それが顕著に出ていたのは、数日間、姿が見えなかったバカリズムを心配してふたりが部屋を訪ねたとき。仕事が立て込んでいただけだったのだが、そのときのバカリズムの様子に違和感を覚えた二階堂が若林の部屋についてくる。
「さっき升野さん(バカリズム)、自分の寝室を見られたくないオーラ、ハンパなくなかったですか?」
二階堂の「何かを隠しているに違いない」という直感を元に、ふたりは「女性を隠している」「死体を隠している」などど考えていくが、どれも確証を得られない。そこで二階堂が若林に尋ねた。
「升野さんが何隠してたらおもしろいですか?」
『え、大喜利?』
「アハハハハハ」
『怖いなあ、このタイミングで』
すでに存在する事象や、これから起こるであろう事象に対して、どうすれば「おもしろがれるか」と考える。これはそのまま、我々が日常を楽しむためのヒントになる。
若林の部屋だけなぜか家賃が安く、事故物件疑惑が出たときもそうだった。テレビのボリュームがいつも設定しない大きさになっていたこと、テレビのリモコンがふたつあったことなど(どちらも二階堂の仕業だった)、直近で感じた小さな違和感をすべて心霊現象だと捉えて不安がる若林。その姿を見ていたバカリズムは明らかに悪ノリしながら、若林の部屋で見つけた違和感を指摘し始める。こうしたやりとりにも、やはり日常の大喜利化を感じる。
家の中を舞台にしたドラマと同じく、現実の家の中でもおそらく大きな事件は起きない。しかし、事件は起きなくとも、何気ない日常をおもしろがることは誰にでもできる。そのためのヒントが、日常の大喜利化だ。
『住住』のように友達がお互いの家を行き来するのは、外出自粛の今は難しい。それでも「Zoom」のようなビデオチャットサービスを利用すれば、近い状態を作り出すことはできる。現状を退屈だと思うのではなく、よりおもしろがるためにはどうすればいいのか。目の前で起こった出来事の原因がなんだったらおもしろいか。そうした日常への眼差しこそが、自分の日常を愛せるようになるために重要なことではないだろうか。
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住住
Hulu 2020年4月18日(土)配信スタート
※以降、毎週土曜に1話ずつ配信 -
Hulu 傑作シアター「住住」第1話放送
日本テレビ 2020年4月25日(土)25:25~(予定)
※関東ローカル