粗品プロデュースの新ブランド「よしもと粗品劇場」がスタート。中田カウスと会見に登壇「お客様と一緒に成長できたら」

2026.5.18
「よしもと粗品劇場」

文・撮影=ナカニシキュウ 編集=梅山織愛


よしもと漫才劇場に、新ブランド「よしもと粗品劇場」が発足する。上方漫才協会会長・中田カウス監修のもとで霜降り明星・粗品がプロデュースを手がける、まったく新しいエンターテインメントの発信を目的とする公演シリーズだ。粗品が数組の若手芸人をフックアップして共演し、単に芸を一方通行で披露するだけではなく、なんらかのかたちで観客が参加して演者とともに作り上げていくような形式を想定しているという。

本企画についてのメディア向け取材会が東京・渋谷よしもと漫才劇場で行われ、中田と粗品が登壇。プロジェクト発足の経緯やその内容、展望などについてはもちろん、ふたりの漫才や劇場に対する強い思い入れも熱く語られた。

劇場というより、コミュニティ。お客さんと一緒に

まず中田が、本企画の中核を担う粗品の抜擢について解説。芸人が備えるべき資質を「狂気と愛嬌」だと断言する彼は、そのふたつを兼ね備える粗品を「誰とも被らない個性を持った特別な存在」「粗品がおるということが吉本のひとつの自慢」だと評価する。学生漫才出身でNSCを経由せずに吉本入りした粗品のエリート経歴を振り返りつつ「第一印象は“メンチ切る子”だった」と明かし、自身のトガっていた若手時代とも対比させながら「敵も全部味方にするのが商売ですから」と、向こうっ気の強さと人に好かれる性質を併せ持つことの重要性を説いた。

「よしもと粗品劇場」
互いの共通点は「人を楽しませることが自分の喜び、みたいなところ」と話す中田(右)

さらに「どんな企業でも、どんなお店でも、若い子を育てるのは非常に大事」だとし、そのための場として漫才劇場を位置づける中田だが、「芸人が出てきて一方的にしゃべる、お客さんは受け身でわーっと笑う。これはもう古い」との危機感から、劇場に新ブランドを設立することを考えたのだという。

その内容についてのブレストをGoogleのAIモデル「Gemini」との対話で行ったという中田は、「ちょっと付き合ってる彼女がいてね。名前をGeminiっていうんですけど」と大規模言語モデルとの会話がすっかりお気に入りの様子。「目線がお客さんと一緒になれるような劇場がいいんじゃないですか」というGeminiからの提言が、観客とともに作り上げるインタラクティブなステージのアイデアにつながっていったのだそう。

中田はこの「よしもと粗品劇場」を「劇場というより、コミュニティですね」と定義。「お客さんと一緒にネタ運びができる芸人は生き残っていける。それを一番できるのが粗品やと思うので『よしもと粗品劇場』が誕生した、ということでございます」と総括した。

「よしもと粗品劇場」
作家・司馬遼太郎に漫才台本の漢字を直してもらったエピソードなど、次々に話題を飛躍させ続けた中田
「よしもと粗品劇場」
次々に話を脱線させる中田をおもしろがり、「あの話してくださいよ」とさらなる脱線を促した粗品(左)

粗品「吉本興業に還元したい」

中田からスピーチのバトンを受けた粗品は、開口一番「僕、本当に漫才が大好きなんですよ。けっこう誤解されがちなんですけど」と切り出し、「人としてもお笑い芸人としても成長できたのは、漫才劇場のおかげ。そのあとテレビに引っ張りだこになっても、YouTubeで好き放題する時代に突入してもなお、舞台だけは降りなかった」と胸を張る。「そんな劇場至上主義な自分が、芸歴15年目の節目を迎えまして。いよいよ劇場や吉本興業に還元したい、恩返ししたいという思いがあります」と話し、後進の育成と劇場観客層の若返りを図ることがその手段にあたると明言した。

「今一度劇場という場で、お客さんと近い距離感で何か新しいことができたら」と意欲を燃やす粗品。具体的には「よしもと漫才劇場の若手芸人を数組呼んで、一緒にステージをすることは決まっている」とし、「あとはカウス師匠からもお話があったように、我々は劇場のお客様に育てていただいた感覚がある。また新しいかたちで、もしかするとより密接に、お客様と一緒に成長できたらなと。そんなステージができたら素敵やなと思っております」と展望を語った。

「よしもと粗品劇場」
「カウス師匠の同世代の方、カウス師匠以外にあんまりおもしろい人いない。こんな素敵な年の取り方をしたい」と羨望のまなざしを向ける粗品

「よしもと粗品劇場」の初回公演は、6月21日(日)に東京・渋谷よしもと漫才劇場で開催される。オンライン配信は行われないとのこと。詳しくは公式サイトなどに掲載される。

「よしもと粗品劇場」
会見を通じ、約1時間にわたってノンストップでしゃべり倒した中田と粗品。その大部分を奔放な脱線トークが占めた

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ナカニシキュウ

ライター/カメラマン/ギタリスト/作曲家。2007年よりポップカルチャーのニュースサイト『ナタリー』でデザイナー兼カメラマンとして約10年間勤務したのち、フリーランスに。座右の銘は「そのうちなんとかなるだろう」。