ラジオがラジオであるために。緊急事態の今だからこそ見直すべきこと(五戸美樹)

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2020.5.13

トップ画像=アクリル板の設置が定着したラジオブース(筆者提供)
文=五戸美樹 編集=森田真規


ニッポン放送の局アナを経て、現在は文化放送『走れ!歌謡曲』やJ-WAVE『GROOVE LINE』のクイズコーナーを担当するなど、ラジオとの縁が深いフリーアナウンサーの五戸美樹。

彼女は新型コロナウイルスの影響による外出自粛がつづき、自粛疲れが叫ばれる今こそラジオを聴いてほしいと訴えています。その一方で、ラジオ局の報道部員から感染者が発生したというニュースも報じられています。

ラジオがラジオであるために、今すべきこととは――。ラジオの制作現場に長く身を置いている五戸氏だからこそ抱いた、現場からのリアルな提言をお届けします。

こんなときこそラジオだ

緊急事態宣言は5月末までに延長。専門家会議の結果によっては31日まで待たずに解除する可能性もあるとのことですが、長期化は避けられない見通しで、“新しい生活様式”が発表されていることはご存知のとおりと思います。

家で過ごす休日は、朝から晩までテレビをつけてしまいがちですが、延々とコロナのワイドショーを観ていると気が滅入ってしまいそう……そんなときはぜひ、メディアをラジオに切り替えて、情報も笑いも癒しも一気に得るのがいいのではないかと私は思います。音声メディアは自炊や読書にもピッタリ。こんなときこそラジオです。

それに、このコロナ禍にあっても、大地震が発生する可能性はあります。停電でテレビが映らなくなり、ネットにつながらなくなったら? 津波が来るのか来ないのか、震源地は近いのか遠いのか……ラジオだったら、電池ひとつで情報を得ることができます。

携帯がつながらないときに公衆電話が生命線になるように、ラジオは命を守る情報の生命線。だから、地上波のラジオは電波を止めてはならないのです。

しかしながら、ラジオ局にも新型コロナウイルスの感染者は出ています。ラジオにはどんな問題があるのか、今後どうしたらいいのか、考えていきます。

ラジオはリモートでできるのか

4月頭ころから、ラジオのスタジオにアクリル板が置かれることが各局の共通になりました。出演者が在宅で放送を行う“テレワーク”や“リモート出演”も増えてきました。特に収録番組では、出演者が自身のPCやスマホで声を録音し、その声(素材)をネットでディレクターに送り、ディレクターが家で編集し、そのまま家から放送局に搬入できれば、在宅ワークで番組が完成できる。そこまで徹底できれば感染リスクはかなり減らせるはずです。でも、そうはいかないのです。

なぜ、そうはいかないのか。それはまず、生放送においては、誰かがスタジオにいなければならないという側面があるからです。

詳しい規定は局によりますが、基本的には、もし中継が切れたら、その瞬間スタジオにいる人がつなぐ必要があります。

これは「スタンバイ業務」といって、たとえば野球中継や公開生放送のように、中継が切れる可能性がほぼないものに関しても、何も話さずにスタジオでスタンバイしている人が存在しているのです。私も局アナ時代に数え切れないほど担当しました(スタンバイ専用の人員を割かずに報道部が兼ねている局もあります)。

なぜスタンバイが必要かというと、映像メディアと違い、ラジオは無音の時間を数十秒つづけることはできないからです(ジングルや音楽で多少つなぐことはできるので、スタンバイの人もお手洗いなどは行けます)。

また、地震が起きたときにすぐに話す必要があります。小さな地震であれば、中継先で地震の情報を入れる場合もありますが、大きな地震であれば、中継を終了させ、スタジオから災害特番を放送します。映像メディアのようにテロップで処理することはできませんし、すぐに災害特番ができない地上波のラジオがあったら、それはもうラジオではありません。

スタジオにはスタンバイが必要。だから生放送を完全テレワークにすることはできないのです。

在宅生放送ができる番組のパターン


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