『ザ・ボーイズ』の脳天をぶっ叩く衝撃。あの“戸愚呂・弟”以上の絶望(トンツカタン森本)

2020.10.12

ヒーローだって葛藤する、という哀愁

もちろんホームランダー以外にもひとクセもふたクセもある能力者たちが立ちはだかり、その全員が主人公たちを簡単に全滅させることのできるスーパーヒーローばかりなのだ。常に窮地に立たされているザ・ボーイズのメンバーは知恵とチームワークと憎しみを持って立ち向かう。

血だらけのホームランダー
シーズン2の第8話(最終話)より。血だらけのホームランダーが意味することとは……

そんな人間離れしたスーパーヒーローたちだが、その退廃的な一面のほかにそれぞれの持つ苦悩も描かれているところがこの作品により奥行きを与えている。全員が全員恵まれた能力を持っているわけではなく、それゆえにコンプレックスを持つ者がいたり、より優れた能力者が台頭してきて地位を脅かされたり、ただただヴォートに実験台として利用されたりと、人間社会よりも窮屈で生きづらい側面もあったりする。

一見誰もがうらやましがるスーパーヒーローたちも、一人ひとりが悩み、葛藤しながら毎日を生きている。その様子は我々となんら変わらず、そこからあふれ出る人間味にそこはかとない哀愁や切なさを感じる。

スーパーヒーローの機微を描き、圧倒的な衝撃で脳天をぶっ叩いてくる『ザ・ボーイズ』。先日シーズン2の最終話が配信されたばかりで、さらにシーズン3の製作も発表されたので、この機会にぜひ絶望に身を委ねてみてはいかがだろうか。僕は今月の給料明細を片手にさらなる絶望をトッピングして、これから最終話を楽しもうと思う。

『ザ・ボーイズ』シーズン2
Amazon Prime Videoにて独占配信中

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