『もんじゃはきしょいし、たぶんそれでいい』【Aマッソむらきゃみのグルメ連載「今月のスープ」#21】


「ちょっとよかったあの日」の記憶を唯一無二の筆致で描くAマッソむらきゃみによるファンタスチックな回顧エッセイ。第21回となる今回は、年始に集った同年代の友人たちとの新年会の夜を。六本木のもんじゃ焼き屋で勃発する“西の人間”たちの大混乱。ヘラをめぐる攻防、噛み合わない会話、そして不意に訪れる爆笑の瞬間。騒がしくて、どうしようもなく愛おしい時間の中で、むらきゃみがすくい上げた「うまくいかない夜の幸福」とは。

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今月のスープは「焼きキノコスープ

【材料】
・水         600ml
・酒         100ml
・オリーブオイル   大さじ2 
・ニンニクちゅーぶ       1カケ程度の量
・コンソメ        大さじ1〜1.5
・塩           己の匙加減
・しめじ         1パック
・えのき         1パック
・まいたけ        1パック
・玉ねぎ         半玉玉
・ハム            3スライス
・パセリ        適宜 

【作り方】
①しめじ、えのきは石突を取って、割く。まいたけも割く。
ハムは半分に切り細切りに、玉ねぎは薄切りにします。
②きのこを全て鍋に入れてオリーブオイルを大さじ2かける。
 油が全体的に馴染むように混ぜる。
③火をつけ弱火〜中火で片面を5分焼く。ひっくり返して5分焼く。
 混ぜながら焼き色がつくまで焼く。
④きのこを鍋から取り出す。鍋にオリーブオイル大さじ1を入れて
 ハムと玉ねぎ、ニンニクを入れて焼き色がつくまで中火で炒める。
⑤きのこを鍋に戻して酒とコンソメを入れて蓋をし5分蒸し焼きにする。
⑥蓋を開け、水を入れて味が薄ければ塩を足してみてはどうだろうか?
 いい感じに味が整えば、ひと煮立ちして器にそそぎパセリを散らせて完成!

キノコのウマみが凝縮されたスープ爆誕!!!
キノコを低温でじっくり焼くことでウマ味成分のグアニル酸が倍増される。
さらにハムのイノシン酸、玉ねぎのグルタミン酸を組み合わせることによって
ウマ味の相乗効果が起こり、とんでもなく美味しくなるのだ!ウマミ〜!

ヘラとウマ味と西の人間

うちはウマの合う友達と新年会をしたミ〜!
今年は午年。
うちは牝馬という響きが好き。
難波とか銀歯とか馴染みの響きに似ているからかしら?
ちなみに銀歯は昔うちの口内にあったが今のうちの口内には無いです。

同年代の仲良し3人組で新年会をした。
東京の夜の顔こと六本木のもんじゃ焼き屋さんに行った。
「あけおめ〜!」と乾杯をかわす。
冷やしトマト、サラダとしっかりベジファーストさせてもろたのちに、MIXもんじゃを注文。
数分後に店員さんが「MIXもんじゃでーす!」とどんぶり鉢を持ってきてくれた。
どんぶり鉢を見つめる一同。ざわつく。

「どうするんやっけ?」「自分らでやんの?」「いや、店員さんがやってくれると思うけど」「あ、そうなん、ほなちょっと待っとこか」

10分後再びざわつく。

「あれ?これやってくれてへんやん!」「ほんまや!」「自分らでやるんけ?」「そんなん出来ひんで!」「どないするん?」「知らんがな」

西出身の集いだったのでもんじゃの作り方がさっぱり分からなかった。
「すんませーん!」と店員さんを呼ぶ。

もんじゃにまつわる会話①〜関西弁on/off〜

【A】店員さんの前では丁寧な言葉使える友達
「こちらは作ってくださるんですか?」
【店員さん】
「基本的にお客様ご自身で作っていただいてます」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「ほーですか、ほな作り方教えてもろてええですか?」
【店員さん】
「はい、まず油を引いていただいて」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「油どこにありまんの?」
【友達に作ってもらう気満々きゃみ】
「これちゃうか〜?はい引いちゃって〜!」
【A】店員さんの前では丁寧な言葉使える友達
「お任せくださいませ〜!」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「ほんでどないすん?」
【店員さん】
「具材だけを鉄板に乗せていただいて」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「うちやるで〜!!」
【友達に作ってもらう気満々きゃみ】
「ちょちょちょ、油伸ばしてからの方がええんちゃう?」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「油のびーーーーーーーー!!」
【A】店員さんの前でもツッコミは怠らない友達
「口で言うたかて伸びるかいな!」
【友達に作ってもらう気満々きゃみ】
「コテどこですか〜?」
【店員さん】
「ないですね。すいません!すぐ持ってきます!」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「コテやっけ?テコちゃうん?」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「ヘラやろ?」
【インターネットの力を借りるきゃみ】
「神戸新聞のアンケートによりますと〜ヘラ56%、コテ39%、テコ5%やからヘラって呼ぶ率が高いわ!」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「しゃー!!きたッ!!」
【インターネットの力を借りるきゃみ】
「ちなみに正式名は起こし金らしいわ」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「知らんちゅーねん!」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「ヘラってみちょぱやな!」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「なんでやねん!!」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「正式名の起こし金なんか知らんやん!みちょぱはみちょぱって呼ぶやろ?正式名は池田美優やのに」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「なるへそ!ほな、Qちゃんもそやな!正式名高橋尚子やもんな!」
【しらけさせるきゃみ】
「てか池田美優も高橋尚子もすぐ思い出せる時点で起こし金より知名度あるしちょっとちゃうくない?」

すっかりしらけてしまう。沈黙。

もんじゃにまつわる会話②〜土手、それは美しい〜

【ヘラを持ってきた店員さん】
「すいません!こちらお使いくださいませ!」
【沈黙解禁の三人】
「うぇ〜い!!!!」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「ほな油伸ばすで〜!」
【取り返したいきゃみ】
「ヨイショ〜!よ!伸びてるよ〜♪」
【A】再び丁寧な言葉使いになった友達
「こちら油伸ばしたら、具材を入れれば良かったのでしょうか?」
【店員さん】
「そうですね。具材だけ入れていただきましたらヘラで細かく刻んでいただいて」
【B】店員さんの前でも西の言葉使いな友達
「憎しみこめながら刻みや!!」
【店員さん】
「ハハ、で、聞いたことあると思うんですけどその後」
【勝手にクイズ大会開催きゃみ】
「ピポン!土手!!」
【店員さん】
「ハハ、そうです。ドーナツ型に土手を作っていただいて真ん中に生地を流し込んでください」
【A】再び丁寧な言葉使いになった友達
「わかりました!ご丁寧に説明していただいてありがとうございます」
【店員さん】
「いえ、ごゆっくりどうぞ!」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「あっしやるわ!」
【B】いつだって西の言葉使いな友達
「ほなやって〜」
【友達に作ってもらう気満々きゃみ】
「お願いすます〜!ヘコヘコ」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「まず具材だけ入れてやで〜」
【B】いつだって西の言葉使いな友達
「汁も入ってるがな!」
【友達に作ってもらう気満々きゃみ】
「それもご愛嬌やん♪」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「作るん初めてやからな!」
【B】いつだって西の言葉使いな友達
「そやな、やいやい言わんとくわ」
【A】店員さんがいないので通常モードの友達
「ちょっと具材刻むのに集中するから二人で喋ってて」

いつだって西の言葉使いな友達とうちは年末年始何してたんの話をした。
いつだって西の言葉使いな友達は年末に高速道路で初めて100キロ出して走ったらしい。
そんな話を10分ほど繰り広げていて、パッと鉄板を見るとほぼ液体になってる具材がそこにはあった。

店員さんがいないので通常モードの友達は「はぁ、はぁ、はぁ、こんなもんでええんかな??」とすごい形相で聞いてきた。

うちらはゴクリと生唾を飲み込み「なんか辛いことでもあったんか…?」と聞くと、店員さんがいないので通常モードの友達が俯きながら「はぁ、はぁ、あんな…」と、うちらは眉をひそめる。

店員さんがいないので通常モードの友達がパッと顔を上げ「めっちゃ楽しい〜!!刻むの楽しィー!天職かも♡」と爆裂笑顔満点で言った。

うちらはズコーッ!!

いつだって西の言葉使いな友達「心配したん損したでぇ、ほんまお前とおったらおもろいわ♪」一同大爆笑!!!

機嫌よく土手を作り出汁をそそぐ。
そしてまたざわつく。

「ほんでこれどないすん?」「最終的にぐじゃぐじゃにするんちゃん?」「ぐじゃぐじゃにするタイミングがわからんがな」「また店員さん呼ぼか?」「いや、そんなすぐ呼んだらやで、『ほんま西の人間は』って思われるで!」「しゃ〜ないやんわからへんねんから!」「ほなドリンク頼むついでに聞いたらスマートちゃう?」「せやな」「それや」「すいませーん!」       

もんじゃにまつわる会話③〜ヘラを構えて〜

【店員さん】
「お伺いいたします」
【B】あたかもドリンク注文で呼んだ顔の西人
「えっーと、レモンサワー2つと何やっけ?」
【決まってたけど悩むふりをしてリアリティを出すきゃみ】
「え〜と、烏龍茶でお願いします」
【店員さん】
「かしこまりました!」
【A】両手にヘラを構える友達(以下ヘラハンズ)
「あの〜これって土手と出汁をまぐわせてええんですか?」
【店員さん】
「あ?はい?土手を中に入れ込む感じですね」
【B】THE西人
「どこから入れ込んだらいいでっか?」
【店員さん】
「どこから入れ込んでもらってもいいですよ」
【A】ヘラハンズ
「入れ込むって押し込むですか?」
【店員さん】
「いや、入れ込むです!」
【B】THE西人
「山折り的な?」
【店員さん】
「どちらかと言うと谷折り?」
【一同】
「???」
【店員さん】
「あの〜今、頭の中どんな感じですか?」
【きゃみ】
「…こんがら、がってます」
【店員さん】
「はい、その混乱をもんじゃにぶつけてください」
【B】THE西人
「きしょ〜」
【店員さん】
「はい、もんじゃが出来る過程はきしょく悪いんです」
【A】ヘラハンズ
「わかりました!」
【THE西人&きゃみ】
「なふ!!??」          
【店員さん】
「具材と出汁が混ざりましたら広げて焼いたら完成です」
【A】ヘラハンズ
「ヘッラー!!」
【B】THE西人
「聞いたことない返事​だ!!」
【きゃみ】
「ヘラに乗っ取られていやがるぜ!!」

その後ヘラハンズは無言で手際良く仕上げてくれた。
そして両手に持っていたヘラを手放し、右手に小ヘラを持ち「よばれよか」と微笑んで言った。
THE西人とうちも小ヘラを持って「よばれよか」と返事した。
小ヘラでもんじゃをこそげ取り頬張る。一同「うまっ〜」と幸せ顔。にんまり。
もんじゃを作るのに45分かかり食べるのはものの5分、その後お好み焼きを頼んだ。

【店員さん】
「お好み焼きもお客様でお作りになっていただくのですが、作り方はご存じで」
【一同】
「あんじょう出来ますぅ〜!!!」

      

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むらきゃみ(Aマッソ)

1988年生まれ。大阪府出身。Aマッソのボケ、ツッコミおよびグルメ担当。2024年2月21日に「村上」から「むらきゃみ」に改名。

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