“推し活”は呪いにもなり得る。執着しすぎないための注意ポイントとコスパ抜群の“芸人推し”のススメ

本日は晴天なり

ピン芸人・本日は晴天なりによる連載「バツイチアラフォーの幸せだけじゃない日常」

自分が好きなアイドルやキャラクターなどを応援することを意味する「推し活」。今や、多くの人がさまざまなかたちで推し活を楽しんでいるが、筆者は「推しのために人生を捧げ始めたら要注意」だという。推しにハマりすぎず、適度に楽しむためのポイントとは。

さらに、ピン芸人である筆者が“芸人推し”の魅力を紹介する。

「推しは推せるうちに推せ」でいいのか

私自身、「推し活」は基本的に「呪い」だと思って生きてきた。好きでいることをやめられない呪い。結果的には、その呪いが私を突き動かし、喜怒哀楽を与え、推しに恥じぬよう正しく生きようとし、人生を豊かにしてくれているのだが、推しのために人生を捧げ始めたら要注意だと思う。

私は「推しは推せるうちに推せ」という言葉があまり好きではない。その真意を考えると、果たして本当にそれでいいのか?と感じてしまうからだ。

これは推す側(ファン)が推し活で後悔しないよう、使う言葉だ。しかし、推される側である地下アイドルの子がこの言葉をポストしてるのをよく見る。推される側が言うと、チープな誘い文句に聞こえてしまう。ファンを鼓舞してライブに誘い、グッズやCDを積むよう仕向けているようにしか思えない。さらに、いつか辞めようとしてるじゃん!と、思わざるを得ないからだ。

それに、アイドルにはいつまでも覚めない夢を見させていてほしい。つまり、私はいつか終わりが来るような言い方が好きじゃない。一生推す、くらいの気持ちでいさせてもらえるほうが、オタクとして気持ちがいいのだ。

けれど、本当はわかってる。実際はいつか終わりが来ることを胸に刻んでいなければならないと。昨今は特に、昨日までいた推しが突然いなくなった……なんて経験をした人も増えているから。

推し活を適度に楽しむために

突然、推し活の終わりが訪れても後悔しないためには、「推しは推せるうちに推せ」を体現するのではなく、「“推しの呪い”にかかりすぎていないこと」が重要だと私は考えている。

呪いのひとつとしてわかりやすいのが、グッズの大量購入。気に入ったものは、使う用、保存用、何かあった時用、布教用……と、いくつも買ってしまう。私も同じストラップを一生つけ替えて使っていく覚悟で8個買ったり、1回のライブで当時の家賃より高い金額を使ったこともあった。しかし、その多くは押し入れに保管するだけのグッズに成り果てている。

我が家の“押し入れ”は“推し入れ”なのか?とさえ思う。

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筆者がこれまで購入したグッズの一部

旦那と同棲する際、荷物の多さに驚かれたが、ほとんどがグッズだった。なので、最近はお金を使いすぎないようにというよりは、置き場所に限りがあるので、欲望を抑えている。眠っているグッズたちのことを思い返すと、新たなグッズを買わないで済むのだ。

しかし、爆買いしてしまうのは、グッズだけではない。CDも握手会などの抽選に応募券がついてくるため、大量購入が必要となる。

正直、SDGsが進むこの世の中で、CDを大量に買うのはどうなのか?と思う。大量に買って、大量に捨てるというのは韓国のアイドル界でも社会問題になっているらしい。

「推しと握手がしたい!」という気持ち以外にも、大量購入をする理由はある。それは、推しに「1位」の称号をプレゼントしたいという気持ちだ。

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筆者が実際に購入した100枚超えのCD

しかし、最近はCDの売り上げ以外にもストリーミング再生(スミン)やYouTubeの再生回数など、あらゆる場面で数字が生み出せる。だからCDを積まなくても、推しに数字をプレゼントできるのだ。金銭的にも、環境的にも救い出してくれるのが、スミンというわけだ。

それにしても、人はとにかく数字が好きだ。たしかに、数字はこれだけすごいんですよ!という指標としてわかりやすい。メディアで紹介される際も、「かっこよくて、おもしろくて、仲よしで……」などと言われるより、「CD売り上げ1位のグループです!」「YouTube総再生回数1億回突破の~」「何千人の中から選ばれた○人組!」など、数字を用いたほうが、圧倒的にわかりやすい。

だから、オタクはがんばる。そして、一度「1位」をプレゼントできたら、次は「何作品連続!」「史上初の〇〇!」など、さらに大きな称号をプレゼントすべく、がんばり続けるのだ。

推される側もド直球に「1位になりたいから、みんなとにかくアホみたいに聴きまくって!」とは言えないので、「ファンのみんなで同時に聴こう!」などと理由をつけて、リスニングパーティーなどを積極的に開催し、スミンの強化に勤しむ。

すると、「努力の結果が報われた! 私のおかげ!」などと言い出すオタクがたまに現れる。そこはただ好きで聴いてる“フリ”をしてほしいし、本音は心の中でとどめるべきだと私は思う。「YouTube再生回数◯万回突破! 毎日ほんとにがんばりました! 私の努力が報われた!」などと推し活を「努力」と言い始めたら、それは推し活が呪いに変わり始めてるサインだ。推しの夢はオタクの夢、そして生きがいだ。そうやって一緒にがんばってる感じが楽しいという気持ちも大いにわかるが。

呪いが進行しすぎると、ちょっとしたことで運営に暴言並みの文句を言ったり、推しに対して過保護になって、ほかのグループを下げる発言をしたりするようになる。「オタク様は神様だ」と言わんばかりに、お金を使えば使うほど、大スポンサーのような気分になり、時間を費やせば費やすほど、距離感がわからなくなってしまう。そうなると、オタク友達とも価値観の違いが生じ、お互いモヤモヤしてしまう。最近はオタク同士がSNSで気軽につながれるので、こういった人間関係のトラブルが頻発している。

のめり込みやすい性格だと自覚している場合は、「テキトーでいること」を意識してほしい。私もそうすることで、推しに対しての執着を軽減させるようにしている。

芸人推しのススメ

近年は芸人もアイドルのように推されている。私の立場からいうと、「芸人の推し活」は、かなりおすすめだ。

第一に芸人の推し活はかなりコスパよくできる。まず、ライブがアホみたいに安い。お笑いライブの相場は1000~2000円ほどで、高くても4000円程度だろう。地域のお祭りや商業施設のイベントなどに営業で来ている場合はタダで観られることもある。

コスパがよすぎてアイドル界隈からやってきた人は、金を落とさせてくれ!どうしたら推しに課金できるんだ!?と、逆にもがき苦しむくらいだ。最近やっと、若手芸人でもグッズなど気軽に作れるようになったので、その欲はかなり満たされていると思う。

そして、会える頻度が多い。芸人によってかなり差があるが、私の肌感的には平均して月に5~10回、賞レース前になれば、もっと多くライブに出演するので、会えるチャンスがとにかく多い。私の推しはフェスなども含め、年に3~5回ほど会えたらいいほうで、チケット抽選が外れれば、年に1回しか会えないこともある。

しかもライブによっては出待ちができるし、SNSでもわりと簡単に返答がもらえる。大手アイドルならCDを何十枚と積んで抽選し、ようやく当選しても話せるのは10秒ほど。だが芸人は、ライブ代の1000円で5分~30分、ルールと相手の対応次第では1時間だって話せちゃう。私なんて、早々に帰ろうとするお客さんをこっちから呼び止めて話すくらいだ。しかも、チケット予約の連絡をSNSで直接することだってある。

芸人を始めて間もないころ、私の元相方が日本テレビの駐車場でナインティナインの岡村(隆史)さんの出待ちをしていた。私は一応、「やめなよ~」とは言っていたが、話を聞くと、岡村さんは毎回、車の窓を開けて手紙を受け取り、しかもテレビでその話までしてくれていたという。アイドルのファンがこんなことしていたら、ほかのファンにボコボコにされてもおかしくない。

芸人の推し活では、青田買いもおすすめだ。芸人は誰しもが小さなライブ会場からだんだんのし上がっていくため、出待ちし放題、ライブ行き放題、SNSでやりとりし放題だった推しが、急にテレビで引っ張りだこのスーパースターになることがある。

これは20年近く芸人をやっていて、この前まで一緒に飲んでいた仲間がある日、急にテレビでしか観なくなった経験を何度もしている私が言うのだから間違いない。どんなスターも芸人初日は無名であり、地下芸人から確実にスターは生まれているのだ。

また正直、推しである芸人と付き合える率……それはアイドルの比にならない。特に若手芸人は地位もお金も定職もないので、モテるわけがない。そこに自分のことを「好きだ」と言って熱心に推してくれる子が現れたら、好きになる可能性はかなり高い。実際、ファンと結婚した芸人も多い。

しかし、変に期待してグイグイ行きすぎないように注意はしてほしい。出待ちし放題のセキュリティガバガバ状態だからこそ、芸人の安全はファンのマナーに委ねられている。間違っても、出待ちで強引に居酒屋に誘ってきたり、急に口説くのだけはやめてほしい。

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本日は晴天なり

太田プロダクション所属のピン芸人。キャバクラバイト歴10年、身長173センチの長身女子。推し事が中心の日常も、YouTube『本日は晴天ちゃんねる』にて垂れ流し中。

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