JO1、ツアーファイナルで東京ドーム2デイズを超満員に。白岩瑠姫「JAMの意味のひとつが、日本最高峰の場所で叶いました」

2025.4.22
『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

文=岸野恵加 編集=森田真規


11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。“グローバル”を標榜していた彼らは結成当初からワールドワイドな活動を目指していたが、デビュー日は2020年3月4日。コロナ禍の影響を真正面から受けたグループのひとつといえる。

2025年4月20日、21日の2日間、東京ドームを超満員にした『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』で、彼らは2024年からの全国&ワールドツアーを終え、全11会場24公演で約25万人を熱狂させた。

本稿では、大成功のうちに終えた初の単独東京ドーム公演、4月21日のライブの模様をレポートする。

エンターテイナーとしての矜持を見せた『JO1DER SHOW』

2024年11月、『JO1DER SHOW』ツアーの始まりの地となったKアリーナ横浜公演に足を運んだ際、ひとつの“ショー”としての完成度の高さに驚いた。ユニットステージやDJ、バンド演奏などさまざまな表現が盛り込まれつつも、VCRも含めすべてがパフォーマンスとシームレスにつながった没入感の高いステージで、体感時間があっという間だったのだ。

自分たちの強みを問われれば、真っ先に「ライブ」と答えるJO1。ライブのセットリストや演出などに積極的に意見を伝える彼らは、先日筆者が『日経エンタテインメント!』4月号でインタビューした際、前回のツアーを超えるために『JO1DER SHOW』では当初提案されたセットリストをがらりと変えたことを明かしてくれた。

東京ドーム公演の開催直前にYouTubeに連日アップされていた『JO1DER SHOW』の各地のビハインド映像でも、常にベストなライブのかたちを模索するJO1の姿が切り取られている。『JO1DER SHOW』は、JO1が表現者として、エンターテイナーとしての矜持を見せたツアーだった。

[JO1BEHIND] JO1DER SHOW 2024‘WHEREVER WE ARE’ IN KANAGAWA

横浜公演に始まり5カ月間、11人は日本国内のアリーナツアーで4都市14公演を回り、年明けからは世界6都市8公演でのワールドツアーを駆け抜けてきた。その集大成となるJO1初の東京ドーム単独公演では、どんな進化を見せてくれるだろうか。開演を迎えると、想像以上のライブに胸を熱くさせられた。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

主人公の風格を放ちながらライブの口火を切った豆原一成

東京ドーム公演はアリーナツアーの内容をベースとしつつ、4月2日にリリースされたベストアルバム『BE CLASSIC』で発表された新曲などを新たに盛り込んでスケールアップ。バンドによる生演奏が響くなか、ライブの火蓋を切って落としたのは、頼もしい最年少の豆原一成だ。

豆原はたったひとりでステージ上段に現れ、主人公の風格を放ちながら「Are you ready? TOKYO DOME! JO1 We Go to the TOP!」と、威勢よくJAM(JO1のファンネーム)を煽る。そこからメンバーがステージの各所にポップアップで次々に登場し、華々しくライブの幕が開いた。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
東京ドーム公演の口火を切った豆原一成 (C)LAPONE ENTERTAINMENT

序盤でJO1は、2024年末の『NHK紅白歌合戦』でも披露されたグループの代表曲「Love seeker」をはじめとして、「HAPPY UNBIRTHDAY」「GrandMaster(JO1 ver.)」などエネルギッシュな楽曲をノンストップでたたみかけて、オーディエンスを“自分たちだけのワンダーなショー”の世界へ誘う。炎や火花、ペンライトの遠隔操作など、ドーム公演ならではの豪華な演出も、メンバーの熱量をさらに高めた。

今回のツアーで印象的だったのは、リード曲やライブの定番曲などに縛られない楽曲のチョイスが行われていたことだ。デビューからの5年間でJO1が発表した楽曲は100近く。良曲ぞろいのディスコグラフィの中から、一つひとつがパズルの完成に必要なピースのようにセレクトされ、勢いを途切れさせないようなアレンジをもってセットリストに配置されていた。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

11人がオールラウンダーに

DJ STAGEでは豆原がDJブースに立ち、ターンテーブルを自在に操ってJAMのボルテージを上昇させる。そして川尻蓮と川西拓実の「BINGO」、白岩瑠姫と金城碧海の「PUSH ON」、鶴房汐恩の「BON BON IS COMING」と、3組のユニットが次々に挑発的なラップを繰り広げた。最後の「Eyes On Me(feat.R3HAB)」では豆原のもとに5人が集合し、重低音のビートに乗せてJAMとレイヴのように大盛り上がり。

そしてBAND STAGEでは、5人がバンドを結成して「Mad In Love」を披露。河野純喜と與那城奨がギター、佐藤景瑚がドラム、木全翔也がベース、大平祥生がキーボードを奏で、青春ムード満載のステージでさわやかな風を吹かせた。

東京ドームで初披露となったアルバム『BE CLASSIC』収録の3つのユニット曲も、それぞれにまったく異なる魅力を放った。豆原、佐藤、川尻による「EZPZ」では、シャツにネクタイ、白いロングコートでそろえた3人がダンサーを交えた群舞で圧倒し、佐藤のアクロバットも迫力満点。

河野の伸びやかなアカペラで始まったロックナンバー「Be There For You」では、河野と大平、白岩、鶴房、與那城がエモーショナルなボーカルを響かせる。そして金城、木全、川西は真っ赤なキャデラックに乗ってアリーナ外周を回り、「Hottie with the Hot Tea」でクールなラップを披露。実力を磨き続けて全員がオールラウンダーとなった11人は、誰がメインとなっても見劣りしないどころか、それぞれにドームにふさわしい貫禄を携えていた。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
(左から)川西拓実、木全翔也、金城碧海 (C)LAPONE ENTERTAINMENT

芸術的なステージで「自分たちがやがてクラシックに」

「Blooming Again」「君のまま」といったバラード曲では、11人が1フレーズごとに魂を込めて歌唱し、JAMの胸を熱くする。かねてから「Blooming Again」への愛を表明してきた鶴房は、「僕の大好きな曲を、アリーナツアーからずっと披露できて幸せでした」と喜びを噛みしめていた。

2日間約10万席のチケットは完売し、急遽販売されたWith Usシート(体感席)まで埋め尽くされた超満員。「Blooming Again」を披露する前には、白岩が「JAMの意味のひとつである“会場を満杯にする”が、今、日本最高峰の場所で叶いました」としみじみと語る。

さらに白岩は「僕たちは最初、会社と一緒にゼロからスタートしました。最初の2年間は人前でパフォーマンスすることがなかったです。いっぱい失敗して、『もう無理かな』って思いました。なんで人の『好き』という言葉はなかなか信じられないのに、1回『嫌い』って言われたらすぐに信じてしまうんだろうと。でもそんなつらい思いをするのは、JO1だけでいいと思っています。支えてくれているJAMのみんなを、僕らJO1は一生愛すことを誓います」と続け、真摯な思いを届けていた。

そしてこの日最高潮の盛り上がりを見せたのが、「JO1DER SHOW 2025 REMIX」と、ベートーベンの交響曲第5番「運命」をサンプリングした最新曲「BE CLASSIC」のステージだ。「JO1DER SHOW 2025 REMIX」では、「Speed of Light」「Tiger」「SuperCali」「Trigger」などアグレッシブな9曲が息つく間もなくマッシュアップで披露され、11人が怒涛の勢いでステージのそこかしこに登場し、生命力にあふれたパフォーマンスで圧倒する。

それに続く「BE CLASSIC」ではクラシカルで荘厳なサウンドに乗せて、JO1が「自分たちがやがてクラシックになる」という気概を込めてパフォーマンス。終盤では川尻がダンサーにリフトされて立ち、美しい放物線を描いてうしろに倒れ込む。噴き上がる炎、そしてJAMからの割れんばかりのかけ声も合わさって芸術的なステージが完成。パフォーマンス後もJAMからはしばらく拍手と歓声が鳴り止まず、衝撃を物語っていた。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
(左から)川西拓実、河野純喜 (C)LAPONE ENTERTAINMENT

全員で歌うことが叶った「飛べるから」

初の東京ドーム単独公演という、JO1もJAMもずっと夢見てきたメモリアルな舞台。さぞかし本人たちも感無量だろうと思っていたが、実際のライブでは、JO1にとって東京ドーム公演は到達点ではなく、あくまで通過点であるという思いが、随所ににじみ出ていた。カメラに抜かれるたびに巧みな表情の変化や仕草でJAMに大歓声を起こす様にも、現状に甘んじないギラギラとしたハングリーな姿勢を感じた。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

メンバーそれぞれのあいさつでは、「JAMの応援によってここまで連れてきてもらった」という意識から、ファンを頼もしく引っ張っていくフェーズに移行したことがうかがえた。河野が「俺も幸せでJAMも幸せ。これってWin-Winの関係じゃない? もっと幸せになりたいし、幸せにしたい。一緒についてきてください」と微笑んだほか、公演中には何度も「ついてきてください」という頼もしい言葉がメンバーから飛び出していた。

また大平は、「いつも“JAM”と伝えるけど、“みんな”じゃなくて“あなた”のために、ずっとパフォーマンスをしてきました。僕たちの活動で、夢を与えられていたらいいなと思います。何歳からでも遅くない、今日が一番若い日です。一緒にがんばりましょう」と、夢を与える立場として寄り添い、エールを送る。

さらに木全は、オーディション時の自分を「すごくネガティブだった」と述懐し、「そんな自分が、こんなに多くの人たちの前でパフォーマンスできている」と、自身の成長を噛みしめる。「ここで僕たちはひとつ大きな夢を叶えましたけど、まだまだでっかい夢を叶えたいので……僕たちとこれからも、最高の旅をしてくれますか?」と、優しい笑顔で呼びかけた。2021年に行われたJO1初の有観客単独ライブで「これからもついてきてくれますか?」と涙目でJAMに尋ねていた彼の影は、もうどこにもない。

そして、取り繕わず心からの素直な言葉を届けるメンバーの姿は、デビュー時から変わらない。佐藤は「僕は本当にどうしようもない奴で、ワガママで。何も考えていないし、1羽が走ったらみんながついていくダチョウと同じ。なんで走っているかわからなくなるんです。気づいたら東京ドームに立っていた。みんなも僕たちが走ったらついてきて!」とユーモアたっぷりに語り、終始JAMの友人のような飾らないトークで盛り上げる。しかし彼の優しさとメンバー愛がグループを支えていることは明らかで、JAMは見守るように温かくうなずいていた。

川尻は「70点の日があっても、120点の日があっても、間違いなく毎日前に進んでいますよね。僕たちもそうやって、ここまで来ました。間違いなく前に進んで、ここに旗を差しました……」と涙をこらえながらコメント。「そうやって立てた旗を増やしていって、うしろを振り向いたときに、きれいな景色が待っていると思います。みなさんとならもっともっと遠くに行けると思うので、これからも一緒に進んでいきましょう」とJAMへ呼びかける。

豆原は常に堂々とした姿を見せていたが、「JO1がデカくなっていくにつれて、JO1というものに恐怖を感じることがあります。大きなステージを踏む自分には責任が伴うし、悩むこともあります。『自分は漢(おとこ)だ』とか言いながら、うしろを振り返ることも何度もあります」と、正直な胸中を吐露。続けて「僕にとって10人は相棒であり仲間であり、ともに進む家族。これからも絶対にこの11人と、そしてここにいるみなさんと、もっと上に行きたいと思います」と力強く宣言した。

思いをひたむきに伝えたあと、「このメンバーでよかった!」と叫んで、メンバー全員とハイタッチした金城。背中には全員の缶バッジがつけられており、メンバーへの愛と信頼がにじんでいた。アンコールでは、金城の活動休止時にリリースされ、ベストアルバムの収録曲を決定するためのファン投票で1位を獲得した「飛べるから」がライブ初披露されたが、金城は歌唱中に嗚咽。多くのJAMも涙を流しながら、11人がそろってこの楽曲を初めて歌い上げている光景を噛みしめていた。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

與那城奨「ここからが始まり。終わりじゃない」

負けず嫌いで、常に全身全霊でステージに臨むメンバーぞろいのJO1。その姿はしばしば「部活動のよう」と表現される。東京ドーム公演ではステージに懸けるメンバーの熱量も凄まじかったが、客席を埋め尽くしたJAMの気迫もまた、まるで全国大会に挑む部員のようだった。

楽曲のかけ声は東京ドームの床を揺らすほどの大音量で響き、“初の東京ドーム単独公演”というたった一度の晴れ舞台を絶対に成功させたいという気合いが、客席全体に充満していた。JO1とJAMが手を取り合い、ともに高みを目指していく関係性は、これからも変わることはないだろう。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT

ダブルアンコールとして、本当のラストを飾ったのは「Bon Voyage」。川尻、河野、木全が作曲に、メンバー全員が作詞に参加したファンソングだ。花道を噴水が美しく彩るなか、11人は「Bon Voyage 描いた未来 全てを正解にして 果てなき道 僕ら突き進もう」と思いを乗せて歌い、ステージを駆け回って笑顔を弾けさせる。

歌い終えると、鶴房や木全は、花道にできた水たまりへ無邪気にダイブ。そして最後は全員で円陣を組み、JAMも一緒に「Go to the Top!」と声をそろえて、心をひとつにする。公演時間約4時間、全35曲を、11人は終始気迫たっぷりに、心から楽しむように走りきった。

エンディングでは、5年間の軌跡を追ったドキュメンタリー映画第2弾『JO1 THE MOVIE『未完成』-Bon Voyage-』が、7月に公開されるというサプライズ発表もあった。リーダー・與那城の最後の言葉で印象的だったのが、「ここからが始まり。終わりじゃないです」というひと言。

また川西は「このライブが終わる瞬間にJO1の第1章が終わって、第2章が始まると思います。これからもついてきてくれますか? 一緒に行こうよ!」と呼びかけていた。

彼らの視線はすでに未来に向かっている。幕間に流れたインタビュー映像では、多くのメンバーが次なる目標として「ドームツアー」を掲げていた。JO1とJAMの旅路は、まだ始まったばかりだ。

『JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE‘ IN TOKYO DOME』より (C)LAPONE ENTERTAINMENT
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岸野恵加

(きしの・けいか)ライター・編集者。ぴあでの勤務を経て『コミックナタリー』『音楽ナタリー』副編集長を務めたのち、フリーランスとして2023年に独立。音楽、マンガなどエンタメ領域を中心に取材・執筆を行っている。2児の母。インタビューZINE『meine』主宰。

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