『THE W』Aマッソ、天才ピアニスト、オダウエダ激戦の採点結果を振り返る。お願いです、審査員のコメントも聞かせてください

2021.12.14
THEW

文=井上マサキ イラスト=まつもとりえこ 編集=アライユキコ


12月13日夜8時から放送された『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』(日本テレビ)を制したのはオダウエダ。接戦にもつれ込んだ決勝戦までを、賞レース採点ウォッチャー・井上マサキが検証する。

【関連】『キングオブコント2021』採点結果を徹底分析。松本人志&歴代キング審査員の「美し過ぎる審査」と「サイコゥ!なコメント」を振り返る

Aブロック:奇才に始まり奇才に終わる

「小田は今、めっちゃ笑ってますわ!」
「笑ってます!」

言葉とは裏腹にふたりは泣き崩れていた。13日放送の『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』(日本テレビ)、漫才・コント・ピンネタなんでもありの異種格闘技を制し、5代目女王に輝いたのはオダウエダ! 過去最高700組がエントリーした今大会を振り返る。

ファーストブロックで戦うのは、Aブロック5組、Bブロック5組の計10組。審査は「勝ち残りノックアウト方式」で行われ、1組がネタを披露するごとに審査員7名の投票によって「暫定1位」を決める。最後まで1位の席に座っていた組がファイナル進出だ。

Aブロック出場者はヨネダ2000、紅ショウガ、茶々、TEAM BANANA、オダウエダの5組。ファイナリスト最年少のヨネダ2000が、ストイックなお相撲さん(ドスコイドスコイ!)を利用した奇抜な漫才で仕掛ければ、昨年準優勝の紅しょうがは安定の関西しゃべくり漫才で迎え撃つ。センスか技術か、いきなり審査員を悩ませた勝負は、2-5で紅しょうがに軍配が上がる。

その後も紅しょうがが強い。芸歴2年目の茶々を4-3で、2年連続決勝進出のTEAM BANANAを5-2で破り、最後はオダウエダ。焼肉屋を舞台に「ハツの就活」「ぼんじりの判決」「砂肝のゲッチュー」と次々飛び出す不条理なメニュー。全然焼肉を食べられないのに、好奇心に負けて頼んでしまう客。ツッコミが独特の世界観に溶け込み、その形を優しく保つ。審査員のミルクボーイ駒場孝も「細かいところも作り込んでいて、アホだけじゃないのもよかった」と評す。

結果は6-1で、オダウエダが最終決戦進出を決めた。ネタ終わり、コメントを求められたオダウエダは笑顔で「小田がちょっと泣いてますね」「泣いてます!」という小ボケを入れていた。まさか番組の最後で、このやりとりが回収されるとは。

Bブロック:「なすなかにしさん、ありがとう~!」

Bブロック出場者は、天才ピアニスト、女ガールズ、ヒコロヒー、スパイク、Aマッソの5組。上沼恵美子のものまねでおなじみの天才ピアニストますみだが、賞レースでは上沼恵美子は封印。

天才ピアニストが披露したのは、「ドアを1万回開け閉めして強度をチェックする係が、ドアの開閉を活かして芝居をしてしまう」という設定のコント。審査員の笑い飯・哲夫は「(ツッコミの竹内知咲は)顔の半分しか見えてないのにあんだけ怒っているのを伝えられてる」と表現力を絶賛。対する女ガールズを6-1で撃破する。女ガールズに入った1票は友近のもので、この1票に女ガールズ・まちこガールズは涙。そういえばAブロックの茶々も友近の1票に泣いていた。勝敗とは別のところにある、友近の1票の重さよ。

その後、パンクロッカーになりたい息子を諭すヒコロヒーも、短時間で喜怒哀楽を全部出したスパイクも、天才ピアニストを超えられない。暫定1位席に座る天才ピアニストは、コメントを振られるたび「デイサービスの声量」「驚き方が通販」と毎回違うボケで返してくれる。

最後の対戦相手はAマッソ。決勝に初めて駒を進めた昨年は、斬新なプロジェクションマッピング漫才で度肝を抜いたが、ゆりやんレトリィバァに1票差で勝てなかった。今年は一転して、会社を舞台に電話のマナーを教えるコント。一見ベタな設定に見えるが、「受話器を上げたら上司にタメ口」というシステムが徐々にヒートアップ、2人がブチ切れるごとに爆笑が起こる。村上が「それでは、また」と電話を切ると、「なんで最後になすなかにしやねん」と加納。

ドアvs電話の戦いは、4-3でAマッソ。最終決戦進出を決め、加納は「なすなかにしさん、ありがとうー!」と感謝の言葉を贈った

しかし、最終決戦に進む者はもう1組いる。今回から新ルールとして、AブロックBブロックの敗者8人から視聴者投票で1組を選ぶ「国民投票枠」が設けられているのだ。

視聴者のdボタンに託されたのは、Bブロックで激闘を繰り広げていた天才ピアニスト! 暫定1位席で4回も勝敗の行方を見守り、ずっと平場を盛り上げながら、最後の最後で敗者復活。ますみが「あぁもううれしい……お腹空きました……」と嘆いたのも、その気持ちの高低差を考えると無理はない。

最終決戦:「日テレごとぶっ壊しまーす!」

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