令和初の芥川賞・今村夏子のデビュー作『こちらあみ子』が映画に 井浦新、尾野真千子が出演

2021.5.11

編集=QJWeb編集部


芥川賞受賞作家・今村夏子のデビュー作『こちらあみ子』の実写映画化が決定。井浦新、尾野真千子が主人公の両親を演じ、主人公の「あみ子」はロケ地の広島でオーディションが開催される。

太宰治賞、三島由紀夫賞をW受賞した衝撃のデビュー作を実写映画化

『こちらあみ子』は、2019年に『むらさきのスカートの女』で芥川賞を受賞した今村夏子のデビュー作。2010年に『あたらしい娘』というタイトルで発表され(のちに『こちらあみ子』に改題)、太宰治賞や三島由紀夫賞を受賞した。

主人公のあみ子は、ちょっと風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君など、たくさんの人に見守られながら生きるあみ子だが、純粋で素直な彼女の行動は周囲の人たちを困らせることになり……。奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありさまが生き生きと描かれている。

主人公の両親は井浦と尾野がキャスティングされたが、あみ子、のり君、同級生の坊主頭、あみ子のお兄ちゃんの孝太など、子供たちの主要キャストは、演技経験の有無を問わずオーディションにて選考される。舞台となる広島は今村の出身地。7月に広島オールロケにてクランクインする予定となっている。監督・脚本は、大森立嗣監督ほか、名だたる監督の現場で助監督を務めてきた森井勇佑。自身が映画化を熱望していたこの作品で監督デビューを果たす。

森井は、

「僕がHi8のビデオカメラで遊び始めたのは、中学1年生の頃でした。友達3人くらいと『男プロダクション』と名乗り、高校を卒業するまで30本ほど遊びで映画を撮りまくりました。たいていの友達はカメラの前に立つだけで恥ずかしくて笑ってしまいます。でもそんな中でなぜか、ほとんど笑わずカメラ前で堂々と立っていられるヤツがいました。

そいつはぶっきらぼうで、ときどき奇行もするので、学校では浮いた存在でした。でも映画に出るのはすごく好きだったようで、『次は何をとるんや』『映画はとらんのか』としょっちゅう催促されました。今思えば、そういうヤツだったからこそ、存在が面白く、僕らも映画を撮りつづけたのだと思います」

『こちらあみ子』をはじめて読んだ時、僕はあみ子のことを友達のように感じました。あみ子は面白いヤツです。その面白さをみんなに伝えたい。それは僕が中学生のときに思ったことと、きっと地続きなんだと思います。それ以来、この小説を映画にしたいと強く思いつづけてきました。あみ子という存在は、映画で撮るべきだと思ったのです。

『こちらあみ子』が初監督作品になることは、自分にとっては必然的なことだと感じています。覚悟を持って挑みます。と同時に、最高に嬉しいです。ワクワクして仕方がありません」

と、コメント。なお、製作応援を目的としたクラウドファンディングの実施も決定している。

この記事の画像(全1枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。