喫煙所が本番の“マトリ”芸人、さらば青春の光・森田哲矢

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文・写真=板川侑右 編集=鈴木 梢


アルコ&ピース(以下、アルピー)の平子祐希・酒井健太がMCを務めるテレビ東京のゲームバラエティ『勇者ああああ』。毎回、企画を盛り上げるゲスト芸人たちが登場し、アルピーのふたりにいじり倒されたりゲームに奮闘したりと、人によって活躍の仕方がいろいろある番組だ。

そんな番組の演出・プロデューサーである板川侑右が、同番組のキャスティングにまつわる裏話を語る連載「『勇者ああああ』芸人キャスティング会議」。今回は、ゲームが特に好きというわけではないのに、「あること」で異常なサービス精神を見せるため何度もキャスティングされている芸人の話。

「喫煙所が本番」というスタンスで挑む唯一の芸人

『勇者ああああ』ゲストの喫煙率の高さは異常である。「タバコ吸える人」がキャスティングの条件だったっけ、と思うぐらいみんなめちゃくちゃ吸う。本番前ともなるとテレビ初出演で緊張する若手芸人とちょっとした世間話でひと息入れたい中堅芸人で喫煙所は大混雑。全員が一斉に煙をモクモクと吐くその様子はこれから戦場に向かう兵士たちが上げる狼煙のように見えなくもない。ゲストの口がすっかりヤニ臭くなったころにいつも収録は始まる。

「本番前の憩いの場」としてたくさんの芸人が利用する喫煙所だが、その中でたったひとりだけ「喫煙所が本番」というスタンスで収録に来ている男がいる。喫煙所から関西弁の下衆なゴシップが聞こえてきたらその男が現場に入った合図だ。

「大きい声じゃ言えないんですけどね……最近、魚のエイに自分のモノを突っ込んで自慰行為ができる風俗店がオープンしたらしいんすよ……」

「大きい声じゃ言えないんですけどね」と言う割にはまあまあ大きい声でタバコ片手にゴシップを教えてくれる男、それは、さらば青春の光の森田哲矢である。

さらば青春の光・森田哲矢(筆者撮影)

森田がゴシップを語り始めるとタバコを吸わないスタッフまでもが副流煙もなんのそので喫煙所に話を聴きにくる。出演者スタッフ問わずすべての人々をテレビじゃ放送できないトークで惹きつける森田を僕は心の中で“喫煙所の明石家さんま”と呼んでいる。

「大きい声じゃ言えないんですけどね……あの清純派女優の〇〇さん、めちゃくちゃ自慰行為が好きらしいっすよ……」

それを聞いた酒井健太が「マジかよ! 嘘だとしても最高じゃんか!」とキラキラした顔で喜びの声を上げた。「確かな情報筋から聞いたんで間違いないです」と太鼓判を押す森田。あのMr.都市伝説・関暁夫ですら「信じるか信じないかはあなた次第」と濁しているのに、Mr.下衆ゴシップ森田は「すべて信じてください」と強気な姿勢を崩さない。よくよく考えれば清純派女優のシモの事情に詳しい情報筋って誰なんだよって話なのだがソースを聞いても「情報の出所はちょっと言えないんですけど」とはぐらかされるので真実はいつも闇の中である。

そんなゴシップトークに花を咲かせているとスタンバイの時間はいつもあっという間に過ぎていく。情報の真偽はともかく毎回森田のおかげで出演者もスタッフもホカホカに温まった状態で収録を始められるのだ。ゲームが特に好きというわけでもないのにけっこうな頻度で僕らが森田をキャスティングしている理由、それは森田が「ムードメーカー」としての異常なまでのサービス精神を持っていることにほかならない。

金にならないのに異常なサービス精神を見せる“マトリ”森田


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