俳優・豆原一成の歩みを追う。仮面ライダー、YouTuber、人型要塞戦艦、孫、暴走族リーダー…さまざまな役と向き合った軌跡を経てたどり着いた境地

2025.10.24
俳優・豆原一成の歩みを追う。仮面ライダー、YouTuber、人型要塞戦艦、孫、暴走族リーダー…さまざまな役と向き合った軌跡を経てたどり着いた境地

文=岸野恵加 編集=森田真規


2025年5月に封切られた映画『BADBOYS -THE MOVIE-』での主演、日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』出演などを経て、10月24日公開の最新作の映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』では市毛良枝とW主演を務めるに至った豆原一成。

俳優業は、輝かしい光を浴び続ける中で個性をアピールして、常に存在感を示さないといけないグローバルボーイズグループ・JO1とは、“別人になりきる”という真逆の活動だ。そして、活動を始めた当初からその演技力に定評があった「俳優・豆原一成」。

10月10日に発売された『Quick Japan』vol.180では、バックカバー&15ページ特集「俳優・豆原一成(JO1)光を背に、役を宿す」を実施。その特集に掲載された彼の俳優としての歩みを振り返った記事の、QJWebオリジナルバージョンをお届けする。

デビューから光っていた“自然体の演技”

デビュー1年目から、『THE突破ファイル』(日本テレビ)の再現ドラマなどに出演し、演技の才能の片鱗を見せていた豆原。オムニバス映画『半径1メートルの君~上を向いて歩こう~』内の「本日は、お日柄もよく」にて岡村隆史と軽妙なかけ合いを見せ、俳優デビューを果たす。そのころから、まるでアイドルとしての輝きをどこかに隠してしまったかのように指先まで役柄を宿してその場に存在する、自然体の演技が光っていた。

JO1全員が主演した短編作品集『ショート・プログラム』(Amazon Prime Video)の「メモリーオフ」では、莉子を相手役に迎えた“ボーイミーツガール”ストーリーで浪人生・戸志野はじめ役を演じ、等身大の魅力を発揮。

そして幼いころから仮面ライダーに憧れ、グループ活動の中でたびたび変身ポーズを披露してきた豆原が、『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』に出演、さらにスピンオフ配信ドラマ『Birth of Chimera』で主演を務めることが決まると、JAM(JO1のファン)からは祝福の言葉が相次いだ。劇中で仮面ライダーキマイラに変身し、夢を叶えた豆原。悪役をにらみつける気迫に満ちた表情はヒーローそのもので、撮影後には変身ポーズを自身で考案したとうれしそうに話していた。

【予告】「劇場版 仮面ライダーリバイス」スピンオフ配信ドラマ「Birth of Chimera」/ 東映特撮ファンクラブ(TTFC)にて2022年7月22日(金)より配信開始!

「孫、アイドルだったの!?」とSNSで話題に

豆原はグループ内で最年少ゆえ、年上メンバーからかわいがられる存在だが、自分を率先して押し出すタイプではなく、トークでも穏やかにメンバーを見守っていることが多い。そうした傾聴力の高さによって演技でも自然なかけ合いが生まれていると感じるし、他人を優しく受け止める彼の人柄がにじんでいるようにも思う。

一方で『お笑いインスパイアドラマ ラフな生活のススメ』(NHK)で見せた、明るくハイテンションなYouTuber・山本信行役には、普段バラエティコンテンツでおどける末っ子らしい素顔と、岡山弁がよく生かされていた。

さらに『超人間要塞ヒロシ戦記』(NHK)ではなんと、“人型要塞戦艦”役に挑戦。内部で6000万人が暮らすことを隠し、餃子屋でバイトをして生きるという難役を、絶妙なニュアンスで演じきる。劇中、ロボットらしい動きで餃子を包み続ける姿はなんともユニークだった。

超人間要塞ヒロシ戦記 PR動画 Long ver.(2分)

2024年には、日曜劇場へ進出。野木亜紀子脚本による話題作『海に眠るダイヤモンド』(TBS)にて、宮本信子演じるいづみの孫・星也を演じた。ベテラン俳優に囲まれた中でも物怖じせず、若者らしい気だるさをリアルに表現して視聴者に存在を印象づけた豆原。同年末の音楽番組にJO1が出演した際には「孫、アイドルだったの!?」とSNSが賑わった。

『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』でも“孫”を演じているが、彼の親しみやすさとかわいらしさが、役柄をさらに魅力的に見せているに違いない。

2025年、映画主演作が連続公開

そしてついに2025年、豆原は『BADBOYS -THE MOVIE-』で映画初主演を飾り、さらに『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』と、主演作が連続で公開に。『BADBOYS -THE MOVIE-』では暴走族「極楽蝶」のリーダー・桐木司役を務め、拳でぶつかり合う体当たりのアクションに挑戦。持ち前の身体能力の高さで、迫力のアクションシーンを作り上げた。

本予告『BADBOYS -THE MOVIE-』 [5.30 Fri] 主題歌:JO1「Be brave!」

こうして豆原は、等身大の若者からコメディ、アクションなど大きな動きが要求される役柄まで、さまざまな役に向き合い、演技の経験値を積んできた。

誰からも好感を抱かれる持ち前の爽やかさと、相手を受け止める柔らかさ、そして“正解より全力”をモットーにまっすぐに突っ走る姿勢が「俳優・豆原一成」の大きな魅力。だからこそ業界関係者も「彼にこの役を演じてほしい」と掻き立てられ、オファーが絶えないのだろう。次はどんな姿を見せてくれるのか。俳優・豆原一成に魅了された者のひとりとして、さらなる飛躍が心から楽しみだ。

『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』本予告

映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』

映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』

公開日:2025年10月24日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
出演:豆原一成(JO1)、市毛良枝、酒井美紀、八木莉可子、市川笑三郎、福田歩汰(DXTEEN)、藤田玲、星田英利/長塚京三
監督:中西健二
脚本:まなべゆきこ
音楽:安川午朗
制作プロダクション:PADMA
原案:島田依史子『信用はデパートで売っていない 教え子とともに歩んだ女性の物語』(講談社エディトリアル刊)
原案総責任:島田昌和
配給:ギャガ 
(C)2025「富士山と、コーヒーと、しあわせの数式」

バックカバー&15ページ特集「俳優・豆原一成」掲載の『Quick Japan』が発売中

『Quick Japan』vol.180バックカバー/撮影=梁瀬玉実
『Quick Japan』vol.180バックカバー/撮影=梁瀬玉実

映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』(10月24日(金)全国公開)に、市毛良枝とともにW主演を務める豆原一成(JO1)が『Quick Japan』vol.180(10月10日(金)発売)のバックカバー&15ページ特集「俳優・豆原一成(JO1)光を背に、役を宿す」に登場。

さらに特集では、映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』の中西健二監督や同作で映画初出演を果たした福田歩汰(DXTEEN)が語る「俳優・豆原一成」の魅力、さらに豆原の過去の出演作の共演者や監督からのコメントも掲載。さまざまな側面から「俳優・豆原一成」に迫る。

『Quick Japan』vol.180/「俳優・豆原一成」特集より
『Quick Japan』vol.180/「俳優・豆原一成」特集より

強い光を浴びながら個性が求められるグループでの活動とは真逆ともいえる、自分とは異なる役になりきる俳優活動で豆原一成が考えていることとは──。

『Quick Japan』vol.180|バックカバー&15ページ特集「俳優・豆原一成(JO1)」

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岸野恵加

(きしの・けいか)ライター・編集者。ぴあでの勤務を経て『コミックナタリー』『音楽ナタリー』副編集長を務めたのち、フリーランスとして2023年に独立。音楽、マンガなどエンタメ領域を中心に取材・執筆を行っている。2児の母。インタビューZINE『meine』主宰。