空気階段かたまりが明かす女装コントのこだわり「袖の芸人全員を勃起させたい」(てれびのスキマ)

てれびのスキマ

テレビっ子のライター“てれびのスキマ“が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。バラエティやドキュメントの中で起こった名場面、名言、貴重な会話の数々を書き留めます。2020年から毎日欠かさず更新中。

『アメトーーク!』

「女性役やってる芸人」としてチュートリアル徳井(フリーアナウンサー・鳥飼いずみ)、空気階段かたまり(17歳の女子高生幽霊・吉野あさひ)、男性ブランコ平井(西ヨーロッパ在住の読者モデル・谷口サチ)、コットンきょん(映えニスト・みすず)、レインボー池田(池袋ドンキ店員・ふじたりえ)、かが屋・賀屋(図書館事務員・瀬戸内かや)、GAGひろゆき(京都のバスガイド・本山ひろ子)、ジェラードンかみちぃ(地下アイドル・如月マロン)、マンボウやしろ(OL・やしこ)が集結。みんな細かい設定に凝って作り込まれているのがおもしろい。

そんななかで、女装を始めたのが25年くらい前というやしろが「設定とかがそこまで複雑じゃない時代」だから怖いとおののき、自らを「ただ女装してるおじさん」と評すのが可笑しい。世代の近い徳井も「あたしたちの女装、なんか古いなって」と笑う。その徳井は、自身のキャラクター鳥飼いずみをセント・フォースに所属させようと画策したことがあるそう(事務所同士の折り合いがつかなくて断念)。

ブラジャーする派・しない派で分かれていたり、曲線を意識した仕草をしているという徳井や、女性演出家の演技指導を受けているひろゆき、メイクアップアドバイザーの資格を取るほど本格的にメイクをする池田、逆にほとんどメイクをせず、地毛でやることにこだわる賀屋など、それぞれのこだわりがおもしろい。リアルを追求し過ぎた結果、「女子のすっぴん顔」になったという賀屋はSNSで「朝起きて、鏡見たらかが屋の賀屋いた……最悪」などとつぶやかれることもあるそう。同じく「すっぴん顔」のやしろも同じ経験があるという。

「こんなシーンどう演じる?」コーナーではもぐらと徳井、浦井とかたまりなどの即興コントが観ることができて贅沢。かたまりが女装コントを演じる際のこだわり「袖の芸人全員を勃起させてやろうと思ってやってます」に痺れた。

『ゴッドタン』

たびたび『ゴッドタン』と『アメトーーク!』は、同じようにテレビのお笑いの最先端を行こうとしているゆえか、たまたま同じ時期に同種の企画が被ってしまうことがあるが、今回は5回目となる「女装ほろ苦選手権」が「女性役やってる芸人」の直前に放送されていた。

レインボー池田(のぶこ)、コットンきょん(田上京子)、男性ブランコ平井(原凛子)と出演者ももろ被りという偶然が興味深い。それぞれ、コンビでカップルYouTuber、お節介な女、潜入捜査の悲恋をコントで演じる。上質。こだわりを聞いたあとで観るとよりおもしろさが増すので、放送順は逆だが『アメトーーク!』を観たあとにこちらを観返すとより味わい深い。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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