星野源feat. MC.waka「オールナイトニッポン55周年記念ジングル」を徹底的に分析する

2023.2.16
星野源ジングル

文=かんそう 編集=鈴木 梢


星野源feat. MC.wakaによる「オールナイトニッポン55周年記念ジングル」をもう聴いただろうか。

事の始まりは、2021年9月7日放送の『星野源のオールナイトニッポン』のゲストにオードリー若林正恭が出演した際に演奏された「Pop Virus」。そこで若林、いやMC.wakaが披露したラップがあまりにも素晴らしかったため今回のコラボが実現したという。2023年1月17日放送の『星野源ANN』で初披露されたのだが、あまりの衝撃にしばらくヨダレを垂らして失神しかけてしまった。まずは、MC.wakaが綴ったリリックを読んでほしい。

タモリ たけし ユーミン 鶴光 隔世遺伝
ナイナイ 電気 ウンナン YUKI ゲノム 完全入ってる
55周年ただの区切りフワついてんの上だけ 
ってオールナイト愛の証 論文書けるありったけ
花咲く待つ長い夜に光る スターのアプリのマークはR
叩かない石橋
コンプラに引く気なし
ハスってみたけど
今日のトークマジで無ぇ

Lyric:MC.waka

引用:星野源 インスタグラム

どうだろうか。いや、どうもこうもない。たった30秒の曲の中に信じられないほどの情報量が詰め込まれており、完全に呪術廻戦で言うところの「無量空処」だった。

「55周年」の歴史をいじくり倒しつつ、ラジオへの偏愛を込めたリリックに、歴代パーソナリティたちの名前や要素が散りばめられていた。そこで今回は、かなりこじつけや妄想もあると思うが、オールナイトニッポンの公式ホームページにある資料「オールナイトニッポン」HISTORYを見ながらこのリリックに忍んでいるパーソナリティたちを見つけていきたい。

リリックに隠れるパーソナリティたちを可能な限り探し切る

「タモリ たけし ユーミン 鶴光 隔世遺伝
ナイナイ 電気 ウンナン YUKI ゲノム 完全入ってる」

最初の数行は、ほぼ歴代パーソナリティの名前の羅列。しかし、謎を残しているのが「隔世遺伝」「ゲノム」「完全入ってる」の部分。「隔世遺伝」とは「祖父母やそれ以前の世代で現れていた特徴が父母には現れず、その子どもに現れる遺伝のこと」をいうらしいが、これは55年前からオールナイトニッポンの遺伝子が、親子を超えて孫世代になっている現在のパーソナリティ陣にも受け継がれているという意味なのかもしれない。

また「ゲノム」は、DNAのすべての遺伝情報のことをいい、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉なのだが、ここに「gen」つまり星野源が隠れていた。そして、ヒトの染色体は46本(23対)。ここは「乃木坂46」のことを暗に表しているのではないだろうか。さらに、「23」という数字は『福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル“魂のラジオ”(サタデースペシャル“魂のラジオ”)』が放送された年数でもある。そして、核分裂する前の染色体は「染色糸」とも呼ばれるのだが「糸」といえば、中島みゆきの名曲、そして同名の映画で主演を務めた菅田将暉が連想される。ちなみにオールナイトニッポン初代パーソナリティは「糸居五郎」という。

「55周年ただの区切りフワついてんの上だけ」

わかりやすい部分でいえば「フワついてんの」は「フワちゃん」、「上だけ」は「くりぃむしちゅー上田晋也」が隠れていた。そして「55」という数字で思い浮かべるのが元読売ジャイアンツの選手・松井秀喜の背番号だろう。松井、松井といえばぺこぱ松陰寺太勇の本名も「松井」だった。ここにぺこぱが隠れていた。さらに「区切り」。区切りは英語で「セパレート」。この言葉から連想されるのが「セパレートタイプのタートルネック」だ。そう、ここにアルコ&ピースもいた。

「ってオールナイト愛の証 論文書けるありったけ」

「愛」から「aiko」、「証(あかし)」から「明石家さんま」、「論文」から「ロンドンブーツ1号2号」、「書ける」から、かける→「夜に駆ける」→「YOASOBI」、「ありったけ」から「くりぃむしちゅー有田哲平」が連想できる。さらに「倖田來未」は「愛証」という曲をリリースしている。さらに「ありったけ」といえばアニメ『ONE PIECE』の主題歌「ウィーアー!」。オールナイトニッポンきっての『ONE PIECE』好きといえば「霜降り明星」と「マヂカルラブリー」と「山田裕貴」だ。また、2019年の『菅田将暉のオールナイトニッポン』で菅田将暉がした「ナミとロビンの同人誌」についてのトークが思い出されるし、2021年に放送された『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』では田中樹が「ハンコックと同棲したい」と豪語している。

「花咲く待つ長い夜に光る」

まず「花咲く」で連想されるのが、花→桜→「さくらももこ」だ。さらに「咲く待」で「佐久間宣行」、「待つ長」で「Creepy Nuts・DJ松永」、さらに「光る」で「伊集院光」と「野田クリスタル(本名:野田光)」とエモーショナルな文章の中に巧妙にパーソナリティの名前が散りばめられている。そして「長い夜」は「松山千春」の代表曲。また『三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』CMでの小宮浩信の「夜が好きです!」の叫びを思い起こさせる。

「スターのアプリのマークはR」

星野源曰くこのフレーズは『グランド・セフト・オート』で知られるアメリカ・ニューヨーク州のゲームメーカー「ロックスター・ゲームス」から来ているらしく、ここで「ニューヨーク」を感じることができる。また「radiko」とのダブルミーニングでもある。「スター」は「星野源」と「霜降り明星」、星→惑星から「ネプチューン」、「星空のディスタンス」の「THE ALFEE」、「R」は「Creepy Nuts・R-指定」、さらに「森山良子(Ryoko)」を連想させられる。

「叩かない石橋
コンプラに引く気なし」

「叩かない石橋」とは「石橋を叩いて渡る」の逆「ビビらない」ということ。つまり、ビビらない→「ビビる」。また「石橋」は「とんねるず石橋貴明」「四千頭身・石橋遼大」、「気なし」は「とんねるず木梨憲武」が隠れていた。さらに「石」は「SixTONES」を連想させられる。

「ハスってみたけど
今日のトークマジで無ぇ」

「ハスる」とは『オードリーのオールナイトニッポン』内で生まれた言葉で、物事を斜めに見たり、格好つけたりする行為を指す「斜(はす)に構える」から来ている。また「今日」から「小泉今日子」と、「今日までそして明日から」の「吉田拓郎」、「トーク」から「遠く」→「遠く遠く」の「槇原敬之」、「マジ」から「マヂカルラブリー」、『マジすか学園』の「AKB48」、「T.M.Revolutionがタカノリがメイクする革命ってのはマジっす」(映画『モテキ』の長澤まさみのセリフ)→「西川貴教」、「無ぇ」という口調から「ろくなもんじゃねえ」の「長渕剛」が連想される。さらに「今日のトークマジで無ぇ」という状態はスランプ→爆風スランプ→「サンプラザ中野くん」も隠れていた。

真偽のほどはMC.waka本人のみぞ知る。どこまで当たっているのかわからないが、とにかく我々にできることは、この曲とラジオを聴いて55年という中途半端な記念年を全力で祝うことのみだ。

この記事の画像(全1枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

Written by

かんそう

1989年生まれ。ブログ「kansou」でお笑い、音楽、ドラマなど様々な「感想」を書いている。

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。