連絡先を知ったものの:未だにメンバーと目も合わせられない
「今度またプライベートでも飲みに行きましょう」と尾崎さんが連絡先を交換してくれたものの、自分から気軽に尾崎さんに連絡することなんてできるはずもなく、こちらから連絡するときといえば、クリープハイプのライブに行く前に、「本日ライブに行かせていただきます。」という、 ライブ参加宣言をするためだけのツールになってしまっている。
ただそんな内容であっても、尾崎さんは必ず返事をしてくれる。レスポンスをもらえるというのはファンとしてこの上ない喜びであり、それに味をしめて、迷惑だとは思いながらもまたライブに行くときに連絡をしてしまう。本番前で忙しいときにほんとすみません。
一度、ライブ終わりに楽屋挨拶に行かせていただいたことがあり、そのときに初めてカオナシさんとドラムの小泉拓さんともお会いできた。けど、尾崎さんひとりだけでも普通に呼吸ができなくなるくらい緊張するのに、4人から一斉に見られるというのが、幸せな時間であるのにもかかわらず耐えられなくて、持ってきていた差し入れをずっと床を見ながらノールックで手渡し、逃げるように帰った。
それからライブに行くときには、差し入れを持っては行くのだが、楽屋挨拶に行く勇気が出ず、毎回差し入れを渡せずそのまま家に持ち帰るという、差し入れを自分へのお土産に変えるという錬金術をずっとしている。
クリープハイプのために自分ができること
そして2020年。クリープハイプの番組に呼んでいただいてMCをさせていただいたり、僕が『R-1ぐらんぷり2020』で決勝に行ったときに、サプライズで「星野ハイプ」という素敵なロゴTシャツと、メンバー皆さんの応援メッセージの寄せ書きをもらったり、いろんなところで僕の名前を出していただいたりと、おかしなことがつづいている。クリープハイプさん、どんだけ優しいんですか。ただのいちファンの夢を叶えさせ過ぎです。
今、世の中がこんな状況になり、クリープハイプのツアーも中止になってしまった。僕も少しでもクリープハイプさんのために何かできたらと思い、いろいろ考えた。でも僕なんかにできることなどなく、ただファンとして見守ることしかできなかった。
そのまま時間だけが過ぎ、ある日YouTubeをやらないかと誘われ、YouTubeチャンネルを開設した。まったく人気のない自分がYouTubeをやってもなと、最初はちゃんと向き合えていなかった。流行っていることをやってみようとなり、芸人もたくさんアップしていた「歌ってみた」動画を自分もやってみることにした。
一番最初に歌う曲は絶対にクリープハイプにしたいと決めていた。
選んだ曲は、中止になってしまった幕張メッセ公演で歌う予定だったという「栞」。自分の歌に自信があったわけでもないし、これで何か変わるとは思っていなかったが、少しでも自分の「歌ってみた」動画でクリープハイプの魅力に気づいてくれたらな、というささやかな気持ちでアップした。
この動画は、自分の予想を遥かに上回って再生された。動画にコメントをしてくれる人がたくさんいて、「この動画がきっかけでクリープハイプが好きになりました。」というコメントが何よりもうれしかった。
今までたくさん、クリープハイプに救ってもらってきた。クリープハイプの曲がどんなに背中を押してくれたか。誰も相談できる人がいなくてツラかったあの夜もクリープハイプの曲が寄り添ってくれてる気がした。
これからもいろんな人を救ってほしい。それに、この曲のおかげで仕事につながったりもしていて、結局また自分が救われてしまっている。『クリープハイプの日』というとても大事なイベントにも呼んでもらってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいになる。ほかのクリープハイプファンの人たちに自分はよく思われていないんだろうなと思う。出しゃばり過ぎないように気をつけます。
死ぬまで一生ファン
クリープハイプファンとして夢は叶えられたのかもしれない。でも、ファンを辞めるつもりはない。これからもずっといちファンとしてクリープハイプを応援していきたい(できればたまに飲みに行けたらめちゃめちゃ嬉しいけど)。
僕はクリープハイプが一生好きなんだろうな、となんのためらいもなく言える。
クリープハイプに出会ったあの日、カラオケで聴いた「憂、燦々」の歌詞のように、僕はクリープハイプに素敵な場所に連れて行ってもらっている。