復活ラッシュ、若手のハンパない覚悟、外国人ファン急増「もうすぐヴィジュアル系ブームが来る理由」バンギャが独断で解説
「90年代ヴィジュアル系こそ至高。2000年代以降のキラキラしたバンドはよくわからないし、若いバンギャってなんか怖い……」と思ってる古(いにしえ)のバンギャ&ギャ男のみんな、元気〜!?
そんな古の者たちの心配など気にする余裕もなく、シャカリキに働いて夜バスでツアー全通してる若年層バンギャ&ギャ男のみんな、元気〜!?
そんな古と若年層の間に挟まれながら、病めるときも健やかなるときも2000年代の中堅バンドを静かに支えてきた中間管理職バンギャ&ギャ男のみんな、元気〜!?
私は「地球上で最高の音楽ジャンルはヴィジュアル系」と確信している、別にV系博士でもなんでもない名もなきバンギャです。ヴィジュアル系(以下、V系)界隈を細々と自主的に25年くらい見守っています。
ここからお伝えする話はバンギャ&ギャ男のみなさんにとって「んな初歩的な話されても(笑)」って内容であったり、「それってあなたの感想ですよね?」って内容であったりするでしょう。そのとおりなので先に謝罪しておきます。私みたいなもんが偉そうにV系の記事なんか書いて、ホンマすみません。
本記事は「今、V系シーンにビッグウェーブが来ている」という私の主観に基づく事実を、V系と無縁の人生を歩んできたクイック・ジャパン読者に伝えることを目的としています。この波に乗れなきゃ、またV系は衰退してしまうかもしれない。それだけは絶対に避けたい……! そんな思いでやってますので、バンギャ&ギャ男のみなさんにはひとつ、温かい目で見守っていただきたい所存なのです。
ってことで「え? V系って今、流行ってんの?」と思っちゃったQJ読者のみんな、元気!? とりあえずタダだからこの記事読んでって!!
目次
まずは予備知識を少々
と、その前に。V系と無縁のQJ読者に向けて、V系の成り立ちを駆け足で説明させていただきましょう。何度もいうように私はただのバンギャ。あくまで主観でものをいっていることをご理解のうえ、ノークレームでお願いできれば幸いです。
実は「ヴィジュアル系」というワードの歴史は意外と浅く、1990年代の中〜後半ごろに生まれたものです。具体的な定義は無いハズですが“派手なメイクとファッションをして、絶望的な歌詞や激しいサウンドを(たまに頭を振りながら)演奏するバンド”を「V系バンド」と呼ぶ場合が多く、現在ではそのファンをバンギャ(バンドギャルの略)と呼称する場合が多いです(例外もあります)。
90年代にそのテのバンドが多数出現した理由は、様々な要因が組み合わさってのことです。ただ X(X JAPAN)の台頭が一因であることは間違いなく、Xの弟分(LUNA SEA、GLAYなど)、そのまた弟分くらいのバンド(俗に言うV系四天王とか)が一人前になったころ、突如起きたのが『90年代のV系ブーム』なのでした。
よって90年代にV系として活躍したバンドは例外なく“V系のつもりでバンドを始めたワケじゃないのに、気づいたらV系と呼ばれていた”ことになり、当時「V系呼ばわりされたくない」と公言したり、明らかにそう呼ばれたくなさそうな顔をしていたバンドが一定数いたのはそのためです。
「ヴィジュアル系」というワードはhideさん(X)の作ったキャッチコピー「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」を語源とする説が濃厚なのですが、そのへんの事情を知らない大衆は、多くが「見た目のバンド」といった意味に捉えました。もちろん見た目の美しさや奇抜さはV系バンドを構成するひとつの要素ではあります。
が、当然ながらその本分は音楽であり、「見た目のバンド」と呼ばれて気分がいいミュージシャンがそれほど多いとは考えづらいですよね。そのあたりは同情を禁じ得ない部分もあります。
しかし「ヴィジュアル系」という言葉が誕生したおかげで90年代のブームが起き、V系が広く世間に認知されたという側面もあるので非常に難しいところです。そのへんは当時、バンギャにとってもデリケートな問題で、私自身、極力”その言葉”を使わないようにしていたような……ハリーポッターみたいですね。
ただ時は流れ、当時V系と呼ばれて嫌そうにしていた(ように見えた)バンドマンたちも大人になられました。今じゃ「V系と呼ばれたくない」なんて言い出す人はほとんどいないと思うので、安心して大丈夫です。
理由① 若手の覚悟がハンパない
で、ここからが重要なポイント。望まずしてV系呼ばわりされていた90年代のV系バンドと対照的に、現在の若手V系バンドマン(10〜30代)は、物心ついた段階ですでに「V系」というジャンルがこの世に存在していました。
と、いうことは?
つまり今の若手〜中堅バンドマンは、みな“V系になりたくてV系になった人たち”なのです。「同じV系やないか」とお思いの方もおられるかもしれませんが、全っっっ然違います。この違いはあまりにもデカい……と、個人的には思う次第です。
2000年代に入るとブームに陰りが見え始め、徐々に「V系はオワコン」みたいな空気が世間に漂い始めました。もちろん東京ドームでライブをするくらい人気を博す若手(the GazettE、SID等)もいましたが、ごくごく少数の大成功例であり、界隈全体でみると「V系で食ってける可能性は相当低い」と言わざるを得ない状況が、ブーム終了以降続いていると感じます。
では、そんな食ってける可能性超低時代においてなぜ、あえてV系の道を選ぶ若者たちがいるのでしょう? 普通にアイドルとか役者になれそうな顔面を所有しているのに。少なくとも、もっと売れ線のバンドを組むことは全然できたハズなのに。一体なぜ?
その理由は……あくまで私の予想ではありますが、ひとえに「V系というジャンルに対する愛」に他ならないのではないでしょうか? ウッ…………ちょ、すみません(そっとハンカチで涙をぬぐう)。
ってな感じで、もうすぐV系ブームが来そうな理由その①は「若手バンドマンのV系に対する情熱と覚悟がハンパないから」。これはかつてのブーム時にはありえなかった状況であり、新時代の扉が開く予感しかないと言えるでしょう。
理由② 他界隈からの流入、出戻り、外国人ファン急増中
理由②は単純に、新規でV系にハマる人が目に見えて増えていること。近年、V系の現場(ライブ)では外国人の客をよく見かけます。ガッチガチの在住ギャもいれば、観光のついでに来たのかな? みたいな人も。観光ついでにV系のライブに来るって、冷静に考えてスゴくないですか? V系が「日本固有の文化」の域に昇華していることは間違いありません。
あとはK-POP、アイドル、果てはホストクラブなどの他界隈から流れてくるバンギャも実際に見かけます。彼女たちに何があって流れてきたのか、詳細は不明(調査不足ですみません)。でも、他界隈を超える魅力がV系にあるということの証明にほかならないですよね。
ライブハウス規模であれば、最近のV系はチェキは売るわ、撮影会はするわ、YouTubeはやるわのなんでもアリ状態。「とにかく売れたい!」という気概を感じるバンドが多く、個人的に非常に好感が持てます。 “推しがい” 的なものはバッチリ得られると存じますよ。マジで。
理由③ 再結成&再現ライブブーム到来中
理由③は90年代のV系ブームを知るお姉さん&お兄さんに刺さりそうな情報。ここのところV系界隈は空前の復活(再結成)ラッシュに沸いています。その勢いたるや、そのうち復活していないバンドのほうが少なくなりそうな空気感。
と同時に「再現ライブ」も流行っています。簡単に言うと「◯◯年前の自分たちをコンセプトとしたライブ」を行うこと。昔の楽曲を中心としたセットリストが組まれ、衣装やパフォーマンスも当時に寄せてくれるパターンが多いです。
ここ最近の代表的な例はGLAYが6月9日「25年前の伝説の20万人ライブの再現ライブ」を行ったこと、LUNA SEAが現在、半年ががりの大規模な再現ツアーの真っ最中であることなどが挙げられます。
「懐古やん」という声も聞こえてきそうですが、私に言わせりゃ「懐古の何がダメなん?」です。バンドは絶えず進化しなければならないという説は一理あります。しかしながら、これは演者と観客がともにさまざまな人生の苦境を乗り越え、心から懐古を楽しめるレベルにまで成長した結果なのです。ただただ最高でしかない。
「セトリの予想が簡単」「聴きたかった曲が確実に聴ける」などのメリットがある再現ライブは、新規ファンや初心者にとって逆に敷居が低いため、古参・新規ともにハッピーラッキーなムーブメントといえるでしょう。
ちなみに個人的な話で恐縮なのですが、これを書いている今日(6月10日)はLaputa(2004年に活動停止)の復活ライブのチケット当落発表日でした。結果は……落選。辛すぎてパニックを起こしかけていることは置いておいて、20年も活動がなかったバンドが1000人キャパのライブハウスを即完させたという事実は、根強いファンの存在を誇示するものに他なりません。誰かチケット譲ってくれぇ〜!!!!
理由④ Hydeさんががんばってくれている
だんだん自分で書いててなにを言っているかわからなくなってきたので、理由④は友人バンギャに意見を求めてみました。友人いわく「Hydeさんが第一線で活躍しつつ後輩バンドと絡んだりしてくれているのを見ると、界隈の未来が明るく照らされているように感じる」とのこと。
友人「Hydeさんにはバンギャじゃないファンもいるので、HydeさんきっかけでV系に興味を持つ人が少なからずいる気がする。2022年の『V系って知ってる?』はただでさえメンツが豪華すぎてビックリしたが、最後にHydeさんの参加が決まった時は『V系の波が来ている!』という思いを強く感じた」
(※ 『V系って知ってる?』……2022年12月27日に武道館で開催されたイベント。幅広い年代のV系バンドマンが集結し、大御所バンドの名曲をカバーするなど、大きな話題を呼んだ)
ここでいう「Hydeさん」は類似例として「YOSHIKIさん」「SUGIZOさん」「清春さん」などが挙げられます。これ以上がんばる必要がないほどがんばりきったはずの大御所たちですが、近年のさらなる頑張りと供給(活動量)の多さは誰もが目を見張るところです。
大御所たちがこれだけ頑張っている以上、自分も頑張るしかない……というムードがV系界全体に微分子レベルで漂っていることは確かでしょう。
理由⑤ 私が証拠
もはやなんの話をしているか読者も忘れている頃合いなので、確認のためお伝えしておくと本記事のタイトルは『「もうすぐヴィジュアル系ブームが来そうな理由」をバンギャが超独断で語る』です。
その理由⑤はズバリ「私自身にV系ブームが来ている」から。
冒頭でお伝えしたとおり、私は25年くらいバンギャをやっています。やってはいるのですが……実はハタチを境に新規のバンドに全くハマらなくなってしまい、そこからの十数年は、主に90年代の生き残りバンドならびにバンドマンを追っかけて過ごしていました。
ひとり、またひとりと消息不明になるバンドマンたちに思いを馳せながら、自分のバンギャ人生は90年代の思い出とともにゆっくりと、静かに終幕を迎えるのだろう……と思っていました。
が、しかし!!!!
そんな枯山水みたいな(?)状況にあった私は現在、どういうワケかメンバー全員自分より年下の若手バンドにハマっています。主観が強すぎて死にそうなところをあえて文字化するならば、自分のバンギャ人生にこのような展開が起きたことこそ「いまV系が来ている」なによりの証明だ、と思うワケなのです。
もちろん90年代産のバンドに対する愛も変わっておらず、また新規のバンギャ友達が増えたことでこれまでノーマークだった2000年代産の中堅バンドにも興味がわき今さらライブに通い出すなど、私は最近増加傾向にあるといわれる “ハイブリッド系バンギャ” の道を着実に歩んでいます。
ライブの予定が詰まりすぎて経済的にひっ迫している点を除けば、私のバンギャ人生のピークはまさに今。この興奮をQJ読者とシェアしたい気持ちが止まりません!
……以上、まだブームと呼べるほどのものは来ていないけど、いまV系界にかなり勢いがある。なんなら、すでに波が来ている……というお話でした。ソースは私。まぁ結局のところ根っからのバンギャなので、多少のひいき目は勘弁してくださいね。おわり。