ピン芸人・本日は晴天なりによる連載「バツイチアラフォーの幸せだけじゃない日常」。
2024年9月に第一子を出産し、韓国人の旦那と子育てに奮闘中の本日は晴天なり。実際に子育てする中で知った日本と韓国の違いや、日韓の文化を取り入れた子育てを紹介する。
旦那が経験した取り違え未遂
出産前から始めた韓国語の勉強は出産後、一切できずにいるが、旦那が毎日のように「天才(チョンジェ)」「天使(チョンサ)」「お姫様(コンジュ)」「眠い(チョルリダ)」と言いまくることにより、この4つは覚えた。
旦那は自分が産まれたとき、病室で父親が「3700グラムと聞いていたのに、なんか小さいし顔も似てない! うちの子じゃない!」と病院に文句を言ったら本当に間違えられていた、ということがあったらしい。その日生まれたのが旦那以外みんな女の子だったため、病院側も間違いに気づけたそうだ。平成生まれの旦那が取り違え未遂にあっていただなんて、背筋が凍る話だ。
日本の多くの病院では出産したらその場で、子供の足に母親の名前を書くことで取り違えを防いでいる。人の顔を覚えるのが苦手な私は、産まれて4日目くらいまで、遠目で見たせいかもしれないが新生児室に並んでる赤ちゃんの見分けがつかなかった。足首にリストバンドもはめてあったが、我が子は出生時のむくみが解消されたことで2回も外れてしまった。
義父はすぐに似ていないと判断できる目の持ち主だったからよかったが、私のように顔が覚えられない人間もいるので絶対に足に名前を書いたほうがいいと思った。
清潔さをどこまで極めるか
自宅で初授乳を終えたら、娘の口の中に糸くずが入っていて、慌てて取り除いた。いったいどこから?私のおっぱいについていたのだろうか?気をつけなければ、と反省。
退院する前、「家の掃除をめっちゃしてくれ! 少しでも汚れてたらそのまま実家へ帰るから!」と旦那を脅し、入念に掃除をしてもらったけれど、産後は抜け毛がハンパなく、私の抜け毛が娘の手足によく絡まっている。そのたびに私は自己嫌悪に陥ってしまい、もっと清潔にしなければとよけいに神経質になり、旦那のことも責めた。
しかし旦那は、「自分は幼少のころ、父親が靴の工場を営んでいた時期があり、うんちから糸くずが大量に出てきたことがあるから大丈夫!」と言っていた。大丈夫!じゃないよ!とも思ったが、神経質になりすぎても髪が抜けるのを防ぐことはできないし、娘をすべてのほこりや細菌から守りきることなんてできないんだ、と心が少し楽になった。
「ポンポンナム」とは?
出かけるとき、うちでは必ず旦那が抱っこをするのだが、男性が抱っこ紐で子供を抱く姿は韓国ではほとんど見られない光景だと言っていた。

日本では母親ばかりに抱っこさせているほうが「男も子育てしろ!」と非難されるが、韓国ではむしろ、父親が赤ちゃんを抱っこしていると、「ポンポンナム(ポンポン男)」と呼ばれ、バカにされるらしい。ポンポン男の“ポンポン”とは、韓国でメジャーな食器洗剤の名前から来ている。「奥さんの尻に敷かれて、ゴム手袋をつけて食器洗ってるような男」という意味の皮肉だという。
旦那は日本に来て10年以上経つので、この話について「それいつの情報?最近のことなら遅れてない?」と尋ねた。日本のように、男性も育児を積極的にやろうみたいな流れから、仕事も家事も育児も男が全部やるべきだ!みたいな行きすぎた風潮になり、今では日本なら、お父さんが抱っこしてくれていいね〜となるところを、気の強い奥さんと結婚して尻に敷かれてる人なのね〜となってしまったそうだ。平等を突き詰めた結果、男性が同情されることになってしまったらしい。
義妹の来日で…
韓国から義妹が娘に会いにやってきた。義妹は明るくコミュ力が高く、旦那とは正反対の性格。とてもいい人なのだが日本に遊びに来るにあたり、懸念されることがあった。
義妹は私が妊娠中にも、一度日本に遊びに来ている。そのとき、妊婦の私を置いて兄妹で朝方まで毎日飲み歩いていた。義妹が「ひとりで飲みに行く」と言っても、旦那は「せっかく海外まで来てくれたのにひとりにするのは申し訳ないから……」と言ってついていき、朝方まで帰ってこなかった。本当はただ旦那が飲みたいだけなのだ。
今回は娘もいるし、一緒に飲み歩いたりはできないからね!と旦那に念を押していた。しかし、義妹がひとりで飲みに行くと言うと、「一緒に行ってきていい?」と聞いてきた。誘われてもないのに自らついていこうとしている。
日本語が堪能な義妹の目の前で「行っていい?」と聞かれたら、「ダメ」とは言いづらい。そこで、「行ってきていいよ! 私は娘と遊びに行ってくる!」と言うと、「やっぱりみんなで家で過ごそう」と言ってきた。旦那は自分が出かけている間、私と娘には家にいてほしいという理不尽な願望があるのだ。
結局、義妹はひとりで飲みに行き、旦那も謝ってきたので仲直りはしたが、翌日また同じことをした。うちの旦那の直してほしいところは、謝るし反省もできるのに、すぐに同じことを繰り返すところだ。
韓国にいる両親への孫通信
韓国ではメジャーなトークアプリ『カカオトーク』に旦那と私、義妹とお義母さんのグループを作り、そこに娘の写真を送るようにしている。旦那はズボラなので絶対両親に孫の写真を送ったりしないので、もし産まれたら私が写真を送ろうと決めていた。韓国に住んでいて簡単には会えないぶん、せめて“孫通信”だけはやってあげたかった。
お義母さんはスマホの操作が苦手なので、基本返信が来ることはなく、旦那との連絡もいつも電話。ちなみに旦那は月に2、3度は母親に電話をしている。芸人仲間に話を聞いた際、10年以上実家に帰ってないし連絡もしてない、なんて言っていた人もいたので、男性の中ではかなりマメに連絡しているほうだと思う。自分が母親になってみるとそれがありがたい行動だとわかる。
最初の1カ月は、娘の写真を送っても、既読はつくが一切反応なし。それでもきっと見てくれていると信じて送り続けた。2カ月目になると、スタンプが送られてくるように。送り方を覚えたのだろうか?
そして2カ月目の終わり、ついに文章で返信が来た。打ち間違えもあったが、「愛する私の息子ありがとう。そして孫娘、会いたい」と書いてあった。私はうれしくてすぐに、「カムサハムニダ」と返信した。

行事ごとは日韓の文化をいいとこどり
うちではお宮参り、100日記念、お食い初めなど、子供のイベントは日韓どちらもやるのは大変なので、交互にやることに決めた。
100日記念は、韓国風のおうちスタジオにチャレンジ。ネットで見つけた写真を頼りにSHEINで背景用の布を買ったり、八百屋さんでフルーツを買ったり、それっぽいアイテムをそろえていく。しかし、新大久保で探しても「百」と書いてある正方形のお餅が見つからず、コピー用紙で制作。
義妹は撮影で着られるようにと、赤ちゃんサイズのチマチョゴリをプレゼントしてくれた。
お義母さんからは、娘のために金のブレスレットと指輪と200万ウォン(約20万円)をいただいた。韓国では100日記念に金のアクセサリーを贈るのが一般的らしい。
近所の質屋で査定してもらおうかなんて考えもしたが、本物かどうか確かるのはやめようという話になった。日本のテレビ番組が大好きな旦那がベスト5に入るほど好きなのが『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)なので、娘が大きくなったらそこで鑑定してもらおう。
撮影は娘がお利口だったおかげでなんとかなったが、旦那はカメラが趣味のはずなのにピンボケが多かった。これもおうちスタジオの醍醐味かもしれない、と思うことにした。

ハーフバースデーは韓国にない文化だけどやらなきゃね!とか、1歳になったら、韓国の伝統的なお祝い・トルジャンチと日本の伝統・一升餅どちらもやりたいなあ!とか。結局、全部私が我が子のいろんな姿を見るためにやりたいだけなんだと思う。
子育ては楽なことばかりではないが、今のところ圧倒的に楽しいが勝っている。どちらかの国の文化に偏らず、日韓のいいとこどりで柔軟に物事を考え、子育てを楽しんでいきたい。
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