バカは搾取される
そして、桜木建二が登壇する。
「しらけたツラしてんな。今のバカはバカヅラもできないのか」
桜木お得意の生徒ディスから始まる。
「いいか、おまえら。東大なんか絶対に行くな」 。
逆張りである。予想の正反対、常識を超える非常識な正論をきっぱり断言する桜木の得意中の得意。
生徒たちがざわつく。なにごと?ってことで聞き始める。
「東大なんかに行かなくていい」 。
水野が怒る。
「なんでそんなことを!」 。
2005年版では、英語教師だった井野真々子(長谷川京子)が、桜木のバディ(相棒)だった。ケンカ、衝突を繰り返しつつ、共に生徒を東大に導いていった。今回のバディは、水野直美(長澤まさみ)だろう。
「勉強も学校生活もみんな中途半端。一日中やれスマホだゲームだ。毎日なんとなくボケーっとした日々を送ってやがる。バカばっかりだ。バカなだけならまだいい。無関心、無気力、甘ったれ、根性なし。そんなお前らがこのままなんとなく世の中に出てみろ。あっという間に薄汚い社会の渦に飲み込まれ、知らず知らずのうちに搾取され、騙され、カモにされ、コキ使われ、一生社会の奴隷となってもがきつづけて死んでいくんだ」
バカは搾取される。2005年版から貫かれている『ドラゴン桜』の思想だ。
「そうならないために1番手っ取り早い方法がある。東大に入ることだ」。
教頭が「鼓舞するためですよね」とフォローしたときには「違うなぁ」と言った桜木だが、結局は鼓舞している。いや、煽ってるのか。
ここから、素直に東大専科に生徒たちが集まってくる展開には当然ならない。
不良学生ふたりがやってくるが、これが、誰かの差し金。自分たちをバリカンで坊主頭にするように水野に仕向け、動画を撮って拡散。大問題になる。
ここから、桜木が暴走。本当にバイクで大暴走。
『ブラック・レイン』松田優作か!
鉄パイプを引きずって火花を散らして疾走する姿は、『AKIRA』「山形ァ!」か『ブラック・レイン』松田優作か。めちゃかっこいい。
バイクで学校の階段を駆け上がり、生徒たちでごった返している狭い廊下を爆走して不良学生ふたりを追い詰める。
いやはや、ここまで突き抜けると、コンプライアンスとか炎上とかいう域をしっかり超えて、「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」とはっきり伝わる爽快さ。
おしっこ漏らすほどビビらせて、啖呵を切って成敗する。
生徒に倍返ししてどうする、桜木先生!
ラストは、東大に落ちて自殺未遂をした元教え子の米山圭太(佐野勇斗)が何やら画策していることが示される。
2005年版はストレートに東大合格勉強法を軸にして、学校の組織的な足の引っ張り合いはコミカルに流されていたが、今回は学校内部もガチで何かありそうだし、その上過去の何かが陰謀レベルで展開しそうな予感。
そして、第2話であれこれ出てきそうな生徒も第1話で前フリがしっかりとあった。
バドミントンのエースだが、足を痛めている様子の岩崎楓(平手友梨奈)。(足の故障に気づいた桜木が「推薦がなくなる」と言ったのを)万引きしているところを桜木に見られたことでヤバイことになりそうだと勘違いしている。
両親が残したラーメン屋を姉とふたりでつづけている瀬戸輝(高橋海人)。彼も何か画策してる様子。
優秀な弟といつも比べられてしまう天野晃一郎(加藤清史郎)。
廊下に寝そべりクワガタを夢中で観察する原健太(細田佳央太)。
受験制度改革もあり様変わりしている状況で、桜木は5人の東大進学者を出すことができるのか。
新しい勉強法は、どんなものが登場するのか(原作漫画『ドラゴン桜』ではスマホをガンガン活用していた)。
第2話も楽しみだ。
余談。ちなみに、水野直美のところに来たローン返済のお知らせメールが、『半沢直樹』『下町ロケット』にも登場した白水銀行からだったよ。
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