『PUI PUI モルカー』はかわいいだけの癒やし系アニメではない。火曜の朝は「人類の愚かさ」を呪う時間
わずか3分足らずのストップモーションアニメ『PUI PUI モルカー』が爆発的な人気だ。キッズ向けテレビ番組『きんだーてれび』(テレビ東京系 毎週月~金曜朝7時半~)にて毎週火曜に放送中の本作だが、1月5日に放送が始まるやいなや燎原の火のごとくバズり始め、公式ツイッターは4話が放送された段階で28万フォロワーに達し、放送日より1週間限定で配信されるYouTubeは1週間で350万回再生を記録。ヒットコンテンツの証拠とも言えるファンアートも数え切れないほどSNSにアップされている。
カラフルもふもふチョコマカ
主役はモルモットそっくりな車たち。普通の車だけでなく、パトカーや救急車も全部モルモットそっくり。彼らこそが「モルカー」だ(一つひとつ名前がある)。羊毛フェルトでできたふわふわのポテトとほかモルカーたちが、感情をいっぱいに出しながら走り回る。その姿がとにかく愛くるしいのだ。アニメキャラクターらしいというよりはモルモットらしさを追求した表情と動きもたまらない。プイプイという鳴き声も耳に残る(本物のモルモットの鳴き声を使用している)。
カラフルでもふもふしてチョコマカしていてかわいらしいモルカーを観ていると、実に心癒やされる。しかし、「ああ、なるほど、コロナ禍で疲れている大人たちの心を癒やしてヒットしているんだね」と納得するのは早合点が過ぎる。『モルカー』はそんな猫動画のような生易しいものではけっしてない。
「人類は愚か」「愚かな人類」「人類滅亡」
ストーリーは、街を走るモルカーたちが人間たちの勝手な振る舞いに振り回されて右往左往しながらも、モルカーなりにがんばって事件を解決するものが多い。
第1話ではスマホに夢中で渋滞を引き起こす人間が登場。そこへ急病人を乗せた救急モルカーがやってくるが、モルカーたちが力を合わせて解決する。
第2話の銀行強盗たちはシロモに乗って逃走するが、シロモの機転で逮捕される。
第4話のゴミをポイ捨てする人間は、ゴミを懸命に食べるテディからウンコのようにひり出された。
いつも一生懸命なモルカーたちに比べると、人間たちは実に愚かだ。ツイッターで『モルカー』の感想を見ると、「人類は愚か」「愚かな人類」「人類滅亡」「人類悪」というものが圧倒的に多い。もはや火曜日の朝は、人々が人類の愚かさを呪う時間になりつつある。
モルカーについての考察も盛り上がっており、同じようにかわいらしくて牧歌的なストーリーでありながら考察が盛り上がって大ヒットを記録した『けものフレンズ』を思い出すという声も多い。確かに『モルカー』の精緻な作り込みはじゅうぶん考察に耐え得るものだが、「人類は愚か」という感想が濁流のような勢いで流れているせいでせっかくの考察が頭に入ってこないときがある。
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