『俺の家の話』プロレス徹底考察。西田敏行は長瀬智也のレスラー復帰に気づいてるはず。藤波辰巳ばりの「お前、寿一だろ」来るか?
長瀬智也がプロレスラーを演じ、能楽師(人間国宝!)の父親(西田敏行)の介護に直面するドラマ『俺の家の話』(TBS金曜夜10時〜 脚本は宮藤官九郎)がすごい。今夜第5回の放送を前に、プロレスを愛するライター・寺西ジャジューカが、プロレス、プロレスラー、プロレス史を軸に徹底考察する。
宮藤から長瀬へのメッセージ?
『俺の家の話』は『池袋ウエストゲートパーク』『タイガー&ドラゴン』『うぬぼれ刑事』(すべてTBS)でタッグを組んできた長瀬智也と宮藤官九郎の集大成的作品である。
宮藤官九郎は達人だ。このドラマには宮藤から長瀬へのメッセージが込められている気がしてならない。長瀬演じる観山寿一が憧れたプロレスラー、ブルーザー・ブロディが亡くなったのは42歳のときだった。そして、寿一は現在42歳の設定。ブロディは42歳で天国に旅立ち、ブリザード寿(寿一のリングネーム)は42歳で表向きには引退、能の世界に戻っていった。そして、ジャニーズ事務所退所が発表された長瀬も現在42歳。宮藤が意識していないわけがない。
能とプロレスにはどちらも様式美という側面があり(だから予定調和を嫌うアントニオ猪木と前田日明はカリスマに成り得た)、四角い舞台で選手(演者)同士がサイコロジカルな駆け引きを行うという点も親和性がある。
とはいえ、突拍子もないかけ合わせだったのは事実。かつて、『KAMINOGE』vol.20のインタビューで宮藤は発言している。
「俺がプロレスものを書くのは、ちょっと『レスラー』(ミッキー・ローク主演の映画)が金字塔過ぎるから難しいですね。そもそも、どこに持ってっても企画が通らないですよ(笑)。あ、でも連ドラは難しいだろうけど、映画ならわかんないかなあ?」
『KAMINOGE vol.20』/東邦出版
どの局も受け入れなさそうなプロレスという題材を無理筋でなくしたのは、長瀬の力量によるところが大きい。ドラマに臨むにあたって体重を12〜13Kg増量し、マッチョなだけでなく厚みのある体型に変身。適度に脂肪があり、相手の攻撃を避けず受け身を取るプロレスラー特有のボディに仕上げてみせた。加えて、サバ読みが通例のプロレスラーに混じると、長瀬の身長はけっして引けを取らない(長州力と向かい合うシーンでは長瀬のほうが背が高いことがわかる)。
プロレスシーンを監修した「ガンバレ☆プロレス」所属レスラーの翔太がツイートしたように、リング上の攻防は長瀬本人によるものである。コーナーからのフライングボディアタックも、タイミングがドンピシャのヘッドシザースホイップも、すべて長瀬が体を張っている。この情報で長瀬は我々からの“男惚れ度”を一段と高めた。惚れ直した。
対して、後輩レスラーであるプリティ原(井之脇海)の試合がぎこちないのだ。技は様になってないし、寿の引退試合なのに自分がフォールを取っておいしいところをかっさらう始末(ラストファイトなのにパートナーの木村健悟がフォールを取った坂口征二引退試合を思い出した)。「自分がニューカマーと呼ばれながらカマーしないもんで」と本人は詫びたが、プリティはまだ未熟。宗家を継ぐために観山家へ戻ったものの、父・寿三郎(西田敏行)から一向に褒められる気配がなく苦闘した寿一の境遇と見事に連なっている。
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