森本慎太郎と高橋海人が見事に演じた『だが、情熱はある』。春日役の戸塚純貴も絶品

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『だが、情熱はある』(4月9日放送)

若林正恭と山里亮太の半生をドラマ化。ライブ『明日のたりないふたり』の場面からスタート。

山里役の森本慎太郎は、以前同じチームが作った『泳げ!ニシキゴイ』で長谷川雅紀を見事に演じた上、風貌も予告の段階で似せていたので心配はなかった。

若林とはかなりイメージの違う高橋海人はどうかなあと思ったら、ちょっとねちっこい感じの口調を完璧に再現していて見事だった。おかげで「全然違う!」とか思わずに、ドラマとしてちゃんと没入できる。

安島P(ドラマでは島)の性別を変え、薬師丸ひろ子をキャスティングしたのも河野P、さすがの采配。

ナレーションはふたりと関係の深い水卜アナ。かなり負担多めだけど、抑えたトーンがドラマの雰囲気に合っていた。

「これはふたりの物語。惨めでも無様でも逃げ出したくても泣きたくても青春をサバイブし、漫才師として成功を勝ち取っていくふたりの物語。しかし、断っておくが友情物語ではないし、サクセスストーリーではない。そして、ほとんどの人においてまったく参考にはならない。だが、情熱はある」というカッコいいスタート。

ドラマでは2009年のふたりの出会いから、子供時代、学生時代に遡り、「山ちゃんって時々おもしろい」と言われた話や、前の席の春日の髪の毛を少しずつ切る若林といった、ふたりのファンにはおなじみのエピソードが巧みに構成されている。

そんな中で、春日役の戸塚純貴が特に光った。キャスティングが発表された時点でここは間違いないと思ったが、実際、表情から口調まで絶品。唯一、若林役の高橋よりも体が小さいのが難点だったが、カメラアングルなどで小さく見えないように工夫して映していて、まったく違和感がなかった。

山里の母役のヒコロヒーや、若林の父役の光石研もとてもよく、今後のストーリーを想像するともう泣けてくる。

1話のエンディングは、再び冒頭の『明日のたりないふたり』に戻り、ライブ終わりに救急搬送される若林、というところで終わる。不安を払拭して期待に応えた素晴らしい第1話だった。

『日向坂で会いましょう』(4月9日放送)

3週にわたって放送された、3年ぶりの「学力テスト」完結編。まず、ペーパーテストの成績ベスト10から発表。

春日は、最近の若林のお気に入りである「さぁどうだぁ、もっとぉ、もっとぉ、もっとぉー」と『THEカラオケ バトル』の堺正章のものまねを挟みながら発表していく。これ、誰かものまねしてほしいと思っていたからうれしい。

前回1位の高瀬愛奈が9位にランクインする波乱から始まり、さらに「地下」から3位に松田好花が躍進する予想外の展開。

そんな中でも、1位はやはり影山優佳。上位5名で争われた早押しクイズ対決「シン・かしこ女王決定戦」でも影山が圧倒し、女王に。

そしてワースト5を発表。まだ中2というハンデのある4期生の渡辺莉奈や、やはり齊藤京子や東村芽依が入る。最下位の東村は「わぁー、びっくりでーす」。

その5人が対決した「シン・おバカ女王決定戦」では、「現在の日本の内閣総理大臣は『何文雄』?」という問題に、河田陽菜が「岸田さん、文雄さん」と変な答え方でさっそく笑わせる。

「鬼の居ぬ間に洗濯」の「鬼」を答えさせる問題では、「青年の踏み場に犬」(河田)、「海の海場」(山口)、「ワニ」(京子)とそれぞれ連想ゲームのように答えていき、そこに添えられたテロップは「ご長寿早押しクイズ?」。まさに。

その後も「英語で秋は『何タム』?」「辛子明太子は『何トウダラ』の卵?」など、ほとんど答えを言っている「地下専用問題」が出題。問題だけで笑ってしまう。若林「『何タム』なんて、クイズ番組で聞いたことないよ!(笑)」。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2021年のテレビ鑑賞記録。

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1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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