写真を撮ることにこだわりを持つアーティストや俳優による連載「QJカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
フィルムに写る幻

第150回。
現像したフィルムに2月に行ったワンマンライブの写真があった。
あれからもう2カ月が経過したのかと流れる時の早さに驚きながら、フィルムに写るそれらはどれも幻のように遠かった。
鮮明に覚えているのはマイクスタンドの前に立ち、客席と正対したときの真っ白な緊張感。
足の力が一瞬にして抜け消え、残るのは膝裏をくすぐる奇妙な感覚と前頭あたりに浮遊するホワイトノイズのようなもの。
歌詞や歌にミスを及ぼすのはたいていこいつらの仕業である。
ただそんな出来事を超越するほどに沸々と湧き出る怒りのような喜びのような、悲しみや浄化のような名もない感情との出会いもまた、ライブならではの醍醐味なのだろう。
人前に出ることへの苦手意識と自己妄想を世に放つ図々しさが同居したわたしという悲しき怪物は、今日もなぜだかステージ上を彷徨っている。
生きているというなんとも複雑で曖昧な感覚を内包するライブに興味を寄せながら。
いつかその幻に手を触れることを夢見ながら。

NAOYA(ONE N’ ONLY)、セントチヒロ・チッチ、工藤遥、RUI・TAIKI・KANON(BMSG TRAINEE)、森田美勇人、蒼井嵐樹が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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