中居正広と香取慎吾が共演。松本人志「SMAPは驚異だった」(まつもtoなかい)

イラスト=おさく

文=てれびのスキマ 編集=菅原史稀


テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『まつもtoなかい』(4月30日放送)

初回ゲストはまさかの香取慎吾。松本も「俺、この世界入って初めてじゃませんとこ」と思ったというほど。けれどそもそも、松本の存在がなければ実現しなかっただろうし、トークも松本というクッションが入っていることでふたりは話しやすかったに違いない。「うれしいのとちょっと恥ずかしい」という中居。登場してもしばらく声を発しない香取。それぞれの空気の作り方にシビれる。そんな香取の第一声は「中居さん、お久しぶりです」。

「連絡は取っていたのか?」という問いに、どこまで本当のことを言っていいのかをお互い探り合っている感じが伝わってくる。「テンポが取調室」と松本が笑うその間をあえて残す編集によって、行間を読むように彼らの歴史や関係性を思わずにはいられない。

そして意を決した中居が、自身が体調を崩したときに香取から連絡があったことを告白。その日を境に毎日、2カ月間、必ず19時台に連絡が来ていたという驚きの事実が明かされる。その1発目が「会いたいんですけども会いに行けますか?」だったという。会える状態でも電話でしゃべれる状態でもなく、病気と戦っている最中で香取としゃべると気持ちがあふれて切れちゃうんじゃないかと思ったという言葉で、いかにギリギリの状態だったのかがうかがえるし、ふたりの絆の深さも感じる。

香取は「(中居はあまのじゃくだから)きっと今の状況だといろんな人から『大丈夫?』って言われても、ホント心配かけないようにするから結果、独りになってるんだろうなと。しつこくてもちょっとでも会話ができたらなと思って。最初に『死にますか?』って。そのくらいの言葉をかけないと返してくれない人なんですよ」と語る。

詳しい病状を話したのも松本と香取だけ、正月明け、香取のアトリエでふたりきりで会った、香取のライブを中居が観に行ったなど、とても胸がいっぱいになり脳が追いついていけないような情報が次々と飛び出し、観終わったあとはドッと疲れた。こんなタイプの疲労感はなかなかない。

松本の口から「俺なんかはSMAPは脅威だったからね。うわって思ったし。俺はお笑いだからお笑いの人たちと戦って勝っていかないといけないと思ってたからね。そんなときにSMAPっていうのが出てきたときにエンターテイナーの本物来たなって。この子ら、笑いもやんねやと思ったら、敵はお笑い芸人じゃもうないぜってホントに焦ったよね」という言葉が出たのもひとつの“事件”と言っても過言ではない、ものすごいこと。

そして、歌を披露するため観客の入ったスタジオに。中居の登場に何も知らなかった観客は騒然。その多くが泣いている。それが、すべてを物語っていた。歌を披露し終えた香取は「待ってる人も多いと思いますよ。あの中居くんの歌を」と茶目っ気たっぷりに中居に言う。思えば最初はお互い「さん」づけだったが、いつの間にかいつもの「慎吾」「中居くん」呼びに変わっている。香取「ほかではあの耳の違和感は味わえないんですよ(笑)」。そう、“ほか”ではこの幸福感は味わえない。

『ゴッドタン』(4月29日放送)

「激ヤバMC克服プログラム」と題して、東京ホテイソンとザ・マミィが圧が強いMCへの対処法を学ぶ新企画。

なのだが、架空大御所俳優・大田原源蔵が「大田原は神戸だろ!」と言うときに、思わず吹き出してしまったことを契機に、劇団ひとりを筆頭にして、大田原で遊ぶ流れに大きく舵を切っていく。慣れないことに四苦八苦しながらも対応していく大田原がやたらおもしろかった。

調べてみると、劇団JACROWに所属している谷仲恵輔という方が演じているとのこと。本当に『ゴッドタン』は演劇界から逸材を探し出してくる。『ゴッドタン』らしい脱線が爆発を生んだ回だった。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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