2020年の海外ドラマ、まずはこれ!海外ドラマ歴40年の専門家が推薦

2020.2.2
海外ドラマ『モダン・ラブ』

文=池田 敏 編集=森田真規
トップ画像=『モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~』(Amazon Prime Videoにて独占配信中)


『全裸監督』などの話題作が次々とリリースされ、すっかり市民権を得た感もあるNetflixなどの映像配信サービス。そこでやっぱり注目しておきたいのが海外ドラマと言えるでしょう。今や映画よりも予算をかけられ、高クオリティの作品が続々と登場しているけど、その数が多すぎて追い切れない……という方も多いはず。
そこでここでは日本の海外ドラマ評論の第一人者である池田敏さんに、2020年にまず観ておきたい海外ドラマ5作をセレクト&ご紹介いただきました。


2020年代の始まりにふさわしい、最新の海外ドラマ5選

お笑い芸人やグラドルがお気に入り海外ドラマをSNSなどで発信するようになった2010年代、海外ドラマは日本でも市民権を得たのかと感慨深い。海外ドラマ歴約40年の筆者だが、2020年代の始まりにふさわしい、最新の海外ドラマをご紹介してみたい。

名手ジョン・カーニーらが手がける1話完結の恋愛物語『モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~

Amazon Prime Videoの『モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~』は、アン・ハサウェイ、歌手エド・シーランなど豪華キャストが集まった、1話完結形式のオムニバスドラマ。各エピソード、30分前後できちんとストーリーが終わるのが見やすい。
各話の舞台は、いずれも巨大都市ニューヨーク。その片隅で生きる多彩な男女のさまざまな愛の形を描くが、全8話のうち第1・2・3・7話を監督したのが映画『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』の名手ジョン・カーニーというように、各話それぞれが味のある短編映画の佳作という優れた仕上がり。海外ドラマは過激で刺激的な作品ばかりではないのだ。

『モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~』予告編

ポスト『ゲーム・オブ・スローンズ』!Netflix発の壮大なファンタジー『ウィッチャー

とはいえ現在の海外ドラマで主流なのは、映画界で『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』の各シリーズが大ヒットし、海外ドラマ方面でも『ゲーム・オブ・スローンズ』が人気爆発したためか、壮大な冒険ファンタジーが次々と生まれているのが現状だ。
2019年12月の配信開始以来、いきなり世界のNetflixユーザーに大歓迎されたのは『ウィッチャー』。人間以外にも、エルフなどの非人間族や魔物がいて、魔法が使われる世界。魔物狩りの名手“ウィッチャー”であるゲラルト(映画『マン・オブ・スティール』のスーパーマン役で知られる英国美男ヘンリー・カヴィルが演じている)。
ある帝国が別の王国を破滅に追いやる混乱のなか、王国の女王の孫娘や魔法使いの弟子になる少女といった多彩な顔ぶれが壮大なストーリーを繰り広げる。バイオレンスやエロティシスムもふんだんで、“ポスト『ゲーム・オブ・スローンズ』”を狙ったのは明らか。早くもシーズン2(2021年に配信予定)への継続が決まった。

『ウィッチャー』予告編

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海外ドラマ評論家_池田敏

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池田 敏

(いけだ・さとし)海外ドラマ評論家・映画ライター。映画誌『月刊スクリーン』(近代映画社)などに寄稿し、WOWOWのアカデミー賞授賞式中継などテレビ番組の監修も。著書は、海外ドラマの初心者からマニアまで楽しめる『「今」こそ見るべき海外ドラマ』(星海社新書)など。

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