11人組のグローバルボーイズグループ「JO1(ジェイオーワン)」。“グローバル”を標榜していた彼らは結成当初からワールドワイドな活動を目指していたが、デビュー日は2020年3月4日。コロナ禍の影響を真正面から受けたグループのひとつといえる。
そんなJO1初のワールドツアー『JO1 WORLD TOUR JO1DER SHOW 2025 ‘WHEREVER WE ARE’』が2025年2月に台湾の首都・台北からスタートし、3月30日に韓国・ソウルでの公演をもって締めくくられた。
本稿では、JO1のデビュー5周年となる2025年3月4日に行われたニューヨーク公演を、本ワールドツアーの他公演の様子も届けてくれた日本在住のJAM(JO1のファンネーム)の紗里氏がレポートする。
目次
ニューヨークで迎えたデビュー5周年
「デビュー5周年を日本ではなくニューヨークのライブで迎えるんだよ」と2020年3月4日当時のJO1に伝えたとしても、きっと信じてもらえないだろう。
華々しくデビューを祝うべく、さまざまなイベントや企画が準備されていたなか、急遽オンラインへと切り替えざるを得なかったあのときのことを思うと、対面で、しかも海外で単独ライブを開催できていること自体が、当たり前ではなく奇跡なのだと感じさせられる。
ワールドツアーが発表された当初は3月4日のみの開催予定だったが、チケットの即完売を受けて3月3日に追加公演を行うことが後日発表されたニューヨークでのライブは、「『PRODUCE 101 JAPAN』で一緒に夢を目指した練習生たちがひとつになって、世界の頂点を目指していく」というJO1のグループ名の由来を体現する、記念すべきイベントとなった。
会場のBrooklyn Bowlは、アーティストやミュージシャンが移り住んだことをきっかけに再開発が進み、今ではオシャレかつヒップなエリアとして注目されているWilliamsburg(ウィリアムズバーグ)というマンハッタンからイーストリバーを挟んだ対岸エリアに位置している。ライブが行われるステージエリアの隣には、ボウリングレーンが隣接しており、貸切イベントがないときはボウリングを楽しむ地元の方で賑わっているとのこと。



メンバーに届いたアメリカJAMの想い
3月4日の公演では、開演前に「ツカメ~It’s Coming~」と「無限大(INFINITY)」の2曲が流れると、会場中に熱唱の渦が巻き起こり、デビュー日ならではのエモーショナルな幕開けとなった。
セットリストはLA公演から変更はなかったものの、LAよりもさらにコンパクトになったステージ上で、メンバー同士ぶつからないよう息を合わせながらパフォーマンスをしていた。
「Love & Hate」では川尻蓮の高音パートに合わせて、まるで宗教画のようにメンバーが重なり合う振り付けと、会場の赤い照明がマッチして妖艶な雰囲気を醸し出していた。特にフロアを使ったダンスでの大平祥生のセクシーさと、木全翔也の曲の世界観に没入した表情や目線の使い方が印象に残っている。
メンバーが日替わりでソロダンスを披露していた「Eyes On Me」では豆原一成と一緒に金城碧海が回し蹴りを決め、オーディション時はダンス未経験だったメンバーがダンスブレイクで会場を沸かせているのも感慨深かった。
中盤のMCに入るタイミングで川西拓実が客席の”あるもの”に気づき、「それ見せて」というふうに合図を送ると、JAMからの寄せ書きが入った星条旗がステージに投げ込まれた。実は朝早くからアメリカJAMが、会場に集まったJAM一人ひとりに声をかけ、JO1へのメッセージを集めていたのだ。

彼女の一途で温かな愛に心を動かされ、私もその寄せ書きに参加させてもらった。その際に、「メンバーは絶対喜んでくれるはずだから、気づいてもらえるといいね」と客席をバックに写真撮影をするタイミングを説明して一緒に作戦を練ったところ、これが大成功。
星条旗を受け取ったメンバーは、「みんなで書いてくれたの?」と驚きつつも感動した様子で寄せ書きのメッセージを読み始めた。そのタイミングで「無限大(INFINITY)2025」とともにデビュー5周年をお祝いするケーキが登場。
まるですべてが台本に書かれていたかのように、JAMの想いがメンバーに届き、最高のかたちでデビュー記念日を祝うことができた。川西は少し感極まった様子で、アメリカJAMの気持ちを背負うかのように星条旗を肩にかけたままパフォーマンスを行った。

一発でストライクを決めた佐藤景瑚
ライブ後半のJAMへの手紙を読む場面では、アポロ11号で人類初の月面着陸をしたニール・アームストロングの言葉にかけて與那城奨が、「今回のパフォーマンスは“ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、僕たちにとっては大きな飛躍だ”」とアメリカにちなんだしゃれたメッセージを寄せた。
河野純喜は、「(デビュー日という)大切なこの瞬間をともに過ごせて幸せです。会いに来るまで5年もかかってしまってごめんね。また必ず戻ってきます!」と再会を約束。
鶴房汐恩は「ここは日本から離れているけれど、僕の心はみんなの近くにいます」と話し、JAMとの絆を再確認していた。
アンコールではステージエリアの横にあるボウリングレーンにサプライズで佐藤景瑚が登場し、ボウルを持ってスタンバイ。観客の注目を集めるなか、しっかり一発ストライクを決めたのを合図にアンコールの「RadioVision」がスタート。

JO1の公式Instagramでは、本番に向けボウリングを練習するもガターとなっていた様子が投稿されており、彼のここ一番での強さが光った瞬間でもあった。
初見の現地観客も魅了「マイケル・ジャクソンみたいだった」
3月3日の公演後に、今日初めてJO1を知り、初めてライブを観たという現地の方との素敵な出会いがあった。会場内で記念撮影をしていたとき「JO1のファンですか?」と話しかけられ「日本から来たファンです」とお伝えすると、朝から会場の前に行列ができているのが気になり、当日券を買って観に来たのだと教えてくれた。
自身ではオルガンを弾き、ブルックリン在住で音楽の先生をしているというその方は、もともと日本の音楽や文化が好きで興味を持っていたが、JO1の名前を聞くのは初めて、もちろん楽曲をまったく知らない状態でライブを観たとのこと。
ファンではない方がわざわざライブに足を運んでくれたという事実に私もつい興奮してしまい、「JO1のライブどうでしたか?」と感想を聞いてみると、力強く「Excellent!(素晴らしかった!) ダンスも歌も素晴らしくてマイケル・ジャクソンみたいだったね」という答えが返ってきた。
先入観やバイアスなしの状態でもJO1のパフォーマンス力や熱量が伝わるのだとうれしくなったと同時に、言葉や文化の違いを超えて同じ空間を分かち合える音楽の素晴らしさを感じた瞬間だった。

フロリダから参加したJAMへインタビュー「またアメリカに来てくれたらうれしい」
ニューヨークでは個人的に楽しみにしていた再会があった。2023年の『KCON LA』でインタビューをさせてもらったKaylaだ。
ワールドツアーのスケジュールが発表された当初は、仕事の都合で行けるかわからないと話していたものの、JO1の単独ライブはなんとしても観に行かなくては、とフライトで約3時間の距離にあるフロリダから参加することにしたという。
会場の前で彼女の姿を見つけた瞬間、「久しぶり! やっぱり来ることにして正解だったでしょ!!」とハグをしながら再会を喜んだ。

──念願のJO1の単独ライブを観て、どうでしたか?
Kayla 最高! 楽しくてあっという間だった! エネルギッシュだったし、なによりJO1がここに来られていることを楽しんでいる感じがよかった。観客の熱量との相乗効果で、盛り上がりがすごかった!
──ライブを観て、より好きになったJO1の楽曲や印象が変わった楽曲は?
Kayla 「Love & Hate」を初めて生で観て、振り付けが素晴らしかったし、瑠姫と純喜が絡み合うパートではつい「Oh!?!?」と声が出てしまったわ(笑)。「STAY」でメンバーが自撮り棒を持って撮影しながら歌っているのも、メンバー同士の和気あいあいとした雰囲気が出ていてよかった。あとやっぱり「RadioVision」は『KCON LA』を思い出す特別な曲ね。
──特に印象に残っているシーンは?
Kayla 一生懸命英語で手紙を書いて、読んでくれたのは本当に愛らしかった! ほかのグループのコンサートでは、通訳を挟んでMCを進めることが多くて、もちろんそれはそれでいいんだけど、自分たちでコミュニケーションを取ろうと挑戦していたのは素晴らしいと思った。
応援し始めて5年経って、やっと単独ライブを観られたのよ! しかも2日連続で観られるなんて夢みたい! 長かったけど、待ったかいがあるわ。今回のワールドツアーを機にJO1の名前がアメリカで認知されて、またアメリカに来てくれたらうれしいな。この2日間、本当に幸せだった!
5年後も見守っていたい、11人のステージ
「Stay 変わらずにいて/このままずっとずっと/さあ シャッターを切るよ/しまっておきたいから/輝く今を So stay」
(JO1「STAY」)
「STAY」の歌詞のとおり、この今という幸せな瞬間を大切に心に刻み込むように、客席に向かって何度も手を振っていたメンバーたち。曲中では河野や白岩瑠姫が中心となって自撮り棒を持ちながら、「幸せな一日にしましょう」と声をかけ、メンバー同士が肩を組んだりポーズを決めたりする様子を撮影しながら、自然体でステージを楽しんでいた。

ワールドツアーの公演を観て共通して感じたのは、JO1は心からライブを愛しているのだということ。LAのグラミー・ミュージアムで開催された『グローバル・スピン・ライブ』に出演した際にも、川尻が「コロナ禍のデビューで思うような活動ができなかったからこそ、ライブに対するハングリーさや、もっとこうしたいというクリエイティブなところは相当育ったんじゃないかな」と話していた。
今日この一回しかないライブを全力で楽しむメンバーの熱量は、確実にJO1というグループの武器になっている。その熱量を本番で爆発させるためには、地道なリハーサルの積み重ねや各個人のスキルアップがあってこそなのは言うまでもない。
デビューからの5年間でグループを取り巻く環境が大きく変わったように、次の5年間ではきっとさらに大きな変化が待っているかもしれない。そして、変わらずライブを愛し続ける11人のステージを今後も見られることを願いながら、今の彼らの姿を大切にしまっておくように私も心のシャッターを切った。
JO1のワールドツアーはこのあと北京とソウルでの公演が行われ、4月には念願の単独東京ドーム公演を控えている。JO1が“Go to the TOP”を目指して歩む未知の旅路には、この先どんな景色が待っているのか──。

JO1の表紙・巻頭特集「5年目のGo to the TOP 時代を変える11の夢」
2024年6月に発売された『Quick Japan』vol.172の表紙&第1特集では、グローバルボーイズグループ・JO1が登場。合計3万字以上のソロインタビューを含む40ページ以上にわたる総力特集を実施。
特集のテーマは「5年目のGo to the TOP 時代を変える11の夢」。2020年3月に「グローバルボーイズグループ」としてデビューし、コロナ禍の影響を真正面から受けながらも、激変するエンタテインメントの世界で目覚ましい活躍を見せているJO1。デビュー時から「Go to the TOP」を掲げてきた彼らは、活動5年目を迎えた今、どんな夢を抱き、どのように時代を変えようとしているのか。
メンバー11人が夢見る「TOP」に向けた現在地を明らかにするため、「あなたにとって“TOP”とは何か?」「現時点での“TOP”への到達度は?」「“TOP”に到達するために必要なことは?」という質問をぶつけ、合計3万字以上となるソロインタビューを実施。
『Quick Japan』の公式ECサイト「QJストア」では、通常の表紙とは別パターンの限定表紙を販売。QJストアでの売り上げの一部は「能登半島地震」の復興支援のために寄付する取り組みも行っている。


関連記事
-
-
「奪われたものは取り返すつもりで生きていく」FINLANDSが4年ぶりのアルバムで伝える、新たな怒りと恥じらい
FINLANDS『HAS』:PR -
牧場バイトからアイドルへ、かてぃが歩んだ多彩な仕事遍歴
求人ボックス:PR