『THE W 2025』優勝のニッチェ、同世代に「まだまだ仕事やろうよ!」と伝えたい

2025.12.16

文・撮影=ナカニシキュウ 編集=Quick Japan編集部


12月13日(土)に日本テレビで放送された『女芸人No.1決定戦 THE W 2025』。今大会を制し9代目女王に輝いたニッチェが、生放送直後に行われた記者会見で喜びの声を届けた。

【審査結果まとめ】『THE W 2025』

江上粗品の審査は「怖かった」

優勝決定の瞬間に涙を見せていた近藤くみこ(写真右)は、開口一番「実は未だに信じられないくらいびっくりしておりまして。気を抜いたらたぶんすぐ泣けるんですけど」と、感情を整理しきれていない様子。一方の江上敬子(写真左)は「近藤さんはけっこうドライアイで、悲しくなくても涙が出るタイプなんですけど」との情報を補足しつつ「さっき見せた涙はたぶん本物。感情からの涙が出ていた」と太鼓判を押す。ふたりそろって晴れやかな笑顔を弾けさせた。

舌鋒鋭い辛口コメントで強烈な印象を残した霜降り明星・粗品の審査ぶりについては、「感謝しかない」と近藤。「的を射ていないことを言っているわけじゃないし、ほかの人が気を遣って言わないことを言葉にしてくれているだけ」とし、放送前から大会に注目が集まるよう振る舞ってきた彼の姿勢も高く評価した。しかし江上は「私はものすごく怖かったです」と正反対の感想で笑わせる。トップバッターを務めた同じマセキ芸能社の後輩・もめんとへの歯に衣着せぬ評価コメントが飛び出した際には、「楽屋で『もしかしたら優勝者が出ない可能性もあるね』なんて話していました(笑)」と出場者間で物議を醸していたことを報告した。

続いて勝因を問われ、「身の丈に合った、しっくりくるネタを2本用意できたこと」と口をそろえるふたり。近藤は「年齢が40(歳)を超えて、20代や30代前半のころのような勢いあるネタがあまりなくて。派手じゃない、地味なネタが多いんですよね。大会に持っていけるかどうか悩みましたが、今の私たちにぴったりなんじゃないかというネタを持ってきた」と胸を張る。続けて「ちなみに今作るネタは、8割がふたりで座ってるネタです(笑)。2本とも座ってるネタになっちゃうのはやめようと、少しでも動きのあるネタを2本目に持ってきた次第でございます」と内情を明かした。

また彼女たちは、意外にもマセキ芸能社初の賞レースチャンピオンということになる。「マセキ芸能社の仲間は、みなさんが『チャンピオンになったことがあるんじゃないか』と錯覚するぐらい本当に活躍されている方が多いんです」と前置きした近藤は、「でもやっぱり事務所側からすると“チャンピオンがいない”というのをずっとネックに思っていて。それを我々も以前『THE W』に出たときから言われていたので、いつか恩返しをしたいという思いもありました」と感慨深げだ。

「すでに売れっ子であるニッチェにとって、ネタとは?」という質問が飛ぶと、「“売れっ子”はちょっとかわいらしすぎますね。“売れっぴと(人)”でどうですか?」などと画期的な提案を挟みつつ、「私たちの存在を世に知っていただくきっかけになったのがネタだったので、とても大事に思っています」と江上。「私の妊活で1回ストップしたんですけど、やっぱり我々はネタをやりたい。すごい牛歩ですけど新ネタは作っていて……“早坂営業”(※)というのがあるんですよ。そこでネタを披露し続けてきた経験のおかげもあるかなって。その早坂営業に、何歳になってもずっと呼んでもらいたい。ネタをするのが好きなんです」と曇りのない目で言い放った。

話題が賞金1000万円の使い道に及ぶと、近藤が「2020年に結婚したんですが、式やパーティーをしていない」とその資金にあてることを示唆したのに対し、江上は「息子と娘が欲しがっている非常に高いゲーム機を肩ぶん回して買います。夫にも、ものすごく高いウイスキーをプレゼントします」と宣言。ふたりそろって家族に惜しみなく費やすことを明言した。「今回の優勝はまわりのみなさんのおかげもありますけど、家族の協力がなかったらなし得なかったことなので」とは江上の弁だ。

そして最後に、ふたりは同世代の芸人仲間たちへエールを贈った。江上が「賞レースは新人さんのためにあるものだったりするので、場違いじゃないかとも思った」との胸中を吐露すると、「仕事に対してだんだん温度が下がっていく同世代がけっこういっぱいいて。『まだまだやろうよ、こっから!』という気持ちもうっすらありました」と近藤。年齢の近いおじさん芸人たちがニッチェの決勝進出をとても喜んでいたと言い、ふたりのもとに「マジで応援してる」「カッコいい」などの好意的なメッセージが山ほど届いたのだとか。江上は「(別現場で)なんかニヤニヤして『残ってるじゃん、決勝!』って近づいてくるんですよ。あんまり名前を言うとアレですけど……東京03の飯塚(悟志)さんとか」と顔をほころばせ、ハートウォーミングなエピソードで会見を朗らかに締めくくった。

※グッドラック・プロモーションが運営するお笑いライブ『爆笑お笑いフェス』のこと。まとめ役を担うプロダクション人力舎の早坂須美子氏にちなみ、俗に“早坂営業”と呼称されている。

この記事の画像(全6枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

ナカニシキュウ

Written by

ナカニシキュウ

ライター/カメラマン/ギタリスト/作曲家。2007年よりポップカルチャーのニュースサイト『ナタリー』でデザイナー兼カメラマンとして約10年間勤務したのち、フリーランスに。座右の銘は「そのうちなんとかなるだろう」。