続いていくそれぞれの人生に添えた“希望”
本編が結ばれたあとも、会場からのアンコールは鳴り止まない。テンポが速くなるでも途切れるでもなく、等間隔の声と手拍子は健気にCUBERSが舞い戻ってくるのを待っていた。その期待に応えた5人は、ポップなアップチューンの「CHOICE」とともに客席から登場。2度目の撮影OKタイムとのこともあり、先ほどまでのしんみりモードから一変して、会場がニコニコの笑顔であふれた。
思い出話を語るMCパートを挟み、研修時代に数少ないオリジナル曲として披露していた「Baby Fever」、デビューシングルの表題曲であった「SHY」とCUBERSの始まりを彩った楽曲をパフォーマンス。あまりにもエモーショナルな選曲に、客席からはイントロが流れるたびに歓声が上がった。
アンコール最後の曲を前に、メンバーから正直な今の想いが届けられる。「楽しいことしかなかったは嘘……」と本音を漏らす9太郎、「絶対に言いたいことがふたつあります」と口火を切りメンバーとファンへの感謝を語る優、「素直なことをいうと悔しいって気持ちが大きいです」と吐露する春斗、リハーサル中に泣きそうになったと明かす綾介、涙をこらえきれず言葉を絞り出すTAKA。個性豊かな5人が、それぞれの向き合い方でCUBERSを大切に想っていたことが痛いほど伝わってくる。涙声で紡がれる「Add Love Song」は、優しく穏やかに幕引きを飾ったのだった。
ここで全編が終了したかと思いきや、なんとWアンコールへ突入。晴れやかな表情で現れると、TAKAは「最後に、みなさんにひとつお伝えしたいことがあります」と宣言。そして、その言葉に続いたのが冒頭の再結成の誓いである。
想像していなかった成り行きに、自然と会場からは歓喜の声が漏れ出る。「でも、それは1年後かもしれないし、5年後、10年後かもしれない。2日間やるかもしれないし、たった1日かもしれない」とTAKAは続けていたが、それでもこの約束がファンにとってどれだけ心強かったことか。
CUBERSはここですべてが終わってしまうのではない、再結成する未来へのカウントダウンが始まったにすぎないのだ。「また会おう」といういつかへの約束を込め、ラストソングに選ばれたのは「Samenaide」。「また踊ろうよ 次はここで」というフレーズに願いを込め、最後のシーンを鮮やかに彩り、続いていくそれぞれの人生に希望を添えたのだった。
いつか再び逢える日まで
『CUBERSメモリアルブック 〜ポップデジタルタトゥー〜』のグループインタビューで、CUBERSとしての夢の実現度が話題に挙がったとき、9太郎は次のように語っていた。
「10%くらいなのかなって思うんです。でも、これが少ないとは別に思ってないんですよ。1%にも行けない人たちがたくさんいる芸能界の中で、10%まで行けたのは応援してくれる人や関係者のみなさんのおかげだし、いろいろな奇跡が重なったから。味の素スタジアムを目指していたグループとしては、もっといろんな景色もあったんだろうなとは思うと……少ないとは全然思わないけど10%って感じです」
少ないとは全然思わないけど10%。『CUBERS LAST LIVE - Final scene and Life goes on -』で広がっていた光景は、その言葉のすべてを物語っていたかのように思う。味の素スタジアムでライブをするという夢は叶わなかったが、たくさんの人に愛され、あんなにも多幸感に満ちた終止符を打てたのは、間違いなくCUBERSだったから。TAKA、優、春斗、綾介、末吉9太郎の5人だったから。
実現度としては、夢に遠く及ばなかったかもしれない。しかし、そこへ向かう過程で得た10%は、濃密で揺るぎないものだったに違いないのだ。再結成へのカウントダウンは、まだ始まったばかり。この先の未来で、再びCUBERSと逢える日を楽しみに待ちたい。
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