチ、アルコ&ピースが目立つ。関西の状況に疎い自分の耳にも評判が届いていた「もも」が上がってきたのもうれしい。非吉本ファン待望の2組、モグライダーと真空ジェシカがとうとう準決勝へ駒を進めたのもいいニュースだ。昨年の「国民最低〜!」からこの1年で飛躍的に味方を増やしたランジャタイは、今回どう受け止められるだろうか。
神保町からやってきた刺客・ヨネダ2000
最近、神保町よしもと漫才劇場の勢いがすごい。芸歴8年目以下の芸人が所属するこの劇場の強さは、テレビで大活躍するぼる塾のワントップではないところ。若くしてそれぞれにスタイルを持ったコンビ、トリオが山ほどいる。10年後に今の神保町のスケジュールを見たら、黄金期の『ジャンプ』連載陣のような豪華さを感じるんじゃないかとさえ思っている。
今年の『M-1』準々決勝には令和ロマンやナイチンゲールダンスなど、実に12組の神保町所属芸人が勝ち進んでいた。今年は一気に世代交代が起こるところまではいかなかったが、そんななかで唯一準決勝まで勝ち残ったのが、ヨネダ2000。2018年にコンビ結成、一度はトリオとなるが解散。2020年に改めて再出発したふたり組。衣装がより緑のほうが清水亜真音、青みがより強いほうが愛だ。
3回戦で彼女たちが披露したのは「どすこい」のフレーズが耳に残る、リズムゲーのような漫才。準々決勝の配信では全体の9割ほどの音が著作権の問題で消されていたので全貌はわからないけれど、やはりファンタジックでリズミカルな漫才だった。先日、神保町で行われた単独ライブも配信で観たけれど、あれから1週間経ってもオープニングで登場した「ポップコーンおみこし」の衝撃が消えない。
勢いに乗るヨネダ2000は『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』の決勝(12月13日/日本テレビ)にも進出している。『M-1』準決勝でも『THE W』でも、きっとおもしろい戦いを見せてくれるに違いない。
ライブビューイングなしで勢いを保てるか
大会は予選を見れば見るほどおもしろい。
2019年の『M-1』が「史上最高の大会」と呼ばれ、2020年もその勢いのまま盛り上がった要因のひとつとして、2019年からスタートした準決勝のライブビューイングの存在があったのではないかと思っている。生中継ではなくディレイ配信ではあったけれど、それでも決勝進出者が発表される前に、全国の映画館でたくさんの人たちが準決勝の熱戦を見守った。その熱を持ったまま決勝を観ることができた。
2021年はどうやら映画館でのライブビューイングは開催されないらしい。きな楽しみがひとつ減ったのはとても悲しいけれど、準決勝で行われるであろう激戦に思いを馳せて結果を待ちたい。
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