心に刺さるお笑い芸人たちの名曲について

2020.7.16

お笑い芸人としてのキャラクターが前面に押し出された楽曲

その一方で芸人たちのキャラクターを前面に押し出した底抜けに明るいポップな楽曲も最高だ。2000年に藤井隆がリリースした『ナンダカンダ』は、お笑い芸人が歌うポップソングの中でも代表的な1曲となっている。

ナンダカンダ
藤井隆『ナンダカンダ』

ラッパーのGAKU-MCと、デジタルミュージックの第一人者でもある浅倉大介による思わず踊り出したくなるようなダンスナンバーで、当時強烈な個性を放っていた藤井隆のリミッターが外れたようなパフォーマンスが見事にマッチし、衝撃的な楽曲へと仕上がっている。特にサビの

なんだかんだ叫んだって やりたいことやるべきです
あんたなんだ次の番は やりがいあふれるレースです

というフレーズは爆発的にキャッチーなメロディラインとマシンガンのように韻が踏まれた耳に気持ちいいリリックによって、私の中の「最強のサビ10選」に選ばれている。

また『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』から生まれた音楽グループ「ポケットビスケッツ」「ブラックビスケッツ」も忘れることができない大きな存在だ。内村光良率いる“ポケビ”と、南原清隆率いる“ブラビ”、メンバーの親しみやすいキャラクターと千秋、ビビアン・スーの歌唱力の高さで『YELLOW YELLOW HAPPY』『Red Angel』(それぞれポケビ)『STAMINA』『Timing』(それぞれブラビ)などのヒット曲を連発、私を含めた当時の子供たちを熱狂の渦へ巻き込んだ。

ポケットビスケッツ『THANKS 20th Edition~Pocket Biscuits Single Collection+』

しかし、私がそんな『ウリナリ!!』の楽曲の中で特に大切な1曲として挙げたいのが、キャイ〜ンのウド鈴木によるソロ曲『GREEN MAN』だ。実体験をもとにしたリアリティあふれる歌詞とけっしてうまくはないが、一度聴けば二度と耳から離れなくなるその歌声は当時小学生だった私の耳と脳に強いインパクトを残した。

私にとってウッチャンナンチャンの番組からの影響は絶大で、2001年にリリースされた『笑う犬の生活-YARANEVA!!-』から誕生したはっぱ隊の『YATTA!』は今聴いてもその歌詞の素晴らしさに涙が零れそうになる。ラスサビの、

やったやったやったやった 息を吸える 息を吐ける
やんなるぐらい健康だ Everybody say やったー!

の一文は、モノに囲まれ何が幸せかわからなくなった私にとって「健康なだけで素晴らしい」ということを思い出させてくれる、まさに「原点」とも言うべきフレーズになっている。

こうしたコント番組で誕生したキャラクターに扮してお笑い芸人が歌う楽曲は本当に名曲が多く、ほかにもダウンタウン、板尾創路、今田耕司、東野幸治、木村祐一らによる『ダウンタウンのごっつええ感じ』から誕生したエキセントリック少年ボウイオールスターズによる『エキセントリック少年ボウイのテーマ』は50万枚もの大ヒットを記録し、『内村プロデュース』から誕生したNO PLAN(内村光良、さまぁ~ず、TIM、ふかわりょう)の『○あげよう』は、映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ! 夕陽のカスカベボーイズ』の主題歌にも起用されるなど、番組を観ていた人だけでなくその枠を飛び越え、老若男女が知る「名曲」として今もなお光り輝いている。

中でも私が愛してやまないのが、ちびまる子ちゃん with 爆チュー問題による『アララの呪文』だ。

ちびまる子ちゃん with 爆チュー問題『アララの呪文』

アニメ『ちびまる子ちゃん』のエンディングテーマとして約8年(2004年~2012年)もの間使用されており、爆チュー問題が醸し出すわかりやすさの塊のようなキャラクター性と「アララカタブラツルリンコ」などさくらももこにしか生み出せない摩訶不思議なフレーズが見事にハマり、数あるちびまる子ちゃんの楽曲のなかでも特別な1曲になっている。

バカバカしくてクスっと笑えるような内容なのに、ふとひとり暗い部屋でこの曲を聴くと

ひとりで 泣いてる時も 思い出してね
あなたの 笑顔が きっと すぐに駆けてくる

というフレーズにいつも吐くほど泣いてしまう。

このようにお笑い芸人が歌う曲には特別な求心力がある。歌唱力は確かに本職の歌手に劣るかもしれないが、芸人たちの不器用ながらまっすぐな歌声はダイレクトに心に響き渡り、私の中にいつまでも突き刺さっている。

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かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

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