18歳のアーティスト/ラッパー・edhiii boiが、初のツアー『edhiii boi 1st TOUR 大人になんてなりたくない』を開催した。大阪・バナナホール、名古屋・ell.FITS ALL公演を経て、6月7日(土)、東京・Spotify O-EASTにて、自身最大規模を更新するかたちでファイナルを迎えた。
14歳でデビューを果たしてから3年5カ月の間、圧倒的進化を重ねてきたedhiii boiは、5年以内にドーム公演を実現することをステージ上で宣言。「伝説の日」になったファイナル公演のオフィシャルレポートをお届けする。
edhiii boi
(エディボーイ)ラッパー。2021年SKY-HIに送ったデモ1曲で心を撃ち抜き、14歳にしてアーティスト契約をつかみ取り「edhiii boi」と名づけられた。独特の声、ワードセンス、テクニカルなフロウから、ダンスやトラックメイクまでハイレベルでこなす。さまざまな音楽を経由してきた事を感じさせるハイブリッドな音楽性で、唯一無二の存在感を放つ小さな異端児。2023年11月にリリースされた楽曲「おともだち」が「ビルボード 2024年 年間TikTokソング・チャート“TikTok Songs Chart”」5位を記録し、Z世代からの注目を集める存在となった
目次
見たことのない光景が広がるフロアに放たれた「伝説を作りにきた」
edhiii boiのマスコットキャラをまねして赤い帽子を被った少年たちも、edhiii boiと同世代くらいの男の子も、年齢なんてただの数字だといわんばかりに生きるギャルたちも集まったフロアは終始、超エネルギッシュ。歓声も合唱も起きまくっていた。会場内には小学生までが入れるキッズエリアが設けられており、MCでedhiii boiが9歳の男の子と会話する場面もあった。
edhiii boiは誰ともかぶらないオリジナリティを追い求めているアーティストであるが、小学生たちがロックもヒップホップも電子音楽もクロスオーバーさせた新たな音楽に熱狂していること自体、見たことのない光景だった。

オープニングのファンファーレが鳴り響くと、「1stツアー、始めようか」と、edhiii boiはブロンド色の髪を短くしたニューヘアスタイルで登場。青春感あふれるギターリフが特徴的な「大人になんてなりたくない」のイントロに乗せて、全身ブラックを基調にコーディネートした姿で「What’s Up, Tokyo!」とスクリームすると、割れんばかりの歓声が上がる。その場にいる人たちの心を一瞬にしてつかむほどの存在感がある。
自己紹介ソング「edhiii boi is here」ではオーディエンスが「edhiii boi!」と名前を呼び、「そんなもんかよ? 行けますか、東京!」と煽ってから、久々にセットリストに入った「My Way」では<この声だけで/全国ツアーしちゃうくらいのバイブス>と歌詞をチェンジ。
バチバチの照明とビートが止まって暗転すると、周囲から「天才……」とこぼれる声が聞こえてきた。「今日のライブは俺ひとりじゃなくて、あなたたち一人ひとりと作って終われるツアーだからな。伝説を作りにきたんだよ」と言ってから歌った「TOKYO」を終えると、「今日初めて来た人ももうすでに俺のファミリーだからな」とオーディエンスとの距離を一気に縮めていく。

弱さや脆さがポジティブなエネルギーへ
この日のライブでは、edhiii boiのスター的存在感と、そんな彼でも心の中に弱さや脆さがあること、その両面を表現していた。18歳らしからぬ堂々とした姿で全員を圧倒させる瞬間と、18歳らしい焦燥感やコントロールできない寂しさ、やり場のない怒りなどをさらけだして、一人ひとりに「俺だって同じだよ」と寄り添う瞬間。それらを通して、edhiii boiは聴き手にとって「頼れるアーティスト」であることを示していた。
ここからはさらに距離を縮めて寄り添うような曲を続けた。5曲目は、母親に宛てた「ラブレター」。edhiii boiの個人的なエピソードを語っている曲ではあるが、最後のコール&レスポンスで「ありがとう」と口にすると、自然と自分の家族や大切な人が頭に浮かんでくる。「10代だからもっと勉強しとけとか、もっと部屋にこもって曲を作れとか、学校ちゃんと行けとか言われてきたけど、まじ忙しいんだわ」と始めた「忙しいんだわ」では、みんなのストレスも吹き飛ばす。

今年の快進撃を宣言する「2025」、フロアを爆踊りさせた「GALAXY」のあとは、マイクスタンドを置いて“歌”を聴かせるゾーンへ。「宇宙(ソラ)」「花火」「全部僕のせい」を、心の乱れも感情の昂(たかぶ)りも声に乗せるようにして歌った。「全部僕のせい」の最後には、自分に向けるいら立ちも後悔も込めるようにマイクスタンドを蹴り飛ばし、スポットライトの中でひざまずいた。
「青い春」では、最後のサビ前に「失恋したことがある人、友達関係で悩んだことがある人、対人関係で悩んだことがある人。なんでもいい。頭の中でイメージしてください」と声をかけて、それぞれの心の中にあるわだかまりにそっと触れながら<「ごめんね ありがとう。」って/伝えたいよ それだけ>と代弁するように歌った。
そのあとの「マジだりぃ」も、10代にとっての言語化できない感情を代弁する、edhiii boiの新たな代表曲だ。<マジだりぃ><ほっといて…>などの一見ネガティブな言葉も、edhiii boiと会場に集まった人たちが一体となりながらメロディに乗せて歌うと、とてつもなくポジティブなエネルギーを与えるものへと変化する。この歌が聴き手一人ひとりの生活に入り込み、人生を支えていることが、会場中の熱狂する空気から伝わってきた。

憧れや生きる糧を与えるアーティストであること
そのあとは再びブチ上げゾーンで、会場はダンスフロアへと変貌。「Uiteru」で無音の中で矢継ぎ早のラップをかましてから「118」、さらに「Villains」へとつなげる。一度音が鳴り止んで拍手が湧いたあと、再び「Villans」が流れ始めると、なんとAile The Shotaがサプライズゲストとして登場! ふたりは向かい合いながらそれぞれのバースをかまし、フックではバウンスしまくって、狂乱的なパーティができあがっていた。
しかもそのあと「カメレオン」「Non Fiction」「Higher Up」とedhiii boiなりのダンスミュージックを続けていくのだから、フロアはどんどん熱くなる。「どうですか?」と声をかけると「最高!」の声が飛び交った。
そのあとのMCパートで冒頭に書いた9歳の子に話しかける場面があったのだが、ほかの人にも「あのイベントにも来てくれたよね」と話しかけたり、ファンと深いコミュニケーションを取っていた。
以前インタビューでなぜそうやってライブ中にファンへ話しかけるのかを聞いたとき、かつてedhiii boi自身が、憧れのアーティストと目が合うだけで、そのあとの日々をがんばれたからだと語っていた。次は自分が憧れや生きる糧を与える番であることを、edhiii boiは自覚している。
そんなMCのあとは、自身が「作りながら救われた曲」だという「爆走」をプレゼント。そして「不思議な国のアリス」から、「ここまでついてきてくれてありがとう」とシャウトして、14歳のころにリリースしたデビュー曲「NO」、10歳のときに作った曲をサンプリングした「夏休み」を続けた。

「俺、5年以内にドームやるからお前ら絶対に来いよ」
この日「ついてきてくれてありがとう」という言葉を何度も噛み締めるように言っていたのは、そのあとに語った想いがあるからだろう──「今になってもまじで寂しいし、不眠症と戦いながら曲を作っているんですけど。しんどいな、ひとりは嫌だなと思いながら作った曲が、僕と同じ境遇の人が聴いたときに、救われたと言ってくれることがある。そのためだったら、僕はこれからも曲を作り続けます」。
フロアがタオルを振り回した「スーパーヒーロー」には<「まぁいいや、なんでもないや」/とか隠さずに頼ればいいじゃん>というリリックがあるが、edhiii boiこそが「頼りにしても大丈夫だ」と思わせてくれるアーティストにどんどん進化していることを感じさせた。
そのあとの「Flower」の曲中でも、edhiii boiは「俺もみんなと同じように人間で、ステージから下りればみんなと同じように生活をしている」と語りかけた。そうやって目線を合わせてから、「ひとりぼっちだと思うんだったら、俺がいつでも支えるから音楽を聴け!」。
寂しがり屋なところや心がタフでないところも隠さないのがedhiii boiで、だからこそ寄り添える強さや信頼できる頼もしさがある。さらに「ここからedhiii boi第2章が始まるからついてこいよ!」と宣言。そしてアウトロに乗せて、「俺、5年以内にドームやるからお前ら絶対に来いよ」と夢を語った。

武道館、ドームへと続く“伝説”を刻んだ一夜
ここからもedhiii boiらしく、予定調和に倣わないシーンの連続だった。「天才ギャング」で最高にアゲて本編をあきらめたあと、サプライズが続いたのだ。「天才ギャング(大天才Remix)」が流れるなか、一度去ったedhiii boiが再登場し、センターで座りながらメイク直しと衣装の変身をステージ上でやるという演出を見せる。そして「天才ギャング(大天才 Remix)」が鳴り続けるなかで、ふたりのファンをステージに上げてお祭り状態に。
さらにここで、バイラルヒットソング「おともだち」。フロアに降りて、最前列にある柵をよじ登るような姿勢で歌う。「ありがとうございました! 気をつけて帰れよ」とあいさつをして、これで終わりかと思いきや、もうひとりのサプライズゲスト・MANONが登場! 「おともだち -ズッ友 remix-」を披露した。

新世代アイコンであるふたりが声を重ねたあと、記念撮影を行い、「天才ギャング(大天才 Remix)」が6月11日に配信リリースされることも告知して、さすがにこれで終わりだという空気になったなか……「タイム的にもうやばい? まだ帰りたくないんだけど。もう1曲くらいやらせてくれないかな?」とedhii boiはスタッフに話しかけた。そしてOKが出たようで、「何が聴きたい?」と問いかけてから、特にリクエストの多かった「Kawaii」を追加で届けた。
なんと、ここでもまだ終わらない。「まじで許されるなら、もう1回だけ『おともだち』歌っていい?」と、edhiii boiは名残惜しそうに言ったのだ。そこから畳みかけた「おともだち」では、edhiii boiとファンの<これからもよろしくね><いつもありがとう>というリリックの呼応が、この日一番の音量と熱量で響きわたっていた。

そして最後に「自分でいうのもなんだけど、伝説作ったんじゃないか!」とシャウト。やりきったedhiii boiと、すべてを燃やして遊び尽くしたオーディエンスの表情が、この日が「伝説」になったことを物語っていた。edhiii boiは以前から、10代のうちに日本武道館ライブを実現したいと公言している。この日の伝説が、武道館、そしてドームへと続いていくのだろう。
📹edhiii boi 1st TOUR#大人になんてなりたくない
2025.6.7 @ 東京 Spotify O-EASTTikTok▶️https://t.co/WVCZmNrSS4
Reel▶️https://t.co/FWAbbHgMN6
6/11「天才ギャング (大天才 Remix)」
配信リリース🦀💜#edhiiiboi pic.twitter.com/hXR5HLoTsg— edhiii boi (@edhiii_boi) June 9, 2025
■『edhiii boi 1st TOUR 大人になんてなりたくない』
2025年6月7日(土)@Spotify O-EAST
プレイリスト:https://lnk.to/edhiiiboi_1st_tour
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