写真を撮ることにこだわりを持つアーティストやお笑い芸人による連載「QJWebカメラ部」。
土曜日はアーティスト、モデルとして活動する森田美勇人が担当。2021年11月に自身の思想をカタチにするプロジェクト「FLATLAND」をスタート、さらに2022年3月には自らのフィルムカメラで撮り下ろした写真をヨウジヤマモト社のフィルターを通してグラフィックアートで表現したコレクション「Ground Y x Myuto Morita Collection」を発表するなどアートにも造詣が深い彼が日常の中で、ついシャッターを切りたくなるのはどんな瞬間なのか。
空を泳ぐカラス
第7回目。
突然ですが、僕はカラスがとっても苦手です。
学生時代、通学中に怒りながら頭をバサバサと襲われたり、最近でも渋谷の交差点で信号待ち中にサーッと頭の上すれすれを通り過ぎていったり。
彼らは賢いからイタズラをすると仕返しされると聞いていたので、何かと関わらないように生きてきたのですがどうにもうまくいかない相手です。
そもそも誰もいない早朝のタイミングを窺って群れながらゴミ袋を漁り散らかし、留守のベランダを狙ってハンガーを盗んでいくなんていう性質もなかなか気に食わないです。
賢さをそんなところに使うんじゃないよと。
いつか負傷したカラスを保護して丁寧に育てて野生に返せばやつらの意識も少しは変わるかなぁなんて思ったこともあるのですが、彼らの仲間中に情報が広がって僕のもとに集まってくる真っ黒な未来が見えてゾッとしました。
そんなことを思い浮かべながら公園のベンチに座り、ぼーっと上を見上げていると気持ちよさそうに空を泳ぐカラスを見つけたのでシャッターを切りました。
皮肉にもこの写真はお気に入りの一枚です。
何事も距離感ですね。
加賀翔(かが屋)、中山莉子(私立恵比寿中学)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、長野凌大(原因は自分にある。)、林田洋平(ザ・マミィ)、森田美勇人が日替わりで担当し、それぞれが日常生活で見つけた「感情が動いた瞬間」を撮影する。
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