成瀬瑛美とエヴァンゲリオンの25年「それは愛の物語だった」

2021.4.17

アニメファンとしてのプライドに目覚めさせてくれた『エヴァ』

そんなわけで、こちらの幼さ&未熟さゆえにまったく『エヴァ』を理解できぬまま終わった悔しい出会いだったが、中学に上がるか上がらないかの12歳のころ、2度目の出会いが訪れた。それは、同時にヲタクとしての目覚めでもあった。当時、まだ「萌え」という単語が世界になかったか、もしくは自分が認知していなかったのだが、とにかくキャラ萌えが始まった。

アスカがかわいいレイがかわいい、ミサトさんみたいなキャラクターになりたい。そしてカヲルくんとシンジはなんだか…関係があやしい。そんな発情と共に訪れたセカンドインプレッション。『エヴァ』は最高に心踊る作品になった。

Character Promotion Reel 渚カヲル 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

アニメを観直し、コミックスを読み、少しだけBLチックなアンソロジーにも手を出してみた。図書館で「エヴァの秘密に迫る!」的な、考察本のようなものも読んだ。完全にアニメファンになっていた、が、私は今回も、『エヴァ』の世界を理解するところまでは至れなかったのである。

しょせん、キャラ萌えのヲタクは夏休みの子供用プールのように底が浅いのだ。ゲンドウは何を言っているんだろう。大人って、なんか身勝手で嫌だなあ。何が人類補完計画だ、何がどうなって最終回や映画のお話はこうなっているんだ、などなど、自分の脳が足りなくて、『エヴァ』を味わい尽くせないことが悔しかった。

いや、でもわからないことはわからないでもいいじゃないか。そんな、アニメファンとしてのプライドのようなものに目覚めさせてくれたのも『エヴァ』だった。その事実に気づき、現在の時間軸の私はまた少し感動している。

中高生になると、完璧ではないにせよ、だいぶストーリーが理解できるようになっていた。私というヲタクは、自分の脳の成長を『エヴァ』への理解度で測っていたように思う。今すぐやめなされ、それはちいとばかしハードルが高いからさと、今だったら声をかけてあげられそうなものである。 そういえば、高校生のころ、クラスにアスカ(惣流・アスカ・ラングレー)の下敷きを使っている男の子がいた。でも私と友人1名しかアスカの名前を知らなかった。な、なんてことだ。今では考えられない。本当にいい時代になった。

『新劇場版』とでんぱ組.inc

その後、2007年に『新劇場版』(『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』)が始まった。『序』、『破』、共に初日に観に行っていたことが日記やツイッターに記録されていた。2012年の『Q』公開時はちょうどでんぱ組.incの活動が加速度を増していたころであり、初日に劇場に向かえず大量のネタバレ爆撃を食らった。「嘘でしょ? 劇場に行くまでは信じないよおお!」などと思いながら日々朝から晩まで活動していたことを思い出す。

しかし『Q』のころにはもうでんぱ組があって、元気に活動していたことを思うと、でんぱ組もなかなか歴史が長いのである。

『Q』公開の2012年にでんぱ組.incがリリースした楽曲のひとつ でんぱ組.inc「キラキラチューン」

『エヴァ』は今までもこれからも自分の人生の中にある。

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